<8th Apr Fri>
出勤前に、昨夜のルチアの初日について大急ぎで書き殴り。
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昨夜のランメルモールのルチアの新プロダクションの初日のカーテンコールはブーイングと拍手喝采が混じってましたが、私は両方に共感できます。
発想の転換は面白くて、なるほど、この方がルチアの悲しみがより理解できるかもと思う反面、懲りすぎという気もしました。
妊娠中でつわりに苦しむルチアはメイドの助けを借りて新郎を計画的かつ冷徹に殺し、ナイフも使うけど窒息死なのでほとんど返り血は浴びず、あれ?、と思ったら、そこで流産してしまい、のた打ち回って激しく出血して気がふれちゃうんです。 なので、狂乱の場面の血はは自分の血なんですね。それも流産でドロドロの・・。でも、演出家の自己満足ではなく、ルチアの悲しみを表現するためと私は思うので、嫌悪感はありません。
それをわからせるためには殺人場面を見せる必要があるわけで、その時舞台の半分でやってたエドガルドとエンリーコのやりとりなんか見てないし、まあそれはいいとしても、最初から終わりまで通常の場面の隣で普段は見えないシーンが展開されてるのは気が散るし、説明し過ぎ。幽霊やルチアの妄想の人物が始終うろついてるのも邪魔くさい。
設定は19世紀初頭で、舞台はまともで美しくゴシック風でもあり、奥に深くないので横の席から見切れる部分も少なくてよかたです。演出家のケィティ・ミッチェルはWrittenn on Skinも手がけましたが、分別された部屋、思わせぶりにうろつく幽霊や天使、というのが特徴でしょうか。
しかし、一回目は何が起こるんだろうとワクワクしましたが、何度も見たくないでしょうから、そのうち目を瞑って聴くことになるかも。ダムラウで少なくとももう一度観るし、来月はクルチャク組で続くんです。
尚、事前に「セックスとバイオレンスと血の場面がありますからご覚悟を」、という警告があり、前者は最初の密会で二人がまさにヤリながら歌うという、観るほうも赤面しそうな二重唱でした。テノールは上半身裸でズボンもかなりずり下げて、これがデブのテノールだったら醜い場面になるだろうな・・。
ブーイングの理由がこの場面が理由だった人も多いのではないかしら。私はそうです。ルチアが積極的に男の服を脱がせたりするし、殺人直前にも新郎に対してそうするのでルチアはまるで色情狂・・。
Lucia di Lammermoor
ドニゼッティの流れるように美しい音楽はもちろん、パフォーマンスは文句無く素晴らしかったです
思えば6年前にベルリンまでダムラウのルチアを観に行ったのにキャンセルされてがっかりしたのですが、これでやっとリベンジができました。悲劇のお姫様にしては元気溌剌過ぎますが、今回の性的にアクティブなルチアにはぴったりかも。ずっと出ずっぱりで、生々しい芝居をし続ける今回のルチアは大変なので、さすがダムラウ、見事でした
ダムラウが素晴らしいのは当然ですが、カストロノーヴォも悪くなかったのが救いでした。バリトン声の彼は苦手だけど(ほら、こないだ彼が代役になった椿姫、途中で帰ったでしょ)、今回はかなりテノールらしくなってて、聞惚れるほどではありませんが不快感ななかったです。何度も聴きたくはないですが。
テジエはもちろんメチャ上手だし、バリトンには興味のない私でも聞惚れたくらい。来シーズンのドン・カルロが今から楽しみです。
他の脇役たちも皆さん上手で、ビクトリア朝の衣装も美しく、全体の水準を上げてました。
因みに、カーテンコールでルチアがなざ黒いガウンなのかは、それまでお風呂に入っていたからです。「あ~っ、もう私色々あって疲れたからお風呂に入ってゆったりしよう」、というわけではもちろんなく、クスリを飲んで手首を切るわけです。そこまで見せなくても・・、でしょ?
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