<11th Jan Sun>
音楽学校の無料パイプオルガン・コンサートに行った以外は今年になってからオペラもコンサートもなくてヒマでしたが、今日から3連ちゃんで又忙しくなります。まだ去年の書き残しも溜まってるのに・・。
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仮面舞踏会Un Ballo in Mascheraの新プロダクションについては既に12月15日にリハーサルを見てすぐに書きましたが(→こちら)、その後、本公演を12月18日初日と30日に2度観て良い写真もたくさん撮れたし、過去の歌手達と比較しながら書き残しておきます。
仮面舞踏会ってどんなオペラなの?ということもそちらの記事をご覧下さいですが、要するに、妻が浮気してると思い込んだ部下がその相手である上司を殺してしまうという話。 お前も死ねという旦那に「だって、私は悪いことは何もしてないから」、と言い訳する妻ですが、でもその上司のことを好きだという気持ちはあったわけですから、果たして罪がないと言えるかどうか・・
Music Giuseppe Verdi
プロダクションについては、私だけじゃなくオペラ仲間も皆さん「前回の鏡のプロダクションの方が良かった」、と言ってたし、そうでなくても、あまりに古めかしくてつまらないプロダクションなので、予想通り、初日のカーテンコールで製作チームが登場した時は氷のように冷たい拍手でした。
何を表現したいんだっ!という難解なのも嫌ですが、こういう退屈なのはもっと嫌ってことでしょう。
写真は全て初日のものですが、あら?、いつも座ってた舞台横の席は廃止されて淋しいって言ってたのに、このカーテンコール写真はまるでそこから撮ったみたいじゃない?
はい、そりゃそうです。ほぼ同じ角度から観る舞台から一番近いストールサークルの2列目に座りましたから。 でも、前の定席から1メートルくらいしか離れてないのに値段は5倍でしたもんね
いや、5倍しても、やっぱり近くから観たいのでこの席が買えるのであればこれからも頑張って財布の紐をうんと弛めますが、ますます人気になってしまったこの席をゲットするのは至難の業で、この日はラッキーでしたが、もうすぐ始まるヨナス・カウフマンのアンドレア・シェニエのなんか凄い売れ行きで残ってませんでしたもんね
2005年5月(→こちら ) マルセロ・アルバレス、カリタ・マッティラ、トーマス、ハンプソン
2005年11月(→こちら ) リチャード・マージソン、ニーナ・シュテンメ、ディミトリ・ホロスフスキー
(2009年の再演はパス。ラモン・ヴァルガス以外は無名の歌手だったので)
伯爵リッカルドのジョセフ・カレヤは、リハーサルの時は他の人たちがイマイチだったせいもあり彼だけが素晴らしく聴こえましたが、初日は不調で、ストレートに飛んで来る直球声が彼の持ち味なのになんだかピロピロ揺らして誤魔化して・・。
3度目に聴いた時は少し回復してましたが、恋の悩みを切々と叙情的に歌って欲しいのに、 単純明快なのが似合うカレヤにこの役は合わないのかもしれません。
10年前にマルセル・アルバレス(以下丸ちゃん)で聴いた感動したのがこのブログをはじめるきっかけにもなったくらいですから、カレヤも好きだし上手だけど、丸ちゃんのリリカルな美声には到底及びません。 愛しい丸ちゃん、今度はいつロンドンに来てくれるのかな~? このブログに彼専用のカテゴリーまであるのに。
亭主の上司と愛し合ってるけど、いやいや不倫はいけないわと必至で断ち切ろうとする健気な妻アメリアは、アイーダでROH初登場して以来その潤いのある美声に注目してるリュドミラ・モナルスティルスカ。
その後マクベスとナブッコでも素晴らしかったので今回彼女を一番楽しみにしてましたが、調子の良い日と悪い日の差が大きかったような。それとも、席によって聴こえ具合が違うのが原因かな? 今回舞台横のストールサークルとlower slipに2回座ったのですが、歌手によっては角度や音響が異なるとかなり違って聴こえるのかもしれず、この点はこの先場数を踏んで分析してみますが、近くから聴いた初日のリュドミラ嬢は最高で、ヴェルディをこれ以上上手に歌えるソプラノは今いないかもと思った程
高音は良いけど低音がまるっきり駄目なカリタ・マッティラ、その逆だったニーナ・シュテンメと比べると、リュドミラ嬢はまんべんなく音がきれいに出るのが強味で、好調の時の潤いと張りのある声の素晴らしいこと。 不調の日でも3人の中ではベスト。
細やかな演技もなかなかのもので、これで美人だったら人気スターになれるのに・・。 ナブッコではそれまでよりほっそりしてたのにまた肉が付いちゃったけど、これ以上太らないようにしましょうね。
妻の浮気相手だと確信して上司を殺してしまうレナートは今回も又ディミトリ・ホロストフスキー(以下ホロ様、今回は様を付けてみよう)・・・
舞台横の高い席(60ポンド)を買うのを躊躇したのはホロ様のせいで、結局は買ったのですが、願いもむなしく代役に代わることなく、彼のあの苦しい息継ぎをまじかで聴く羽目に・・。 先回聴いたときも思ったけど、ホロ様の声はまろやか過ぎて、怒るのが特徴のこの役には合いません。 トーマス・ハンプソンは大袈裟にエッジを利かせてくれてなかなか良かったので、ハンプソンの勝ち。
マリアンヌ・コルネッティは、2009年のカウフマンのドン・カルロで(ルックスは別として)なかなか良かったエボリ公女でしたが(→こちら )、低音の迫力が必要な占い師ウルリカ役には力不足。前はラリッサ・ディアコヴァだったと記憶してますが、ロシアの迫力おばさんディアコヴァに敵うわけがありません。
小姓のズボン役オスカルは、なんと年齢的に信じ難いローズマリー・ジョシュアの予定で、楽しみにしてたのに降りてしまい、代役は名前を聞いたこともないセリーナ・ガンベローニ。
張りのある声はよく響いてなかなか良かったけど、一本調子だったのと、容姿も声も硬くて華やかさに欠けるのが残念。日米ハーフのアンナ・クリスティの軽やかでふわっと可愛いオスカルが懐かしいです。
指揮者はダニエル・オレン。いつもはエネルギッシュなんだけど、このつまんないセットを目の前にしてはやる気が起こらなかったのか、妙におとなしくかったような。
と言うわけで、主にプロダクションのせいで、なんかパッとしない残念な仮面舞踏会でした オペラ自体は音楽的には名作だと思うんですけどね。
来週始まるアンドレア・シェニエの新プロダクションはあっと驚かせてもらえるでしょうか? 20日の初日にまず行きます!
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