<13th Nov Thus>
今日は午前中だけ働いて、夜はミルトン・キーンズでオペラ。グラインドボーンの地方公演でヘンデルのサウルですが、出掛ける前に、3日前に聴いた同じヘンデルのコンサート・オペラのレポートをアップしましょう。CT祭りの今月のハイライトのひとつ。
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11月10日、バービカンでヘンデルのイタリア語オペラ「タメルラーノ」Tamerlanoのコンサートがありました。
タタール皇帝タメルラーノ(婚約者がいる)が捕虜にしたトルコ太守の娘(恋人がいる)に横恋慕するゴタゴタ劇で、復讐だの暗殺だの大騒ぎした割には、最後はあっさりハッピー・エンドというヘンデルらしい展開ですが、歌合戦ですから、内容なんてどうでもいいんです。
突っ立って歌うだけのコンサートでしたが、私は2010年春にROHでやった時の(→こちら 。ドミンゴ先生がキャンセルしたりして大騒ぎでしたが)、エキゾチックでゴージャスで美しいプロダクションを思い浮かべながら聴きました。
かぶりつき席で、目の前に歌手が立ってたのに音符台が邪魔で顔がほとんど見られなかったのは残念でしたが、素晴らしいパフォーマンスを全身に浴びて、ぞくぞくしました ヘンデルの傑作とは言い難い作品ですけど。
Handel Tamerlano
Il Pomo d’Oro
Maxim Emelyanychev conductor
Xavier Sabata Tamerlano
Max Emanuel Cencic Andronico
John Mark Ainsley Bajazet
Julia Lezhneva Asteria
Romina Basso Irene (Ruxandra Danoseの代役)
Pavel Kudinov Leone
拍手が一番大きかったのは、やっぱりユリア・レジネヴァ。
凄いコロラチュールをこれみよがしにたくさん歌ったわけではなく、控え目にしっとり歌う部分が多かったのですが、声自体の迫力と魅力には皆ころっとするでしょう、そりゃ。
5年半前、ユリアちゃんがまだ20歳の時にここでヴィヴァルディを歌って皆ぶったまげたのは今でも仲間うちでは語り草です(→こちら )。
尚、インターバルで衣装を変えたのですが、前半も同じデザインで色がちょっとだけ違う濃いピンクだったという理解できない衣装変え・・。
衣装と言えば、この人。マックス・エマニュエル・チェンチッチは、今日はさすがに自分だけ目立っちゃまずいってんで、彼としては抑え気味なんでしょうね、これでも(笑)。 去年のウィグモア・ホールと比べて下さいまし(→こちら )。最前列の私もこんな感じの帯で行くべきだったかしらん?
で、チェンチッチ、歌はどうだったかというと、これが予想外によくて、私が今まで聴いた中ではベスト。テクニックは立派でも声に惹かれたことはなかったのですが、しっとりして素敵。すっかり見直しました これで、12月28日のウィグモア・ホールのコンサート(→こちら )が一気に楽しみになりました。
もっとも、チェンチッチが魅力的に聞えたのは、もう一人のCTであるザビエル・サバタがひどかったせいもあるかも。サバタさんは初めて聴いたのですが、ゴツゴツで低音になるとすぐ地声になっちゃう醜い歌唱にがっかり
ユリアちゃんのお父さん役はイギリス人テノールのジョン・マーク・エインズリーで、実力を充分発揮。
リュクサンドラ・ドノセの代役のロミーナ・バッソは聞いたことない名前ですが、端正な声と歌唱で上手でした。
ちょい役のバリトンPavel Kudinovも格好よくて、ますますサバタさんが霞んでしまったのでした。不調だったのでしょうか? それとも、いつもこの程度?
指揮者は、学生にしか見えないロシア人のMaxim Emelyanychev 。27歳だそうですが、細い体で熱く軽やかにチェンバロ弾きながら指揮する姿は爽やかでした。
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