ロンドンと東京が姉妹都市になったそうですね。その調印式のためにロンドン市長が日本で愛嬌ふりまいているようですが、ユニークでにくめないキャラのボリス、一見庶民的ですが、イートン、オックスフォード出のお坊っちゃまで、既にロンドン市長から退くことを表明。権力あるロンドン市長をやめて次はどうするのかと言うと、そりゃ当然、狙うのは首相の座で、労働党が崩壊し、キャメロン首相も在任期間限定した今、ボリスが首相になる可能性は大いにありです。
ベルリンのマイスタージンガー、クラウス君以外のことはまだこれからですが、その前に、来日公演を控えたレオ・ヌッチを先にアップします。
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10月13日、ベルリンから戻った翌日にカドガン・ホールでレオ・ヌッチのリサイタルがありました。去年はキャンセルされてしまったので、言わばそのやり直し公演のローゼンブラット・リサイタル・シリーズ。
バリトンには興味のない私ですが、なぜかヌッチには惹かれるものがあり、昔のパヴァロッティと共演してた頃の録音をよく聴いてました。日本にはよく行くくせにロンドンには滅多に来なくて(そういう歌手が多過ぎる)、ROHで聴けたのはゴレットとナブッコですが、どちらも「この年にしては凄いし、さすがの存在感だけど、全盛期の声とはきっと比べ物にならないんだろうなあ」、という感想。
今回も、大した期待は持たず、「たとえ化石になってても(そこまでひどくないのは承知だけど)、かぶりつきで接するのは嬉しいし、かつて愛した人の行く末を見届けよう」、という気持ちで臨んだのですが、やっぱり目の前で聴く迫力はすごくて、もし彼が誰だか知らなくても、「コントロールと表現力に優れて、まだまだ現役のベテラン歌手だ」、と思ったことでしょう。
とどろき渡るような声量と独特のねっとりした歌いまわしは消えてしまったけど、それでも「ああ、これこれ」、と思うヌッチ節は時折聴けてので、充分満足しました。 (以下の写真はクリックで拡大)
Leo Nucchi baritone
ローゼンブラット・シリーズにしては地味なプログラムですが、その代わりにアンコールはたっぷり5曲、しかもポピュラーなものばかり並べ、忘れな草はヌッチの先導で観客が合唱もして、大いに盛り上がりました。 どれも良かったですが、リゴレット=ヌッチの私には、最後に歌ってくれた一番の聞かせどころのアリアに感無量(ROHで何度か聴いたけど、目の前で歌ってもらえて感激)
ロンドンにはあまり来ないので忘れられたか、切符の売れ具合はとても悪かったのを、ローゼンブラット氏が必死で無料客を招いてかなり埋まってましたが、そういう人はオペラにも行かないだろうから、ヌッチが何者か知らないわけですが、それでも皆「凄く上手な爺ちゃんじゃないか!」、と驚いて、最後はほぼ総立ち状態 それが本当の実力ってものですね。ヌッチ爺も嬉しそうでした。
私は着物で行きました。この日はコリアン・レストランのランチにも行ったので、そこで浮かないように地味な色柄にしたのですが、一緒に着物で行く予定だった胡蝶蘭さんが体調悪くて洋服になってしまったので、私一人ならもっと華やかなのにすればよかったかな。
でも、地味でも最前列ほぼど真ん中に座る着物姿の私にはヌッチも気付いてくれたようで、時々目が合いました。 この直後に日本公演ですから、日本からわざわざ来たとは思わなかったでしょうけど。
ローゼンブラット主宰の地方イベントにもいらっしゃったことのある胡蝶蘭さんはローゼンブラット弁護士とはすっかり顔馴染みで、開演前にも彼の方から挨拶に来てくれました。私とウィグモア・ホールに着物で一緒だったことも覚えてて、「あれ、今日は着物じゃないの?」、と。ほんと、着物でご一緒できなかったことだけが残念でした。こないだ一緒にコーディネートも考えてあったのに・・。
そのローゼンブラット氏、数少ない自腹の客(笑)でしかも行く時はいつも最前列に陣取る私たちへの感謝もあるのでしょう、終了後になんと舞台裏に一緒に行こうと手招きして下さったです。その前に「ステージドアで待ってるつもりなんですが、ちゃんとそこから出てくるのでしょうか? それとも、裏口から逃げて食事にでも?」、と尋ねておいたことも役立ちました(ちゃんとステージドアから出るからということで、実際、20人くらいが待ってました)。
去年日本でヌッチのコンサートに加え「ファンの集い」にも参加なさり、その記念写真をプリントして持参してヌッチにサインをお願いした胡蝶蘭さんに、老眼で写真が見えないヌッチ爺ちゃんは律儀に老眼鏡を必死で探してくれました。結局、燕尾服のポケットに老眼鏡はあり、眼鏡付きでのツーショットも。 思い掛けない優遇もして頂けて、幸せな夜でした。
あまり英語はお得意ではなさそうで、老眼鏡を探しながらイタリア語でなにやらぶつぶつも言ってましたが、日本びいきの彼は「明日、日本に向けて出発するんだよ」、と嬉しそうでした。 日本ではコンサート2回とマスタークラスもあるそうですが、日本のファンの皆さん、楽しみですね。
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