<14th July Sat>
ムスメが遊びに来てくれて、親子三人家でのんびりテレビ観たりあれこれ楽しく過ごしました。いつもは日曜に来るので仕事疲れが取れて元気なんですが、今日は昨日までの疲れがまだ残っててしんどそうだったのが心配。これから更に忙しくなるようで、来週あたりから週末も働く羽目になるらしく、ここに来られるかどうか・・。でも、職場の人たちがトーチャンの焼くクッキーを楽しみにしてるらしいので、来られなかったら、トーチャンカーチャンが差し入れ持ってってあげるね。
明日も家でごろごろする予定なので、トロイヤ人のストリーミングを観る余裕があるかしら? それを観ないとあのオペラを観たとは言えないかもしれなくて、観るまでは感想が書けまへんがな。
なので、オテロを先に。
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あと2回行く予定で、普通はすべて観終わってから書くことが多いのですが、とても素晴らしいパフォーマンスだったので、感動がフレッシュなうちにまず書いておきます。
故郷で悠々自適に暮らしていたヴェルディが長年のブランクの後に作曲した晩年の作品で、ドラマチックで密度の濃い緊張感が圧倒的な名作ですが、
世界シェークスピア・フェスティバルとロンドン2012のため、5月に同じくヴェルディのファルスタッフの新作をご披露したのですが、一つだけじゃなんだからもう一つってことであれば、7年ぶりのオテロはどうよ、ってことで、この古ぼけたプロダクションの埃を払ったかもしれません。
Giuseppe Verdi – Composr
Timothy O’Brien – Set designs
Peter J. Hall – Costume designs
Robert Bryan – Lighting designs
Michael Popper – Movement Director
Desdemona – Anja Harteros
Iago – Lucio Gallo
Cassio – Antonio Poli
Emilia – Hanna Hipp
Rodrigo – Ji Hyun Kim
Montano – Jihoon Kim
Lodovico – Brindley Sherratt
A Herald – Bryan Secombe
舞台と衣装
25年も前から使ってるモシンスキーのいかにも古めかしいプロダクションで、以前観たことあるし(ドミンゴの映像もあり)、今回の私にとってはパフォーマンスのみが重要であり、安い舞台横の見切れ席ですからどうでもいいのですが、すっ飛んだ読み替えが多い中、斬新な創意は感じられなくても、こういうクラシックが舞台が却って新鮮かもしれません。まともな衣装だとやっぱりわかりやすくて助かるし。
オテロ
私がこれを最後に観たのは11年前のホセ・クーラで、オハコ役だけあってなかなか良かったのを覚えてます。その後2005年にやった時はベン・ヘップナーだったので、滅多なことではパスせずに一回は観てみるこの私もさすがに萎えてしまって見逃しましたが・・・。
なので、このプロダクションを観るのは11ぶりですが、今回はとても楽しみにしてました。オテロ役のラトヴィア人アレクサンドロス・アントネンコを去年秋のプッチーニの三部作(外套)ではじめて観てとても気に入ったので(→こちら )。
その時の印象でアントネンコはオテロにぴったりに違いないと思ったので期待はかなり高かったのですが、声も歌も容姿も想像以上に素晴らしくて、全ての面で始終うっとり。長身ソプラノのハルテロスと並んでサマになるテノールはそうはいないでしょうから貴重な存在で(来年のドンカルロスでハルテロスと共演するのは意外に小柄なカウフマン・・・)、大柄でノーブルな美貌の二人はオテロ夫妻として本当に絵になるカップルでした。
ビジュアル的にだけではなく、張りがあって力強く、且つ甘さも兼ね備えたたっぷりの美声はプッチーニの三部作のちょい役の時から格段に進歩した堂々の主役ぶりで、彼以上のオテロは今はあり得ないでしょう。黒塗りの精悍な顔はハンサム度も増し、オテロを歌うために生まれてきたと言っても言い過ぎではないです 強いて言えば演技面で多少改善の余地はありそうですが(充分上手だったけど、オテロは深いから)、2008年のザルツブルグのオテロでムーティに抜擢され、メトのルサルカにも出たし、他の大劇場も制覇してすでにトップに向かってまっしぐらの36、7歳のアントネンコ、来年夏にこれもお得意のトスカでROHに戻ってくる時にはどれだけビッグになってるのか楽しみ
ギリシャ系ドイツ人のアーニャ・ハルテロスはカーディフの歌コンテストで優勝したのがきっかけで世に出たであろうに、なぜかロンドンにはあんまり来てくれなくて、こないだのプッチーニの三部作(修道尼アンジェリカ)とジョセフ・カレヤと共演する筈だったラ・ボエームをキャンセルしたので、結局2008年のシモン・ボッカネグラでシュテンメの代役で出たシモン・ボッカネグラ(→こちら )以来。ボッカネグラではじめて生で聴いて素晴らしかったので楽しみにしてたのにキャンセルばかりされて悲しかったんだから・・・。
なので、今回も本当に出てくれるのかしらハラハラして待ってたんですが、彼女もオテロ同様、高い期待を上回る素晴らしさで、凄い美人ではないけれどすらっと背が高くてエレガントな容姿と演技と、強い個性はないけれどしっかりしたテクニックと優しい声で魅了されました。2001年も2005年も私の嫌いなアマンダ・ルークロフトだったので、やっと最高のデスデモーナの登場でした
というわけで、ルックスも歌も理想的なオテロとデスデモーナで、カーテンコールもやんやの大歓声
例えば先月のラ・ボエームのアラーニャとゲオルギューはさすがの上手さで感心したものの別のオペラであってもすでに何度も聴いてて新鮮味はなかったですが、今回のオテロ夫妻はどんな風に歌ってくれるんだろう、とワクワクしっ放し。
来週再来週とあと2回行くんですが、丸っきり同じでも又聞惚れるし、もしかしたらまた別の魅力を発見するかもしれないし、楽しみだわ~っ!
主役二人に劣らないくらい大切な役である悪役イアーゴがオテロ夫妻と肩を並べるくらい素晴らしかったらどんなに良かったかと思うのですが、残念ながら予想通りルチオ・ガッロが足を引っ張りました。
充分上手なバリトンでかなり何度も聴いたけど声も容姿も魅力を感じたことは一度もないガッロなので私はろくに見もしなかったんですが、皆さん「イアーゴがねえ・・」、と仰ってました。
ROHにはよく出るけどなにをやっても何かが欠けてるガッロにこの難しいイアーゴが上手く出来る筈はなく、悪人としての迫力がなく、声的も軽過ぎ。
私がパスした2005年のイアーゴもガッロだったので、それも観てる人は又こいつか・・とがっかりしたことでしょう。私が観た2001年は存在感も低音の魅力も重量級のアガケだったので素晴らしかったんですが、この日は、全盛期のレオ・ヌッチ(生で聴いたことはないけれど)を想像の中で聴く努力をした私。来週再来週は別のバリトンが歌ってくれるといいなあ・・・(ワラ人形どこに仕舞ったかしら?)
カッシオ
若いイタリア人テノールのアントニオ・ポリは今回の嬉しいオマケ。長身で可愛くて、のほほんとした雰囲気はコステロ君に似てて好感度大。素直な声が楽々と出て立派だし、フレッシュで甘い声は強靭なオテロとは対照的でお互いを引き立たせて、出番は少ないけど光ってました。有望株のポリ君に唾つ~けたっと あ、この秋にはヴェニスで椿姫のアルフレード、来年3月はベルリンで愛の妙薬のネモリーノだって。11月にアラーニャがネモリーノをキャンセルしたら代役で出て欲しいわあ。
パッパーノ大将がすごいのは充分わかってるつもりだったけど、今回はあらためて超人ぶりに感心。だって、前夜あの長丁場のトロイヤ人を振ったばかりよ。私がトロイヤ人を観たとき彼の疲労困憊ぶりを場面入れ替えの時に目撃してるので、トロイヤ人がいかに大変だったことか。
このオテロも勿論パッパーノのリーダーシップあっても成功なんですが、張り切り過ぎて興奮したのか、それとも疲れるとああなるのか、一段とうるさくて、ガーガーという彼の声が耳障りでした。
声出す指揮者は結構いるのですが(私はいつも近くに座るのでよくわかる)、それって折角丹念に作った料理にシェフ自身が唾を吐きかけるみたいな行為なわけで勿体ないったらありゃしないのですが、パッパーノ大将はROHではなくてはならない大事な人だから、彼だけは声出しても許してあげましょう。来週は慣れてテンション下がるといいけど・・・。
初日なので、演出家のモシンスキー氏(だろうと思うのですが)も登場。歌手が素晴らしいとプロダクションも良く見えてよかったですね。
長くなってしまったので、その他の人たちについては次回にね。
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