行ったコンサートについて全部書くわけではないのですが、9月30日のダニール・トリフォノフのピアノ・リサイタルについては、いくら時間に余裕がなくても外すわけにはいきません。呆れるくらい素晴らしかったですから
Daniil Trifonov piano
Johann Sebastian Bach: Fantasia and Fugue in G minor, BWV.542 arr. Liszt for piano (12分)
Sergey Rachmaninov Variations on a Theme of Chopin, Op.22 (29分)
<interval>
Franz Liszt: 12 Etudes d'exécution transcendante, S.139 (61分)
アンコールは短いドビュッシー
あっ! 今月、彼は日本に行きますよ!
10月13日に横浜みなとみらいホール、10月21日に東京オペラシティで、彼のリサイタルがありますよから(→こちら )、是非是非是非! 東京と横浜で曲目が一部違いますが、肝心のリストのめっちゃんこ難しいエチュードは両方で弾いてくれるので、どちらでも。(くっそ~、は折角この頃日本にいるのにちょっと無理かも・・)。
他数箇所も回るようです。オケとの共演の日もありますが、リサイタルがお勧め(→こちら )。
更に、12月9日はカーネギー・ホールからオンラインで無料配信されるらしいです(→こちら )
ダニール君は、2010年にショパン・コンクールで3位、2011年のチャイコフスキー・コンクールでグランプリに輝いた23歳のロシア人ピアニストで、私は2年前にお隣のQueen Elizabeth Hallのかぶりつきで聴いてます(→こちら )。
その時の評判がきっと良かったのでしょう、今度は同じピアノ・リサイタル・シリーズですが格上げされてでっかいロイヤル・フェスティバル・ホールでのデビューとなりましたが、悲しいかな知名度がまだ低いダニール君、空席が目立つ淋しい状況でした。 私はもう行きませんがこのシリーズの中ではモーリッツォ・ポリーニ爺さんなんかきっとすぐに売り切れたに違いないのに、ダニール君がガラガラだなんて勿体なさ過ぎます
舞台の上の席は学生向けで7ポンドだそうですが、私はコーラス席の2列目の真ん中で、このセクション、最近は鍵盤側だと倍なんですが、私の席は境界線で僅か10ポンド。横顔と手がばっちり見える値段の割にはベストな席が取れてラッキーでした。
この日は仕事が忙しくて疲れてたので、前半は渋い曲でもあり(上手だったけど)ついウトウトしてしまってトーチャンに小突かれたりしましたが、後半は寝てなんかいられないほどの凄まじさで、1時間以上の長い曲ですが、ずっと「すっげーっ」、と呆気に取られっぱなし。
ずっとガンガンなわけではなく、静かで繊細な部分もたくさんあるのですが、それですらもの凄い集中力で、こよなく美しい音色(Fazoliというピアノ)に1時間以上ずっと聴き惚れました 2年前は「テクニックは凄いけど、いまひとつ心に響いてこない」という感想だったけど、更に上達して一回り大きくなり、その音楽性の高さに感動しました。
超難曲として知られるこのリストの超絶技巧練習曲集をちゃんと弾ける人が一体世界に何人いるでしょう。キーシンみたいに守りの体制に入ってしまった人は例え弾けてもおそらく弾いてくれないでしょうから、ダニール君のように怖いもの知らずな若い天才ピアニストが弾いてくれるのを聴くチャンスがあって本当に良かったです。テレグラフ紙の5ツ星評価も納得です。
尚、次のダニール君のロンドンでの演奏は来年5月17日で、又ここでラフマニノフの3番を弾いてくれます(→こちら )。切符はもちろん手配してあるのですが、海外遠征と重なってしまって行けなくなりそう・・
えらく暗かった上にちょっとしか後ろ向いてくれないのでろくな写真が撮れませんでしたが、上手に撮れた2年前の写真でご覧下さいね(→こちら
)。ワシ鼻と猫背で決して絵になるピアニストではないけれど、優雅に動く白くて細くて長い指は今まで見たピアニストの中で一番美しいかも
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