<12th May Sat>
ロバート・カーセン演出の新プロダクションのファルスタッフのリハーサルはビジュアル的にはとても楽しめました。詳しくは、今日プロのカメラマンが撮ってた舞台写真を待って、15日の初日を観てから書きますが、ウィットに富んだとセットと洒落た衣装はグーで大受けでした。これで歌手がよければ文句ないんですけどが、誰も下手じゃないものの、何度も聴きたくなるような一流の人がいなくて、残念な意味で粒が揃ってます。でも、コメディは難しいだろうに芝居は上手で、なによりも、こんな役柄と歌手の容貌が一致するオペラは滅多にないので新鮮。
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5月8日、ロイヤル・アルバート・ホールのフローレス王子のリサイタルに行きました。
弁護士の趣味が高じてはじまったRosenblattシリーズなんですが、今回は数日前にパリのシャンゼリゼ劇場での公演もあったんだそうで、道楽もここまで行けば立派なもの。
しかし、今回は、他の歌手のリサイタルで切符の売れ行きが悪くて損ばかりしてる分をシリーズのドル箱であるフローレスで一気に稼ごうとしたに違いなのですが(よく気持ちはよく理解できる)、大き過ぎてクラシック音楽には向かない上に行くのも不便なので嫌いなRoyal Albert Hall。フローレスのリサイタルともなれば張り切ってかぶりつきを全力でゲットする私も今回ばかりは躊躇して、結局、やるのであれば行かないわけにはいかないでしょうから、65ポンドの切符を奮発しましたが、もしこの日ドタキャンしても大してがっかりしないだろうとすら思ってました。
話が少し反れますが、私はフローレスのリサイタルは2001年以来皆勤賞と思っていたのですが、それは間違いで、2006年のプロムスに彼が出た時はロイヤル・アルバート・ホールだからという理由で行かなったのを思い出しました。
そんなわけで、実はあまり楽しみにしてなかったんですが、行って良かったと思えるくらい素晴らしいコンサートでした。
BELLINI Il Pirata (Overture/Nel furor delle tempeste)
ここにはほとんど来ないので状況がよくわからず、彼がマイクロフォンを使っていたのかどうか定かではないのですが、前から3列目で3、4メートルの席でストレートに声が届く私には関係なくて、鋼(はがね)のようなと形容してもいいような力強い声にびっくり。
これまでもそう思ったことはあるけれど、今回の迫力は凄まじくて、いつもは甘いフローレスの別の面を再認識。彼の特技である声転がし名人芸がほとんど聴けなかったのは残念だけど、ストレートに高音を張り上げられる曲を選んだということは、やっぱり生だったんでしょうか?
しかし、コロコロしなくてもフローレスの凄さを嫌と言うほど見せ付けられたのはある意味私にとっては新たな発見で、一時やってみたもののまだ時期ではないと言ってやめたリゴレットの公爵も再開のようだし(2008年の幻のリゴレット、私はドレスデンで聴きましたが→こちら
、そんなに良いとも思えませんでした)、今回とても良かったトラヴィアータのアルフレードもやるんでしょうか?
満席からはほど遠かったとは云え、クラシック・コンサートでは珍しい派手な声援が飛び交い、やってる最中にフラッシュ焚いて写真撮る人もいて、いつもと違う熱気のあるコンサートでした。オーケストラだけの演奏も「なんだよ~、どえらい水増しのじゃねえか」、と怒る程多くはなかったのも好印象(但し、オケは下手だった)。
フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、英語で歌ってくれて大サービスでしたが、私にはオペラのアリアを並べた前半の方が楽しめました。後半は場所に合わせて大衆受けを狙ってか、ちょっと歌謡ショーみたいになっちゃいましたから。
アンコール曲については、直前のパリのコンサートにもいらした知り合いにあらかじめ伺ってたのですが、連隊の娘、リゴレット、グラナダという恒例の曲ばかり。女心の歌とグラナダは聴き飽きたのでいい加減止めて欲しいと思ったりもしましたが、折りしも今ROHでやってる連隊の娘のメザミのハイCは何度聴いても興奮
こうして、特に大ファンではないけれどフローレスのまだ進化してる超一流の歌を聴いてしまうと、来年4月にヨナス・カウフマンと重なってるコンサートにも行きたくなってしまい、あらためて同じ日(4月21日)にやる残酷さと愚かさに腹が立つわ。 フローレスもカウフマンも大スターとは言ってもオペラファン数は知れてるんだから、ぶっつけたらお互い損でしょうに・・・。実際、バービカンのフローレスもロイヤル・フェスティバル・ホールのカウフマンもたくさん余ってるじゃん
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