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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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セルゲイ・ポルーニン   反逆児ダンサーのロンドン初仕事

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<25th March Sun>

夏時間になって一気に日が長くなり、本当に夏が来た気分。イギリスの季節感は気温ではなく日の長さだから。

今更ですが、ちょっと前に観た話題の人のバレエのことを書いておきしょ。

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3月13日、着物でサドラーズ劇場に行きました。

この3日前の東北震災チャリティ・コンサートにはイベントの性格上うんと地味な着物で行ったのですが(→こちら )、この日はいわばその反動できれいな色が着たくなり、濃いピンクにお花がたくさん舞ってる小紋にし、キラキラ銀色の帯と、写真よりもっと鮮やかな帯揚げと帯締めといういつもの若作りコーディネートになりました。


ピンクと水色という洋服ではあり得ない組み合わせ、いかがでしょうか?洋服感覚で着物を着る人もいますが、私は折角着物を着るのであれば、洋服とはなるべく違うコーディネートにしたいと思っています。


これが今年15回目の着物お出掛けで、→こちら にまとめてあります。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)       London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


観に行ったのはMen in Motionというタイトルのバレエ公演で、先月ロイヤルバレエを電撃退団して世間をあっと驚かせたセルゲイ・ポルーニンがお目当て。(辞めたときのことは→こちら )。古典以外を踊りたいというのが退団理由の一つだったらしいので、辞めて自由になった彼がどんなことするのか興味があり、前から2列目で45ポンドも奮発したんです。

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

男性ばかりかと思ったら、女性ダンサーも出てきましたが、やけに短かった上、なにもない舞台がほとんどで、小編成オケはいたけど時には録音が伴奏というしけぶり。座長のイヴァン・プトロフ(元ROHプリンシパル)はここでこういうのを時々やっているらしいけど、今回は話題の男ポルーニンが出ると言うのに切符の売れ行きは悪く、果たしてこれでやっていけるのかしら。私みたいに、ポルーニン話題で来てはみたものの、内容の割には切符代の高いこのシリーズにはもう二度と来ない人も多いかもしれないし。でも、サドラーズ劇場が必要なビザを取ってくれたらしいので、恩ができちゃったね。


短い8作品のダンスのうちポルーニンが踊ったのは3つ(L'apres-midi d'un faune/Narcisse/James Dean)で、予備知識ゼロで臨んだ上にバレエには疎い私の感想など無視して下さい、なんですが、一応手短に書いておくと、


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
田園風の雰囲気の中でL'apres-midi d'un faune(午後の牧神)は静かな動作だからこそ難しいらしいのですが(後で知った)、思わせぶりにじーっとしてるだけで、「一体いつクルクルぴょんぴょんしだすのかしら」、と待っていたのにそのままで終わってしまい、「えーっ、ポルーニンのジャンプを観にきたのに、なによこれ。座ってるだけじゃん」、とがっかり。


Narcisseでやっとジャンプしてくれたのは嬉しかったのですが、特に凄かったとも思えないし、ガラーンとして暗い舞台で一人淋しくぴょんぴょんしても、ROHの時みたいなうわーっ!という華やかさは一切なし。

やっぱり、ROHの王子様役でやってた時みたいに、きらびやかな舞台と衣装と賑やかしで立ってるだけでも他のダンサーたちがいる方が盛り上がるってことなんでしょう。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン) London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


ポルーニンの思い入れが一番入ってるのは自ら振り付けもしたJames Deanに違いないのですが、「ほら、今の僕ってジェームス・ディーンの理由なき反抗を地で行ってるでしょ?」、という独りよがりのコンセプトだけで、特にユニークな動きもなく、さらにTシャツとジーンズではダンス的に制限される上、顔の表情にも大事だろうに舞台近くに座ってた私ですら特に感じるものもなく・・・。(まあそれはジェームス・ディーン自体に共感しないのが原因かもしれなくて、若い時に彼の映画は全て観たけれどどうしても好きになれませんでした。ジャイアンツでも、ひねくれ者のディーンより、まっとうな古いタイプのロック・ハドソンの方がずっと素敵だと思いましたもん)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
とにかく、セルゲイ君、大劇場で指示されるまま踊るより、自分のやりたいものだけを自由にやらせてもらえることが今は嬉しいんでしょうけど、ROHのきらびやかさとは程遠いこんな場末の劇場で踊ることが君のやりたかったこのなの?その上、空席も目立って、舞台から見たら淋しい光景でしょうに。


大劇場の歯車の一つでも、先輩たちの垢のついたちゃらちゃら王子様役でも、時を経て支持されてる伝統は価値もやりがいもあるわけだし、せっかく過去も現在も含めて誰よりも上手に踊れる才能もあるのに、勿体ないとは思わないの?


ROHから飛び出したことは若気の至りと私は思うけど、それが良かったかどうかは全てこれからのセルゲイ君の踊りにかかっているわけで、享楽的な性格らしいのが心配だけど、青春を謳歌しながらも踊りにだけは精進して、慎重に選びながら、世界中で活躍して欲しいものです。先は長いし、21歳、ほっそりした体つきをみてもわかるように、まだ少年だもんね。


数年後には、この日瀕死の白鳥を踊って一番受けてたAndrew Bowmanみたいな成熟したマッチョで男らしいボディキスマークになれるかもしれないから、待ってるわ、その日を。


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