昨夜は大雪になるという予報とおりになり、大変な目に遭ってしまいましたよ。
コンサートに行くために、まず4時に早目の夕食。なぜそんなに早いかというと、4時半からテレビで2006年作の映画「トリスタンとイゾルデ」を観るためです。
そんな映画があることすら知らなかったのですが、ご贔屓のジェームス・フランコがトリスタンであれば集中して観ないとね。オペラとは関係ないので音楽は一切出てこないし、魔法も愛の妙薬も抜きだけど、古代ローマ軍が去った後の暗黒時代のイングランドとアイルランドの歴史的背景を中心にしたドラマで、なるほどこれがトリイゾの原点なんだなと、時代に忠実なセット、衣装、若い美男美のカップル(オペラではどれも、まず望み得ない)を楽しみました。
映画を終わりまで観てるとコンサートに間に合わないので、残りは録画しといてね、とトーチャンに頼んだら、このチャンネルは特別なボックスがないと駄目と言われ、肝心の夜に二人が逢引する不倫シーンはこれからだから観たいし、どうせ今夜のコンサートは枚数割引のために消極的に買った切符ですごく行きたいわけじゃなし、本当に大雪になったら帰宅が大変かもしれないし・・・、と迷う私。
後の祭りその1:
この時、ちょっとしか出ないだろうテノールのトビー・スペンスよりも、目の前で悶えるジェームス・フランコを選べば、後であんな目に遭わなくても済んだのに。
雪が降り始めた6時に家を出て、7時前にサウスバンクに着いた時は少し積もってたので、ヒマ間つぶしにビッグベンの写真など撮ってましたが、こんなことならあと30分映画観てればよかった。
Anton Bruckner: Christus factus est
Anton Bruckner: Symphony No.9
Anton Bruckner: Te Deum
No interval
London Philharmonic Orchestra
Yannick Nézet-Séguin conductor
Christine Brewer soprano
Mihoko Fujimura mezzo-soprano
Toby Spence tenor
Franz-Josef Selig bass
London Philharmonic Choir
で、コンサートが素晴らしかったのであれば行って良かったと思えるのですが、トビー君以外のお目当てでもあったメゾ・ソプラノの藤村みほこさんはデュエットだけでソロが全くなかったのでがっかり。
後の祭りその2:
休憩なしのぶっ続け演奏だったので、コンサートは9時15分に終了。そこですぐに帰ればおそらくすんなり帰れただろうに、コンサート後の指揮者のトークにも折角だからと参加したのが間違いでした。迷ってた時にトーチャンに電話したら、「こっちは1センチしか積もってないし、大丈夫だろ」と呑気に言われたしね。
10時前にトークが終わったら、外は美しい雪景色だったので、一駅離れたウエストミンスター駅までまた国会議事堂の写真を撮りながらゆっくり歩いたんですが、そんなことしてないでさっさと帰るべきでした。
順調に地下鉄は動いてたので、ブルックナーも良かったし雪も綺麗だし、嬉しい~!と思ってたら、ジュビリー線は途中で雪のために運休停止となってしまい、家まで6キロの駅で追い出されてしまいました
トーチャンに泣き付いたら、「道が滑って危険だからバスを乗り継いで帰って来い」、と言われてしまい、「そうね、トーチャンが交通事故で死んだらムスメが悲しむから、カーチャンがバス事故で死ぬか凍死するほうが害が少ないわ」、と覚悟
私自身がiPhoneでバス経路を調べることもできるんでしょうが、方向音痴の私がそれをしたら永久に帰宅できないかもしれないわけで、トーチャンが司令官となって、携帯電話で細かく道案内をしてくれました。バスがあと何分で来るかまでネットでわかるので、雪のせいで多少遅れたものの、それを頼りに乗り継ぎして、一度間違えて反対方向に行ってしまったバス(だって、行き先が雪で隠されてたんだもん)も入れると4つの路線を利用。
雪は降ったり止んだり時には吹雪いてましたが、風はなかったので大して寒いとは思わず、幸いトイレに行きたくもならなかったので(これ大事よね)、ラジオを聴きながら退屈もせず、まあこういうこともあるわよねと気長に待って、最後のバスに乗ったまでは割と順調に進みました。
だけど、なんと、ここまで来れば20分もすれば家に着くからやれやれ、と思った途端に問題発生し、上り坂発進できないバスが途中でお手上げして、また雪の中に放り出されました
仕方ない、歩くか。ここまでバスで来られてラッキーと思わなくてはね。ま、本当に帰れなくなったら、トーチャンが車で救出に来てくれるだろうけど。
普通に歩くと40分くらいの距離を、10センチ以上積もってる中をズボズボと一歩一歩雪だらけになりながら、途中で何度も傘さしてて不便なのに写真撮ってたりもして、軽く1時間は掛かり、やっと帰宅できたのが1時半。ソックスまで濡れてても歩くと体がぽかぽかして、もっといくらでも歩けそうな気もして、トーチャンも散歩に出てくればいいのに、と思ったくらい。
雪って不思議ですよね、月明かりで幻想的な銀世界だから当然かもしれないけど、なんか興奮。途中でたくさんの大人がはしゃいで雪合戦してたし、バスで乗り合わせた人たちも「大変なことになったよね」と言いながらも和んだ雰囲気で、バスを皆で押そうじゃないかと張り切ってた男性たち、道で写真撮ってたらおどけてポーズ取ってくれた人もいて、なんだか微笑みっぱなしだったような
というわけで、吹雪の中地下鉄から締め出された時は途方に暮れて、トビーのせいでこんなにことになったんだからもう嫌いだ、と後悔しながら恨んだけど、結局は結構楽しかったかも。
一緒にコンサートに行った友人は、違う路線の地下鉄で、一時間半も閉じ込められて、帰宅は1時だったそうですが、車内でのふれあいもあって、それなりに楽しかったそうです。そう言えば、私もバス停で若い男女が「ところで、僕はXXXって言うんだけど、君は?」、と良い感じの出会いを目撃しました。
でも、雪には充分接したので、今日はずっと家に閉じこもってぬくまってよっと。
気温も上がり、すでに解け始めてますが、早くさっさと消え去って、来週の予定を邪魔しないで欲しいわ。
普段マイルドなので、これっぽっちの雪で交通マヒしてしまう情けないロンドン、やっぱり都心から歩いて帰れる所に住みたいな~