<1st Dec Sun>
総選挙はあるしイギリスは波乱の12月になりそうだけど、私は割とヒマなのでギャラリーやミュージアム、映画とかに行こう
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11月26日に行ったベンジャミン・ブリテンの「ベニスに死す」。オペラについては過去記事でご覧下さいですが(→こちら)、映画でご存知ですよね。
新プロダクションは極力初日に行くようにしてるのですが、これはユジャ・ワンとクラリネット王子のコンサートと重なってしまって行けなかったのが残念。スムーズな舞台の床をセットが滑りながら早いテンポで展開し、全てが美しく、バレエも上手に利用して素晴らしいプロダクションだったから、演出家のマクヴィッカー氏に拍手送りたかったのに。ROHでのマクヴィッカー演出は、エジプト要素を全く排除して評判悪かったアイーダ以外は、リゴレット、魔笛、ファウスト、フィガロの結婚、アドリアーナ・ルクヴルール、トロイヤ人、アンドレア・シェニエと、まともで美しい演出がほとんどなので大好きです。
新プロダクションの場合は演出に対する評価が大きな割合を占めるレビューも、今回は5ツ星と4ツ星が並びました。
Press reviews: The Telegraph ★★★★★ Bachtrack ★★★★★ Culture Whisper ★★★★★ Broadway World ★★★★★ Evening Standard ★★★★ The Stage ★★★★
いくら演出が良くても歌手がイマイチだったら5ツ星はもらえませんが、今回はそれもバッチリ。
MusicBenjamin Britten
LibrettoMyfanwy Piper
DirectorDavid McVicar
DesignerVicki Mortimer
Lighting designerPaule Constable
ChoreographerLynne Page
主役のテノールが出ずっぱりでほとんどワンマンショーなのですが、マーク・パドモアの素晴らしかったこと。 ROHではWritten on Skinの脇役で出たもののあまりオペラには出なくて歌曲中心に活動してると思うのですが、こんな凄い人だったとは! 何役もこなした芸達者のフィンリーを声量でも演技でも完全に上回って、これ以上は望めないROH主役デビュー。どんどんオペラで歌って欲しい。
ちょっとづつでも違う役で何度も出てくるジェラルド・フィンリーは目立つ役なのに、今回は遠慮したのか、声量に乏しくて、いつもの実力が出てないように感じました。
中年の主人公が耽溺する15歳の美少年役はロイヤルバレエのレオ・ディクソン。下から2番目のランクの彼は群舞でよく見るのですが、特にイメケンでもなく目立たなかったのに、美少年という設定だと神々しく見えるから不思議。
驚いたのはカウンターテナーのティム・ミードで、ボディビルでもやったのか、えらく逞しくなってて、顔も精悍になって声もいつもと違って聞えたので、「あれえ、ティムはキャンセルして他のCTが代役? ティムより良いじゃん。誰?」と思ったりしました。
過去記事(→こちら)を読み返したら、12年前にENOで初めて観た時の感動が蘇り(イアン・ボストリッジは最高だったし、イエスティン君を初めて聴いて惚れ込んだのでした)、あれ以上の演出とパフォーマンスは無理だと思ったけど、今回のROH版も素晴らしくて、ブリテンに対する評価が上がりました。
3日にもう一度行くので、遠いけど違う角度から観るのが楽しみ。