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リゴレット by Verdi 2チーム比較

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<29th Sept Mon>

今週はオペラとコンサートが2回づつだけど、そんなに連ちゃんじゃないから楽勝か? でも、仕事が5連ちゃんでフル出勤だからなあ・・。

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3回観たリゴレットの2チーム比較です。


リゴレットってどんなお話なの? とご存知ない方は以前の記事をご覧下さい(→こちら )なのですが、要するに、

宮廷に仕えるせむしの道化師が娘を公爵に手篭めにされて復讐を図るが、暗殺計画に気付いた娘が身代わりになるという悲劇で、原作はヴィクトル・ユーゴーですからしっかりできていて、恋のはじまり、失恋、妬み、呪い、復讐、暗殺と悲劇オペラの要素が揃ってドラマチックにわかりやすいのでオペラ初心者にもお勧めです。

音楽もヴェルディの名作ですから、初心者だけでなく、聴けば聴くほど個々のアリアだけでなく全体の構成の素晴らしさがわかり、私は何十回も聴いてて全部ハモれますが、感心こそすれ、飽きることはありません。


9月12日と15日がAチーム、17日がBチームで、出演者の知名度からすると明らかに格差がついてるので一応A、Bと呼びますが、結局そんなに差がなかったので、Bチームをビッグスクリーン中継したのはあながち的外れでもなかったのかもしれません。


                 (カメラ以下の写真はクリックで拡大)



Director David McVicar

Set designs Michael Vale
Costume designs Tanya McCallin
Lighting design Paule Constable
Movement director Leah Hausman
Conductor Maurizio Benini
Duke of Mantua Saimir Pirgu / Saimir Pirgu (Pietro Prettiの代役)
Rigoletto Simon Keenlyside /Dimitri Platanias
Gilda Aleksandra Kurzak /Eri Nakamura
Count Monterone Sebastian Holecek / Dong-Hwan Lee
Maddalena Justina Gringyte / Nadezhda Karyazina
Giovanna Elizabeth Sikora
Sparafucile Brindley Sherratt / Alexander Tsymbalyuk
Marullo Duncan Rock
Matteo Borsa Luis Gomes
Count Ceprano Jihoon Kim

Countess Ceprano Kiandra Howarth

Page Andrea Hazell


    


クマリゴレット


4月にサイモン・キーンリーサイドがマスタークラスで「リゴレットは奥深い役だから色々考えてしまうんだ」と言ってたので覚悟してましたが、怖れてた通り、いつも以上に考え過ぎ作り過ぎだったのではないかしら。それをわかっていながら彼が出てる間は歌わない時でも双眼鏡でじーっと観察してた私が悪いのですが、一回目はそんなんで疲れてしまいました。俳優並みの演技力のサイモンを堪能するためにいっそ歌なしのお芝居で観てみたいものです。

2回目はなるべく肉眼で見るだけにして初めて歌をゆっくり聴けました。初日は2度ほど声がひっくり返ったりしてドキッとしましたが、2回目は安定してたし、お馴染みの知的なサイモン節でさすがに上手。 でも、私の好みとしてはサイモンはリゴレットには軽過ぎるかな。声も体も。


ディミトリ・プラタニアスが先回2012年春にグリゴーロとシウリーナ組でROHリゴレット・デビューした時は(→こちら )、歌は上手だけど演技が駄目だったのが残念だったけど、今回はかなり上達してて、というか素のままでぴったりの容貌なので、ビッグスクリーンでもすんなり受け入れられたことでしょう。リラックスして普通に歌うだけでそのままで素晴らしいリゴレットという得な人です。バービカンのコンサート形式のリゴレットでもまろやかだけど輪郭もはっきりしてる朗々とした美声を披露してくれましたが(→こちら )、今回はサイモンの頭でっかちリゴレットを観た直後だったので、更にプラタニアスの自然な演技が引き立ったかも。


というわけで、この役に限っては、好みの問題ですが、私の軍配はプラタニアスに。

     


   


おとめ座ジルダ


ポーランド人のアレクサンドラ・クルザクは大好きなソプラノだし、この頃はご贔屓アラーニャのパートナーで子供まで産んだ人ですからますます応援してますが、この悲劇のヒロインは彼女の良さを充分発揮できる役ではありません。それでももちろん歌も演技も凄く上手で魅力的なんですが、なめらかで軽やかなコロラチューラとコメディ演技が抜群な彼女にはロッシーニやモーツアルトで勝負して欲しいです。


対する中村恵理さん、フィガロの結婚ではクルザクには全く太刀打ちできなかったけど(恵理さんが2010年、クルザクが2012年)、今回のジルダでは負けてませんでした。ミュンヘンで主役の場数を踏んで余裕ができたということもあるけれど、この役は可憐な恵理さんに合ってるんでしょう。既に恵理さんの日のことは書いたので、感想とベストな写真は→こちら でどうぞ。

      



     




     


しっぽフリフリ公爵


Bチームはピエトロ・プレッティの予定だったのに、ビッグスクリーン上映の日は前日にAチームのサイミール・ピルグに変更となってしまい、ピルグを既に2回観てる私はがっかり


素晴らしいパフォーマンスであれば、特に上手なテノールの場合は何度も聴いても飽きないのですが、今回のピルグは絶好調というわけではなかったので、毎回聞き惚れたというわけでもなかったのでした。本当はもっと上手なのに残念。


      


ドクロ殺し屋


Aチームのブリンドリー・シェラットはROHにはちょくちょく出る立派な声量の初老バスバリトンですが、淡々としてるのに今までの殺し屋の中では一番声に迫力があったのではないかしら。


BチームのAlexander Tsymbalyuk はずっと若くてハンサムで絵になる悪役なのでビッグスクリーンでは映えたでしょうが、声は シェラットおじさんには全く及ばず。



   


ねこへびマッダレーナ


今回素晴らしかったのは殺し屋の妹役マッダレーナのJustina GringyteNadezhda Karyazina で、彼女たちのおかげで有名な四重唱のレベルもぐっと上がりました。



ROHのヤング・アーチストなのでしょっちゅう出てますが、二人とも声量があって声も艶があり素晴らしいメゾソプラノで、おまけに二人ともすらっと長身の美人。ズボン役もさぞや絵になって、研修が終わったらきっと大きく羽ばたくでしょう。甲乙付け難し。

     


指揮者はベテランのモーリッツォ・ベニーニで、派手さはないけど堅実。


今までのリゴレットは→こちら にヴェルディ一覧でまとめてありますが、切符の売れ行きはぱっとしなかったけど、まずまずの水準のパフォーマンスで、特にBチームは恵理さんの健闘もあって点数を稼ぎました。


10月3日にもう一度Aチームで観ますが、今度はどういうところに注目しようかしら?



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