9月17日の中村恵理さん組のリゴレットを観に行きました。すでにその日のうちにベストな写真を何枚かアップしましたが(→こちら )、今回は違う写真で、ざっと感想を書いておきます。
まず、リゴレットってどんなオペラなの?と首をかしげる方は以前の記事(→こちら )をお読み下さい、なのですが、要するに
せむし男のリゴレットは公爵家の道化役。自分が仕える好色の公爵に娘ジルダをてごめにされ、復讐に殺し屋を雇って公爵暗殺を諮るが、公爵を愛するジルダはその陰謀を立ち聞きし、自ら身代りになって殺されるという悲劇。一見あり得ない話ですが、原作はヴィクトル・ユーゴーです
そうだ、英国ニュースダイジェストという月2回発行の在英日本人向けの無料刊行物に恵理さんのインタビューが載ってますので、彼女の経歴やリゴレットに対する思い入れなどはそちらでご覧下さいね(→こちら )。
Director David McVicar
この日はトラファルガー広場をはじめイギリス中で野外ビッグスクリーン上演があったのですが、サイモン・キーンリーサイド、アレクサンドラ・クルザク組がどう考えてもAチームなのに、敢えてBチームを出したのは不思議ですが、我らが恵理さん(日本人にとってだけでなく、ROHの若手アーチストだった恵理さんはロンドンで大きく育ったわけですもんね)にとっては大きなチャンスですから、そりゃ応援に行かなくちゃね
恵理さんのロンドンでの舞台は全て観ているのでかなりの回数になるわけですが、今回がベストだと私は思いました。彼女のFBによると咳が止まらなかったということですが、声がとてもよく出てそれは見事な歌唱でした。Aチームのクルザクも大好きなソプラノでとても上手だったけど(2回聴きました)、ジルダが彼女の魅力を充分発揮できる役とは思えないこともあり、この役では恵理さん決して負けてないですよ
そして、やっぱり、聴きながら、5年半前に急遽ネトレプコの代役に抜擢された時のことを思い出してしまいました(→こちら )。 あの時は緊張してるのがこわばった表情からよくわかったのでずっとハラハラしましたが、今や主役としての場数を踏んだ余裕たっぷりの演技に恵理さんの成長ぶりがはっきりわかりました。
東洋人ということで、ビジュアル的にはハンディキャップなわけですが、小柄で可憐で若く見える恵理さんはジルダにぴったりで、ご本人はインタビューの中で「私は映像向けではないので、できれば遠巻きに観ていただきたいのですが(笑)、」と仰ってますけど、大画面で観る人を泣かせたことでしょう
カーテンコールの恵理さん、公爵役のピルグと一緒にいる時が一番嬉しそうで、長い間うっとり彼にもたれかかって、まるでまだジルダのまま
東洋人と言えば、恵理さんを含む3人がイタリア人役だったわけですが、映像で初めてオペラに接する人たちはまず違和感を感じるでしょうけど、「そうか、オペラってのはルックスではなくて音楽で感動させるものであり、人種を超えるグローバルな芸術なんだな」、という良いデモンストレーションになったのではないでしょうか?
この日はテノールのピエトロ・プレッティiも楽しみにしてたのに直前にAチームと同じサイミール・ピルグに変わってしまったのは残念で、リゴレット役のディミトリ・プラタニアスはこの役で何度も聴いてるので新鮮味がなく、結局私にとっては恵理さんだけが目的になってしまいましたが、素晴らしかった恵理さんのおかげで、予想以上に行った価値がありました。他の人たちのことはあらためてまとめます。
そうだ、サイモンとクルザクのAチームの切符が一枚だけ余ってるんですけど、どなたかご興味ありますか?
9月27日(土)7時開演、舞台を上横から観るupperslip AA21で13ポンド。値段の割にはとても良い席で、もう安い切符は残ってないのでリターンすれば絶対売れますが、折角ですから赤の他人には譲りたくないです。(私はその日は行きませんが、もう一回10月3日に行きます)。