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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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フィガロの結婚 by Mozart レポレロが若返ってフィガロに

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昨日(5月15日)、フィガロの結婚の最終日に行きました。


ストーリーやプロダクションについては、先回の記事をご覧下さい(→こちら )ですが、要するに、召使フィガロの結婚にまつわる貴族と召使いの知恵比べ。


昨年9月、10月に別チーム(第一チームと呼びましょう)でやった時に切符を同時に売り出したので、この日のも一年近く前に手配済み。秋の第一チームは3度観たのに、今回は私としては珍しく一回分しかゲットしなかったのは、歌手の顔ぶれのせいで、なんだか「なあんだ、又この人か・・・」、というお馴染み過ぎる人が多く、楽しみにしてたのはフィガロ役のアレックス・エスポジートくらい。指揮者のデヴィッド・サイラスはROH専属のようでいつもは手堅いんですが、今回は歌手と大きくずれた箇所もあり、大成功ではなかったかも(ずれたのはドン・バルトロ歌手のせいだとしても)。

それに、このオペラにはテノールがほんのちょい役でしか出ないのも、そう何度も続けて観たいという気にならない理由のひとつ。


で、「オペラの出来はそりゃ極上だし、すっきりとエレガントなプロダクションは大好きだけど、なんせ見飽きたしなあ」、という低い期待度で臨んだところ、なんと、嬉しい驚きがありました。演出がかなり変わってて、細かい動作のドタバタ度が更に強調されてコメディ度がうんとアップしてたので、大いに笑えましたアップ 間の取り方とか凄く上手だった人が多かったおかげですが、コメディアンでもないオペラ歌手がここまで喜劇演技できたことには大拍手送りますクラッカー



指輪 Le Nozze di Figaro
Director David McVicar
Designs Tanya McCallin
Lighting design Paule Constable
Movement director Leah Hausman

Conductor David Syrus
Figaro Alex Esposito
Susanna Camilla Tilling
Cherubino Anna Bonitatibus
Count Almaviva Gerald Finley
Countess Almaviva Rebecca Evans
Bartolo Christophoros Stamboglis
Marcellina Marie McLaughlin
Don Basilio Guy de Mey
Don Curzio Timothy Robinson
Antonio Jeremy White
Barbarina Dušica Bijelić


   


  


男の子男性軍男の子


フィガロ役のアレックス・エスポジート、つい最近のドン・ジョバンニでは素のままの精悍な坊主頭でコミカルというより暗くて悲しい中年になりかけたレポレロを見事に演じて、頭だけなく歌も演技も光ってましたが(→こちら )、今回のフィガロはカツラで一気に若返り、めっちゃ可愛いくてハンサムな青年にラブラブ! レポレロとは身のこなしだけでなく目付きまで変えて、ルックスにマッチ。



そして、彼のコミカル演技がきっと一番生き生きとして面白いだろうという予想に反し、あえて大袈裟にしないでナチュラルに演じたようで、少々やり過ぎの他の人たちに比べると一見地味だったけど、そこは素晴らしい歌唱力と足が地に付いたキャラクター作りで、期待通り超一流のフィガロでしたクラッカー


一昨年だったかしら、記事にはしなかったけどウィグモア・ホールのリサイタルに行った時の写真を載せておきますので、素顔はこんな感じです。この時に「ROHでフィガロやるよ」と本人に聞いて以来、楽しみにしてたんです。


   


なにをやっても芸達者ぶりが際立つ伯爵役のジェラルド・フィンリー、この役で以前観てるので新鮮味はないですが、本人も楽しんでるのが更にアップした顔芸に現れてました。特に先回2013年12月にROHに出た時は苦悩そのもののパルジファルだったので(→こちら )、その対比がすごくて、やっぱり彼も凄い。


主役二人は素晴らしかったのですが、他の二人がいまいちだったのは残念で、特にドン・バルトロ役のChristophoros Stamboglis は、なぜこんな人がここに出られるの?、というくらいレベル低かった。オネエ・キャラのドン・バジリオ のGuy de Meyは健闘したけど、この役は今までフィリップ・ラングリッジやJean-Paul Fouchécourtという味のあるテノールが歌ったことがあり、彼らに比べると全然面白くないわ。




   


女の子女性軍女の子


スザンナのカミラ・ティリングが断トツでチャーミングでした宝石赤

ティリングは今までに何度も聴いて、そこそこだとは思ってたけど、今回はやけに声がよく通って素晴らしかった。すらっとして品のあるスゥーデン美人の彼女、明るいやり手女中スザンナをやるにしては少々お高くとまり過ぎかもと思ったところ、そのキャラを生かして無理しておきゃんには演じず、フィガロと二人で好感の持てる絵になる魅力的なカップルでしたラブラブ

彼女がこんなに上手に歌ってくれるのであれば、2度でも3度でも行けばよかった・・。



ねっとり重い歌い方があまり好きではないレベッカ・エヴァンスが伯爵夫人で、3月のENOのロデリンダは悪くなかったのに、今回は又いつものねっとりしたエヴァンス節になってしまい、なんせ私は彼女を嫌というほど聴いてるし、どうしても過去のソプラノたちと比べてしまい、あまり楽しめませんでした。小柄でふっくらして首のない彼女をすらっと美しいカミラ・ティリングの隣に立たせるのも可哀相だったし・・。コメディ演技がとても上手だったのは高得点でしたけど。


コメディ演技の巧さという点で女性軍の中でベストなのはなんと言っても鼻血ドバドバ思春期少年のケルビーノのアンナ・ボニタティブスでしょう。以前にもこの役やりましたが、小太りのやんちゃ坊主は爆笑もの。でも声に特徴ないし、肝心なアリアでピアニッシモにしちゃったのは残念。


借金の方にフィガロに結婚を迫る中年女マルチェリーナはマリー・マッコークリンで、こんな年増の魅力溢れるおばさんなら、 フィガロも結婚してもいいかも、と思ったりしてべーっだ!? 声もまだ充分出てるし、こういう脇役が光る楽しさ倍増するのがフィガロの結婚です。


   




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