一昨日の9月25日はバービカンにアメリカ人メゾ・ソプラノのジョイス・ディドナートを聴きに行きました。
ディドナートはよくロンドンで歌ってくれるし、特に好きな声というわけではないのですが、リサイタルで最前列のほぼ真ん中というベストな席が取れたからにはそりゃ行くでしょう
今回のプログラムは、埋もれたアリアを発掘しようという主旨の最近出したCDと同じタイトルで、その中からも何曲か歌ってくれました。
Stella di Napoli
Rossini Sinfonia from Elisabetta Regina d'Inghilterra
Pacini Cabaletta ‘Ove t'aggiri o barbaro’ from Stella di Napoli
Donizetti Amelia’s aria ‘Par che mi dica ancor’ from Elisabetta al castello
Carafa ‘L'amica ancor non torna’ and Romanza di Lucia ‘Oh di sorte crudel’ from Le Nozze di Lammermoor
Rossini Ballabile I and III from Le siège de Corinthe
Rossini Final scene ‘Riedi al Soglio’ from Zelmira
<interval>
Bellini Sinfonia from Norma
Mercadante Preghiera ‘Se fino al cielo ascende’ from La Vestale
Verdi Sinfonia from Alzira
Bellini Aria ‘Dopo l'oscuro nembo’ from Adelson e Salvini
Pacini Final Scene from Saffo
Orchestre de l’Opéra de Lyon
Riccardo Minasi conductor
Joyce DiDonato mezzo-soprano
(アンコールは湖上の美人とマリア・ストゥアルダの2曲)
↓以下の写真はクリックで拡大
まずはこれがいつも楽しみな衣装についてですが、
造形的に整った顔ではないのに、最大限にお洒落して美人のイメージにしてしまうのはいつもながら感心で、自慢のブロンドをショートにしてより洗練された雰囲気になって更にチャーミング。
でも、前半の黒いスレンダーな片肩ドレスはデザインは素敵なんだけど、素材が薄過ぎたようで、体型が、というより肉付きとかモロに出て、目の前に座った私にはオヘソのくぼみやパンツのライン、お尻の垂れ下がりまで見えてしまいました。ブラの柄も透けちゃったし・・・
いつも完璧でお洒落なジョイス姐さんにしてはちょいと失敗の巻だった?
ワインレッドのキラキラドレスは、色は地味だけど華やかで、こういう立体的につまんであるデザインは体型隠しにはもってこいなので私も愛用してます(あ、ジョイス姐さんのカラダは引き締まったですけどね)。
歌は期待通りの素晴らしい出来で、いつもよりなぜかツバをたくさん飛ばしてたけど(一度、私の顔まで飛んで来たような)、見事なコントロールで安定し、今最も乗ってるメゾソプラノの実力を余裕で見せ付けてくれました
いくつかの曲は「あれっ、他のオペラのアリアにそっくり」、ということもあったけど、やっぱり一番受けたのはお馴染みの曲で、「湖上の美人」と「マリア・ストゥアルダ」の聴かせどころを歌ってくれました。両方ROHで何度も聴いたけれど、こうして至近距離で浴びるように聴くのは又格別。もちろんヤンヤの喝采とスタンディングオベーションでした。
そして、普通のコンサートと違ったのは、ジョイス姐さんの心温まるお喋りで盛り上がったことで、湖上の美女の時にはスコットランドのカトリン湖(私は去年行きましたよ→こちら )について言ったりしてちゃんとイギリス人向けの内容になってたし、彼女の人柄の良さを表すその場の出来事もありました。
前から数列目の隅っこに座ってた女性が小さな花束をステージの隅っこに置いていったのですが、舞台にはそぐわない素朴さだったので、きっと誰しも「えーっ、そんなクシャクシャの紙に包んであるのを渡すの? ちょっとしょぼくないか?」、と思ったところ、さすが機知に富んで心優しいジョイス姐さん、なんと小さなトマトが入っていたのに注目して、故郷のミズーリのトマトに関連付けて話題にし、最後まで花束を愛しそうに大事に抱えてました。そして、その中の赤いトマトはタイミングよく途中で茎から離れて舞台にコロコロ転がって笑いを誘い、それを今度は指揮者も交えてさらにトマトが主役になったのでした。
その前に定番の花束ももらったんですけどね。そして、先回はなんと私に花束を手渡してくれたという嬉しいハプニングがあったんですが(→こちら )、今回はすぐに花束抱えて舞台裏に消えてしまいました。
隣の席のPrimroseが撮ったカーテンコールのビデオがYoutubeにあります(→こちら
)。赤いトマトが落っこちてしまった後ですけど。
コンサート後はロビーでCDサイン会だったのですが、ロンドンでの人気を反映して、長蛇の列だったそうです。
彼女の人気と言えば、今月のウィグモア・ホールの幕開けは彼女がパッパーノのピアノ伴奏で歌うリサイタルだったのですが、2回あったのにも拘わらず凄い争奪戦だったそうで、サポートフレンズごときでは買える筈がないので申し込みすらしませんでしたが、フレンズより上のメンバーだけで完売してしまったそうです。
そうだ、話は反れますが、ウィグモアの争奪戦といえば、もうすぐフレンズ予約の期間に超人気テノールのヨナス・カウフマンが入っているんです(1月4日)。一回だけだしもっと凄いことになるに決まっているので申し込んでも無駄に決まってるんですが、ものは試しだ、「頂戴!」って言ってみようかしら。
と言うのも、どうも売り切れコンサートの場合は、申し込んだけど買えなかった人を優先してくれるらしく、ちょっと前に私が買えなかった切符がリターンされましたがいかがですか?という電話がありましたもんね。さすが常連客を大切にするウィグモアホール。
ってことは、カウフマンのみならず最初から売り切れてるコンサートはオンラインでリターン狙っても絶対無理ってことでしょうね。
話をジョイス姐さんに戻すと、
今シーズンはバービカンのレジデンシーということで何度か出てくれて、次は10月10日のアルチーナ。これは見逃せませんから、それを聴いてから翌日に日本に発ちま~す。
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