<22nd Sept Fri>
昨日いよいよ東京でミュンヘンからのタンホイザーが始まりましたね。「2017年秋」とだけ発表された時には行く気満々で楽しみにしてたのに、結局9月後半という会社が休めない時期と重なってがっくりの私、悔し紛れにYoutubeでフォークト様を観漁ってます。いいなあ、日本のオペラファンの方々が羨ましいです。切符代が馬鹿高いと仰るでしょうが、いいじゃないですか、日本まで来てくれるんだから。ロンドンにはろくな引越公演は来ないので、観たかったら飛行機代とホテル代と時間掛けてこちらから出向くしかないんですよ。
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新プロダクションのラ・ボエームの初日の様子は記事にしましたが(→こちら)、9月19日の3回目のパフォーマンスに又行きました。
La bohème
Mimì Nicole Car
Rodolfo Michael Fabiano
Marcello Mariusz Kwiecień
Musetta Joyce El-Khoury
Schaunard Florian Sempey
Colline Luca Tittoto
そしたら、ムゼッタが代役ですって。 初日は長年脇役でぱっとしなかったシモーナ・ミハイがついに花開いて素晴らしかったのでもう一度聴きたかったのにがっかり。降板の理由はスケジュール変更ってことですが、ROHで大きな役をやること以上に大切なことが彼女にあるのでしょうか?!
ジョイス・エルコーリーJoyce El-Khouryは, ゲオルギュー似のレバノン系カナダ人の美人ソプラノで、7月にカドガン・ホールでマイケル・スパイヤーズと共演したし(→こちら)、2月にはROHの椿姫のヴィオレッタでした(→こちら)。 そこそこ上手だし舞台映えするので期待したんですが、これが全く演技が地味過ぎてつまらないムゼッタ。 しかも不調だったのでしょう、貧しい声で精彩なし。最後のミミが死ぬ場面でのしっとりとしたムゼッタは悪くなかったですが、ムゼッタはぱーっと派手で華やかでなくっちゃね。
その予想外に素晴らしかった初日のシモーナ・ミハイ、今気付いたのですが、なんと9月23日と10月10日はミミ役ですよ。 これは春に発表された一年の当初予定でもそうなってますから、大抜擢。 今となっては安い切符は残ってないので行けませんが、シモーナちゃんのミミも聴きたかった(リターンがあるかもしれないので狙いますが)。 因みにミハイ嬢がミミの日のムゼッタは今回の地味なジョイス嬢。ってことは、急なムゼッタじゃなくて充分演技指導もされてる筈なのにこれではミスキャストでしたね。
後ろの落書きは歌手たちがその場で毎回殴り描きしてます。真ん中のは主にクヴィちゃん作。
この日はロドルフォ役のマイケル・ファビアーノが圧倒的に抜きん出てました。 初日と二日目のような彼に対するスタンディング・オベーションはなかったですが、立派な声量とコントロールの効いた素晴らしいテクニック、初日は緊張気味だった演技も板についてきて超一流。 美声でも好みの声でもないしルックスはこんなだけど、ファビアーノは凄い。冬のリゴレットが楽しみだ
初日はまるで主役だったマルチェロ役のマリューシュ・クヴィエチェンは、勿論上手いのですが、お相手のムゼッタが地味だったせいもあるかもしれないけど、控え目で普通の準主役ぶりでした。
ミミ役のニコール・カーも初日は緊張気味だったけど、3回目ともなると最初からちゃんと声が出てなかなか良かったのですが、凄いファビアーノと対等とは言えず。
ところで、ミミのドレス、他の場面では貧乏人らしく超地味なグレー掛かった紺色だったのに、死ぬ場面はレースなんか付いてて華やかなのを着てるのが不思議だったんですが、これは3幕目でムゼッタが雪の中でマルチェロと喧嘩する場面でちょっとだけ見せたドレスではないかしら? ムゼッタが着てた時には鮮やかなイエローだったのにミミのは黄土色なので同じドレスとは気付かなかったんですが、ムゼッタがミミにお下がりとしてプレゼントしたものを病気のミミが着古して汚れたんでしょう。 男たちとは別れてもミミとムゼッタは交流があったということで、ムゼッタの優しさが強調されるにくい演出ですね。
折角ですから、10月3日にもう一回行くことにします。 その日は映画館で生中継もされますよ(→こちら)。
願わくば、その日はニコール・カーが病欠でミハイルがミミで登場すると私は嬉しいけど・・。