<7th July Sun>
昨日は連隊の娘のリハーサルとフィガロの結婚のダブルヘッダーでオペラ三昧の幸せな土曜日でした。
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今回のフィガロの結婚、予想通り、かつて通い詰めてしょっちゅう座って幸せだった舞台脇の席を直前に放出してくれたので、僅か13ポンドでまじかで観ることができ、まず7月1日と6日に行ってきました。もう一回分買ってあり、「3度も観なくてもいいか、テノール出ないし」と思ったのですが、素晴らしかったので、又行っちゃいそうです。マクヴィッカーのまともで美しいプロダクションだしね。
写真は同じ側からの2回分です。
前回までは、後ろの召使役二人はイケメン役者だったのに、変わっちゃいましたか・・
まず、比較のために、ブログ開始以来のROHフィガロ記事をまとめ、配役を色分けでリストアップしてみました。クリックで記事に飛びます。
フィガロ スザンナ 伯爵 伯爵夫人 ケルビーノ
2006年2月 Eシュロット、Dレシュマン、Gフィンリー、Mペルソン 、Rシャハム
2006年7月 Gフィンリー、Iバイヤクダリアン、Sイソコスキ、Kケテルセン、Sコッシュ
2008年6月 (リハーサル) Bフリットリ、Pマッテイ、Iダルカンジェロ、Aクルチャク、Aボニタチブス
2008年6/7月 Bフリットリ、Pマッテイ、Iダルカンジェロ、Aクルチャク、 Sコッシュ
2010年6月 Eシュロット、中村恵理、Mキフィエチェン、Sイソコスキ/Aダッシュ、 Jアダモナイテ
2012年2月 Iダルカンジェロ、Lミーチャム(Sキーンリーサイドの代役)、Aクルチャク、Rウィリス・ソレンセン、Aボニタチブス
2013年9/10月 Lピサローニ、Cマルトマン、Mベングソン、Lクロウ、Rポクピック
2014年5月 Aエスポジート、Cティリング、Gフィンリー、Rエヴァンス、Aボニタチブス
今回のキャストはこちら。
Music Wolfgang Amadeus Mozart
Libretto Lorenzo da Ponte
Director David McVicar
Designer Tanya McCallin
Lighting designer Paule Constable
Movement director Leah Hausman
Revival Director Thomas Guthrie
- Conductor John Eliot Gardiner
- Figaro Christian Gerhaher
- Susanna Joélle Harvey
- Count Almaviva Simon Keenlyside
- Countess Almaviva Julia Kleiter
- Cherubino Kangmin Justin Kim
- Bartolo Maurizio Muraro
- Marcellina Diana Montague
- Don Basilio Jean-Paul Fouchécourt
- Antonio Jeremy White
- Don Curzio Alasdair Elliott
- Barbarina Yaritza Véliz
何度もやってるので新鮮味がないと思われたのか、レヴューは一つだけですが、他にもあれば当然4ツ星が並ぶでしょう。
The Telegraph ★★★★
女中スザンナは昨年グラインドボーンのジュリオ・チェーザレ(→こちら)で溌剌としたクレオパトラだったジョエル・ハーヴィー。声もよく出て、今迄のスザンナの中ではアラーニャ夫人のクルチャクと並ぶくらい気に入りました。年恰好の釣り合うフィガロだったらよかったのにね・・。
伯爵夫人のユリア・クライスターもしっとりと上品で聞惚れ、結構良い人が出てるROH歴代の中でもバーバラ・フリットリに次いで好きかも(アネッテ・ダッシュと同じくらい)。
ケルビーノは初めて男性でしたが、昨年グラインドボーンでジュリオ・チェーザレのオネエぶりが大受けだった韓国人カウンターテナーのキムチリア(チェチリア・バルトリの真似がお得意なので)ことカングミン・ジャスティン・キム君。一番楽しみにしてたけど、男か女かわからないまさにケルビーノ的な魅力で予想通りの芸達者ぶり。私にとっては断トツでベストなケルビーノ。いつかキワモノではない本格的な歌唱で聴いてみたいです。 彼に触発されて、これから若いCTがこの役にどんどん進出してくれるとどんなに嬉しいか。
バルバリーナは一曲だけだけど美しいアリアがある得な役で、今回のチリ人Yaritza Vélizは豊かな声と芝居っ気たっぷりで断然光ってました。昨年秋からROH若手アーチストで何度も聴いてるはずなのに覚えてないけど、これからは断然注目。
「えっ?!、クリスチャン・ゲルハーハーがフィガロ・・・」と皆が驚き、「年食い過ぎだし、声も合わないよね、なぜ今更この役を?」、と怖れた通りの結果になり、知らない人に「彼が一番の人気歌手なんだよ」、と言っても信じてもらえないでしょう。繊細なシューベルトとかの歌曲はあんなに素晴らしいのに、ちょっとお馬鹿でそこが年上女性に好かれるような魅力が必要なこのフィガロには天然のシュロットには誰も叶いませんが、ゲルハーハーは知性が邪魔しましたね。
サイモン・キーンリーサイドを伯爵役で観るのは初めてで(7年前はキャンセルされた)、演技力抜群の彼の表情をしっかり見ようと双眼鏡を使い、たしかに助平伯爵の喜怒哀楽を彼自身も楽しんでるようだし凄く上手いのだけど、老けた顔を見るのが辛くてね・・。一生懸命声張り上げてるようにも聞えたし・・。
歴代伯爵の中では、個人的好みで言うと、これ一回した出てくれてないので希少価値もあるピーター・マッテイに一番惹かれました。
というわけで、これまでの中から私好みのベストチームを選ぶのであれば、フィガロはシュロット、伯爵はマッテイ、スザンナはクルチャク或いは今回のハーヴィー、伯爵夫人はフリットリか今回のクライスター(或いはダッシュでも)ケルビーノは迷わずキムチリア。