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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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ファウスト by Gounod ネトレプコ降板騒動後の初日

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<5th Apr Sat>

フル出勤で夜もほとんど外出という忙しい週がやっと終わって一息つける週末。片っ端から溜まってる記事を片付けるつもりですが、いつものように順不同で、まずは昨夜のファウスト初日から。

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4月4日、超人気ソプラノのアンナ・ネトレプコ(以下ネトコ)が無責任にも放り出して騒然となったグノーのファウストの初日に急遽行くことができました。代役が二人いるうち、私が「こちらがベターなソプラノですよ」、と断言した手前、チェックしないといけないですもんね。それに、私が彼女が出る日の符を持ってる22日まで待てません。


悪魔に魂を売るゲーテのファウストは踊りもたくさん出てくる華やかで妖艶なフレンチ・グランド・オペラ、このマヴィッカー版はわかりやすいセットと素敵な衣装、ユニークなダンスの素晴らしいプロダクションです。


むっネトコ人気のせいでフレンズ予約で全部で4枚という制限付きだった上、私がいつも座るストールサークルの横の安い席は片側がブロックされていたので更に凄まじい争奪戦となり人気の初日は買えなかったので、リターン切符に頼るしかないわけですが、ネトコ降板で手放す人は結構いてもほとんどが私には手が届かない高い切符なので、根気よく安い切符を狙い続けました。

結局、前の晩になってupperslipの2列目とlowerslipの立見席が2枚現れ(いずれも10ポンド)、どっちにしようか目くそ鼻くそ的に迷ったのですが、少しでも近い方がよかろうとlowerslipの立見にしました。


舞台の縦半分しか見えないことは知ってたし、何度も観たプロダクションで、後日また(おそらく3回)行くのだから、どうでもいいところは床に座ってて、肝心なところだけ立ち上がればいいやというつもりでしたが、そんなことしたら回りの人に変に思われるかなとか遠慮しちゃって、結局ずっと立ってました。でも、幸い、この立見席は手すりが高い位置にあって腰を曲げなくても済むので、こないだ眠れる森の美女を観たストールサークルの立見よりは姿勢は楽なので(ビジュアル的にはストールサークルの方がうんとベターですけど)、全然オッケーでした。ストレッチ運動もできるので、座ってるより健康的だし。


ROHではステンディングオベーションはしないのに、すぐ下の席の人たちがカーテンコールで皆立ち上がってしまったので写真が撮りにくかったですが、なんとか隙間ショットが撮れました。



Director
/ David McVicar
Revival Director/ Bruno Ravella
Set designs/ Charles Edsards
Costume designs/Brigitte Reiffenstuel
Lighting design/Paule Constable
Choreography /Micheal Keegan-Dolan
Revival Choreographer/ Daphne Strotmann

Conductor /Mauriziio Benini
Faust / Joseph calleja
Marguerite / Sonya Yoncheva
Mephistopheles / Bryn Terfel
Valentin / Simono Keenlyside
Wagner / Jihoon Kim
Siébel / Renata Pokupic
Marthe Schwertlein / Diana Montague



    

ソニア・ヨンチェバは、ラ・ボエームのとても素敵なムゼッタだったので期待は高かったですが、ちょっと緊張だったのか演技が控え目でしたが(アンジェラ・ゲオルギューに比べれば誰だってそうだけど)、好感の持てるすっきりした容姿と歌唱で、ネトコの代役としては充分な役目を果たし、カーテンコールでも怒涛の拍手の感動シーンでしたクラッカー


   


でも、ヨンチェバの輪郭のはっきりした軽やかで清々しい歌声は大好きですが、ネトコと比べたら声に個性もないし全ての面でスケール小さくてカリスマ性にも欠けるので、どうしても、ネトコだったらどうだったんだろうと想像してしまい、ソニアの姿と歌にネトコが重なったのでした。



ネトコは「この役には向いてないわ」、と降りたわけですが、いえいえ、これほど貴女に向いた役もないと思いますよ、私は。ゲオルギューでも歌えるわけだからテクニック的に難しいわけはないし(あ、アンジェラの悪口言ってるわけではないですよ。私は彼女も好きですから)、ネトコちゃんの甘くてダークで妖艶な声にもぴったりで、軽いゲオルギューとは又違う味が出せる筈。何度も聴いてるので想像はついても、実際に聴いてみたかったな、とつくづく思い、恨みが増してしまったわプンプン



この席だと音が後ろに跳ね返ってしまい、私の好きなストレートな声が聴けたら又違う印象になるかもしれないので、それは22日まで待たないといけないですが、ソニアが私のお勧めにたがわないパフォーマンスをしてくれて嬉しかったですブーケ1 


    


ジョセフ・カレヤは、心配通り、ロマンチックヒーローには似合わないごつい風貌なだけでも先回のヴィットリオ・グリゴーロに大きく負けちゃいましたね、当然。それに、ソフトな声はストレートでは素晴らしいけど、フランス語だし変化球が投げられないので、この役には向いてないのでは?

    

悪魔役のブリン・ターフェルは、「オリジナルは俺だったのに、先回素晴らしかったルネ・パペから立場を奪回しなくちゃなんねえぜ!」、と頑張ったか、奇声ともいえる声色まで駆使して発大熱演。そう、この役は漫画チックだと楽しくていいわ。


お兄さん役は出番は少ないけど良いアリアや見せ場のある得な役ですが、以前もやったサイモン・キーンリーサイドは、「ブリンにばかり注目が集まって溜まるか!」、とライバル意識を燃やしたか(二人は仲良しでしょうけど)、これまた大乗りで、こちらはやたらシリアスに。ブリンより細やかな表現のできるサイモンですから歌の上手さが際立ったし、運動神経の良いサイモンが腕の力だけで床を這う姿にも感心。


というわけで、イギリスが世界に誇る地元バリトン二人がさすがの実力と貫禄を示してくれて、たとえこの二人が誰だか知らない人でも、「へえ~っ、二人とも脇役なのにすげ~っと」、と思ったことでしょう。見慣れた二人ですが、近くの席から観るのが楽しみです。

次は4月11日で、もう一人のソプラノの日ですが、そちらの彼女は全くの未知数。期待はしてませんが、案外ダークホースかもしれないしね。



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