<3rd Feb Sat>
今日はカルメンの新プロダクションのリハーサルでした。カルメンがどんなお話かは以前の記事でどうぞ(→こちら)。
ROHでは初めてですが、すでにフランクフルトで一昨年お披露目されてるので、写真で少しは知ってましたが、なるべく白紙の状態で臨んだところ、「えっ!、・・なんかいつものと違うけど・・」という場面がたくさんあり、面食らってしまいました (色んなバージョンがあるそうです)
insightイベントの録画(→こちら)で演出家や指揮者の説明を聴いたら納得できましたが、一度だけしか行かない方はまずこれを観てからご覧になる方がいいかも。私はあと何度観るか決めてませんが、次は全く違う見方が出来そうで楽しみです。
ネタバレになっちゃいますが、セリフの代わりにスピーカーで女性があれこれ喋るのが(フランス語で)、私は一番違和感があって嫌でした。演出家によるとこれはカルメン自身の想いだそうですが、セットは階段だけで他にはどういう場面なのか示すものがなにもないので、「これは山奥。山賊たちが集まってあれこれしてます」とか「闘牛士がカルメンに名前を尋ねました」というト書きはないと全く状況がわからないから必要としても、登場人物の生い立ちまでここで教えてくれなくてもいいのではないでしょうか。 ト書きを字幕で書くだけにして欲しかったです。
ダンスがたくさんあるのはカルメンの音楽に合ってるし、モノクロ中心のクールな色彩なのでスペインらしさは全くないけど、息を呑むほど美しい場面もあり、洒落たプロダクションです。煙草工場でやっとカルメンが登場する場面ではなんとゴリラの着ぐるみだったり、最後に死んだカルメンがむくっと起き上がってコミカルな動作するというのはいくらなんでも・・、という気がするし、階段で人が動くと凄くうるさいのが問題でしたが、意表をつかれて退屈はしませんでした。初日に行けなくてプロダクションチームへの反応が見られないのは残念ですが、多分少しブーイング混じりの拍手喝采という反応になるのではないかしら? 今日の観客は大喜びで盛り上がりましたが。
Music Georges Bizet
Libretto Henri Meilhac and Ludovic Halévy
Director Barrie Kosky
Designer Katrin Lea Tag
Lighting designer Joachim Klein
Choreographer Otto Pichler
Dramaturg Zsolt Horpácsy
- Conductor Jakub Hrůša
- Carmen Anna Goryachova
- Don José Francesco Meli
- Escamillo Kostas Smoriginas
- Micaëla Kristina Mkhitaryan
- Zuniga David Soar
- Frasquita Jacquelyn Stucker
- Mercédès Aigul Akhmetshina
- Le Dancaïre Pierre Doyen
- Le Remendado Jean-Paul Fouchécourt
- Moralès Gyula Nagy
私はもっと野太い声で土の匂いがするカルメンが好きなのですが、このプロダクションには今日のロシア人メゾのようなクールさがしっくり来るかも。 声はちゃんと出てたし、ダンサー並の踊りも頑張ってくれましたが、あまり魅力のないカルメンでしたけどね。
声も容貌も暑苦しいミカエラはもっと冴えなくて・・。 闘牛士は元ROHアーチストのコスタス君で、色気のある声で嫌いではないですが、声量とパンチ不足。
ということで、歌唱面で一流だったのはドンホセのフランチェスコ・メッリだけ。芝居はあっさりして声の魅力だけで惹きつけるくれました
若いチェコ人の指揮者はROHデビューですが、プロダクションに合わせて暗くクールにしたんでしょう。
というわけで、果たして好きなのか嫌いなのかまだ自分でもわかりませんが、さすがバリー・コスキー、新鮮で面白かったです。ドラマとしては以前のまともなプロダクションの方が盛り上がると思うし、ROHで初心者にお勧めできるのが減っちゃったのは残念ですが。
闘牛士はばりっと格好ええなあ。俺のつまんない衣装を見てくれよ。