<1st Sept Sun>
最高のお天気で、土曜日は例のチャリティ・イベントで琴演奏、日曜日は知人宅のバーベキューと充実した週末でした。
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ロッシーニ・オペラ・フェスティバルのオペラ三連ちゃん、最初は8月19日のセヴィリアの理髪師で、会場はアドリアティック・アレーナという巨大なスポーツスタジアム(→こちら)。
フローレス王子出演のリッチャルドとゾライデ(→こちら)の素晴らしさに比べると全ての面でうんと劣るのですが、それなりに楽しめました。
Youtubeでは、どの日のかはわかりませんが、音声だけ少しありました。(全員→こちら)、脇園彩さんのアリア(→こちら)、スパニョーリ(→こちら)。
Il barbiere di Siviglia
Conductor YVES ABEL
Director, set and costume designer PIER LUIGI PIZZI
Co-Director and lights MASSIMO GASPARON
Il Conte d’Almaviva MAXIM MIRONOV
Bartolo PIETRO SPAGNOLI
Rosina AYA WAKIZONO
Figaro DAVIDE LUCIANO
Basilio MICHELE PERTUSI
Berta ELENA ZILIO
Fiorello/Ufficiale WILLIAM CORRÒ
CORO DEL TEATRO VENTIDIO BASSO
Chorus Master GIOVANNI FARINA
ORCHESTRA SINFONICA NAZIONALE DELLA RAI
新プロダクションですが、セヴィリアの熱気が全く感じられないモノクロで新鮮味もなくつまらない演出でした。もしかしたら、カラフルで豪華で賑やかだったリッチャルドとゾライデと対照的にするためにこうなったのかもしれないし、シンプルなセットでも衣装が素敵であればオッケーな私はそんなにがっかりもしなかったですけど。でも、伯爵が偽の音楽教師になる場面で、膝に靴をつけてうんと小さく見せて身体的ハンデで笑いを取ったのは、かなりまずいのではないでしょうかねぇ。
アルマヴィーヴァ伯爵は36歳のロシア人、マキシム・ミロノフ。フェスティバルには少なくとも今年で4年連続出てるし、他の有名歌劇場でも歌ってるのに、私は名前さえ知りませんでした。 こんな長身でハンサムで金髪のこんな素敵なテノールがいたなんて! 凄く上手な訳ではないけど、私好みの甘い美声。もっと早く、若さに輝いてた時の貴方に会いたかったわあ というわけで、Youtube漁りをしちゃいました。
29歳のメゾソプラノ、脇園彩さんも素敵でした。背丈もあるし写真よりも実際に動く姿が数倍チャーミングな彩さんは、生き生きとした喜劇演技も自然で、ミロノフともお似合いのカップル。今までたくさん観たセヴィリアの理髪師の中でも一番魅力的な二人かも。歌は、最初に二階建てのセットの上の階で歌ったときは天井に反射して声がよく聞え、「おおぉーっ」と感激する程でした。下に降りてきてからはまあ普通に上手に聞えたのですが、ロッシーニの聖地で、没後150年という記念すべき特別な年に、ロッシーニのヒロインの中で一番有名なロジーナに抜擢されるって凄いことなので、きっと抜群の実力なのでしょう。この役では引っ張りだこにでしょう。世界に通用する将来有望な日本人歌手をここで聞けて嬉しかったです。
バルトロ医師のピエトロ・スパニョーリは、ROHのフィガロ役でたくさん聴いた中で歌も演技もナンバーワンで、それに比べるとうんと抑えた演技なのですが、それでも滲み出る抜群のコメディセンスで、やはり凄い人です。
今回のベスト・シンガーは誰かと問われたら、フィガロ役のダヴィデ・ルチアーノかな。演技は控え目ながら、立派な声量とクリアで芯のある声が圧倒的で、もっと重い役でもきっと素晴らしいでしょう。
歌ははほんのちょっとだけの女中ベルタ役がエレーナ・ジリオって、なんと贅沢なキャスト。ROHではお馴染みで、カヴァレリア・ルスティカーナのお母さん役やプッチーニの三部作とかで光ってたましたが、今回は彼女の低音の魅力が出せない役なのが残念。
指揮者のイーヴ・エイベルもROHによく出てくれます。
唯一不満だったのは、音楽教師ドン・バジリオ役のミケーレ・ペトルーシ。一度も良いと思ったことがないバリトンですが、今回も声も演技も薄過ぎ。どうしてもROHで何度観ても大爆笑のフルラネットと比べちゃうので。
というわけで、私はこのオペラが結構好きだし、充分楽しめたのですが、これを最初に観たのは救いでした。 先にリッチャルドとゾライデを観てたら、あまりの差に不満を感じざるを得なかったでしょうから。