<3rd Apr Wed>
寒~い! (仕事が)忙し~い!
でも、終わりに近づいたベルリン記事、このペースで一気に進めま~す!
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3月17日の日曜日、ポツダムから帰った夜、他にすることもなかったので(寒いから外は歩き回りたくない)、ベルリンのコーミッシュ・オーパーに行きました。オペラハウスの様子は→こちら でどうぞ。
一等地にあるブランデンブルグ門からも近いロケーション抜群のオペラ劇場だし、いっぺん中に入ってみたいじゃ~ん、という程度だっただけで、この日にやってたオペラが特に観たかったわけではないのですが、結局、なかなか話題のホットなオペラを、そうとは知らずにであっても、観ることができて興味深かったです。
まず、このオペラハウスは、ロンドンのENO同様、自国語に翻訳して上演することをポリシーとしているところ、今回は例外的に(或いは試験的?)、オリジナル言語(この場合はロシア語)でやることになったという画期的な企画で、そのためにデジタル字幕装置も設置したとのこと。
素晴らしいことですね、それは。字幕がなかった時代はまだ意味もあったでしょうが、言葉と音楽は一体ですから、耳で聞いて理解できなくても、できればそのままにしておくべきです。ENOもそうしてくれないかな。そしたらもっと頻繁に観に行くのに。
どんなお話?
マゼッパは、プーシキンの抒情詩を基にしたいるんですが、どんな話かを2行でまとめると、
マゼッパはピョートル大帝に叛いてスェーデンと通じ、破滅した実在のコサックの首長で、70歳で若い女性と相思相愛になり、その復讐にマゼッパの謀反を大帝に密告した彼女の父親を処刑。夫と父親の間で苦しんだ彼女は発狂・・。
うわーっ、陰惨そのもの・・
その上、このプロダクションは現在に読み替えて、実際の革命やらテロやらの残酷なニュース映像を舞台に映し出すので、ますます悲惨度アップ。現代の状況に上手く当てはめた狙いは当たったと思いますが、あまりに現実的過ぎて正視したくなかったです。
↓ プロダクションの写真を2枚
幸い、私たちの最低値段の席からは舞台が半分以下しか見えない上に、はじめて接するオペラなので筋を追うために字幕を必死に読む必要があり、舞台のスクリーンも歌手たちの演技も見る余裕がなく、ほとんどCDを聴いてるような状態でしたが、クラシックな雰囲気の美しい劇場とチャイコフスキーの美しい音楽を現代のリアルな政治問題と結びつけるのも違和感あるし嫌だから、それでちょうどよかったわ。
そんな席だったので、舞台の芝居ほとんど見ませんでしたが、唯一の例外が若いテノール君で、彼が出てる時だけは字幕はいい加減に読み流して、姿をずっと目で追いました
Ales Brisceinというチェコ人ですが、全く、掃き溜めに鶴と言ってもいいくらい、彼だけ声量も歌唱も抜きん出ていて、しかも、ハンサムではないけれど、背丈もあるし、精悍な風貌が兵士のユニフォームにぴったりで、彼が聴けただけでも今夜ここに来た甲斐があったというものです。
マリアに想いを寄せる青年役でしたが、出番が少ないのがとても残念。彼のレンスキー(オネーギンの)なんかさぞや素敵でしょうに。
↑ キャストはこちらを拡大してご覧下さい。
他にまあまあだったのは、マリア役のソプラノAsmik Grigorianだけかしら?
検索しても出てこなかったけど、女優のアン・ハサウェイ似のすらっとした美人でもあり、将来はなかなか有望かも。でも、折角、若い青年が慕ってくれてるってのに、危険思想の爺さんに恋するなんてお馬鹿な娘だこと。
中年おやじ二人は、下手くそ、引っ込め~!という程ひどくはなかったけど、一流劇場で主役はとてもできないレベルだしマリアの母親などは他の三流劇場ですら出て欲しくないです。
というわけで、予想通り、3つのオペラハウスの中では全体の水準は一番低かったですが、11ユーロはお得だったし、美しいオペラハウスでゆったりできたのは、ベルリン最後の良い思い出です。
そして、マゼッパも含め、観たオペラ3本ともテノールが傑出していたのが、テノール好きにはなにより嬉しいことでした。
ベルリン記事はあと一つ、最後の日の観光で終わりです。
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