<15th Nov Sun>
テロの危険ということではロンドンだって物騒だから、こういう時は余程の用がない限り、家でおとなしくしてましょう。おかげで色々片付きました。
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11月13日にミルトン・キーンズ劇場でオペラを観ました。劇場については→こちら をご覧下さい。
ヘンデルのサウルは、8月にグラインドボーンで見た素晴らしい新プロダクションですが(→こちら )、旧約聖書に出てくる二人のイスラエル王のお話で、老いたサウル王がのし上がって来てやがてダビデ王になる青年に嫉妬してあれこれ意地悪するという英語オラトリオです。
遠くて不便なのに、今回また行った主な理由は、8月に書いたように(→こちら )、以下3点。
トーチャンにも見せてあげたかった。フェスティバルの本公演は200ポンド以上したけど、ツアーは安くて、これは僅か50ポンド。それくらいなら二人分払っても大丈夫
ダビデ役のカウンtナーテナー、クリストファー・エインズリー、声も容姿も好きなんですが、筋肉マンの彼が上半身裸になるこの役を見逃すのはあまりにも惜しい
グラインドボーンで聴いた素晴らしい脇役テノールのベンジャミン・ヒューレットがドサ回りでは大きな役に格上げされるので是非聞きたい
そして、幸い、全ての点で期待以上の結果となり、ウィグモアのフランコ・ファッジョーリを泣く泣く蹴ってまで行った価値はあったというものです。
どうしても、8月のグラインドボーンでイエスティン君が歌った時(→こちら )と比べてしまうわけですが、ドサ回りでも良い歌手を揃えてくれて、見劣りしなかったどころか、こちらの方がパフォーマンスのレベルは高かったくらいで、特にドラマとしてドサ回りチームの圧勝。
Director Barrie Kosky
Revival director Donna Stirrup
Designer Katrin Lea Tag
Choreographer Otto Pichler
Revival choreographer Silvano Marraffa and Merry Holden
Lighting designer Joachim Klein
Merab Sarah Tynan
Michal Anna Devin
Saul/Apparition of Samuel Henry Waddington
David Christopher Ainslie
Jonathan Benjamin Hulett
High Priest / Abner / Amalekite / Doeg Stuart Jackson
Witch of Endor Colin Judson
Dancers
Otis-Cameron Carr
Henry Curtis
Robin Gladwin
Ellyn Hebron
Thomas Herron
Merry Holden
Glyndebourne Tour Orchestra
Conductor Laurence Cummings
ドラマとして盛り上がった理由はいくつかありますが、まず、ダビデ役のクリストファー・エインズリーがビジュアル的にぴったりだったことが一番大きいでしょう
小柄で童顔のイエスティン君は、リナルドの高校生のユニフォームは似合うけど、立ってるだけで賞賛と憧憬を集めるセクシーな勇者には見えませんが、長身で精悍な美男子であるのクリスはどんぴしゃで、格好良いったら
ダビデ役は歌はそんなに多くないけど、ドン・ジョバンニと同じで、彼がセクシーで魅力的でないと回りの人が彼に惹きつけられることに納得いかないですから、大事なんです。
で、6列目だと思ってたのでクリスを見るために双眼鏡を持参したんですが、最前列とわかり、「うーん、こんな近くなのにこれ使ったら変態と思われるだろうな・・」、と躊躇。でも、結局、勇気(?)出してしっかり使いましたとも。クリスが裸の時だけ使ったらヒンシュク買うかもしれないと思い、見たくない人にもカムフラージュしながらね
クリスは歌も演技も素晴らしかったので、この役に関しては絶好調ではなかった8月のイエスティン君より良かったです。特にカウンターテナーが好きでもないトーチャンが「今日のベスト歌手はクリスだ」、と言ってくれたので、私のえこ贔屓だけではなさそうです。
でも、歌唱面でベストだったのは、ダビデに心酔するジョナサン役のベンジャミン・ヒューレットじゃなかったかしら。滑らかによく伸びる声とコントロールの利いた素晴らしいパフォーマンスでした。体当たりの真摯な演技も光って、これはもう誰の目にも夏のフェスティバルのテノールよりも全ての面でマッチベターなのは確か。
ミルトン・キーンズ近辺の出身とのことで、きっと親戚や知り合いもたくさん応援に来てただろうから、カーテンコールでもっと笑顔を見せてくれたらよかったのにね。また彼に送ってあげようとたくさん写真を撮ったのにさ・・。
ハンブルグのアンサンブル時代に魔笛のタミーノやコジのフェルランドを歌ったこともあるという言うベン君、まだROHではいつもちょい役で、もうすぐ道化師にも出ますが、早くROHでも大きな役が回ってきますよう・・。
タイトルロールのヘンリー・ワディントンも、夏のフェスティバルにも何度か出たくらいだからとても上手でした。でも、長い間パンツ一丁姿になった時の肥満体が醜かった・・。
サウルの娘二人を歌ったサラ・タイナンとアンナ・デヴィン、二人ともすらっとエレガントだし濁りのない細い声が素晴らしくて、夏のルーシー・クロウとソフィー・ビーヴァンの姉妹役よりも私好み。
ベン君が夏にやった高僧役、今回はステュワート・ジャクソンという縦横でっかい異様な容貌の英人テノール。声量が凄くて上手だったけど、怪物のようなルックスでどういう役がぴったりはまると言うの? お願いだから痩せてね。
指揮者のオルガン演奏が下手くそだったのが唯一気になったけど、ミルトン・キーンズ劇場は舞台も大きいのでフルスケールで見応えある舞台だったし、パフォーマンスも最高級で、とても楽しめました。
但し、技術的に無理だったのか、オルガン弾きながらくるくる回る場面がなくて、そう言えばリナルドのドサ回りも本公演とちょっと違ったこともあるし、やっぱり値段が安い分、手抜きすることもあるみたい。
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