<23rd Feb Sun>
ソチ五輪も終わってしまいましたね。外出してて閉会式は見逃したので、後で観るんですが、昨日のフィギュア・スケートのガラは生中継で観ることができて、楽しめました。イギリスチームは金1個、銀1個、銅2個で、ウィンタースポーツが全く盛んでない国としてはまあまあの成績で、90年ぶりのメダル数タイ記録。
------------------------------------------
ROHのドン・ジョヴァンニもいよいよ明日の最終日を残すのみとなりましたが、ここまで来たら又行っちゃうわけで、ついに鑑賞回数新記録樹立
私がROHに通い詰めはじめてからのドン・ジョヴァンニの出演歌手の一覧を先日アップしましたが(→こちら )、今日はドン・ジョヴァンニ役について順位を付けてみましょう。
ROHでドンジョを歌わせてもらえるバリトンは皆さん歌も人気も一流なわけですから、歌唱力の良し悪しではなく、私がどのドンジョヴァンニだったらイチコロになるかというの個人的オトコの好みが基準です。ドン・ジョヴァンニってそこがポイントと思うので。難しいアリアがあるわけではなく、キャラ作りが最重要で、「女たらしで不誠実で、なんてひどい奴なんだ」、と怒りながらも回りの人たちが惹かれる気持ちが理解できるかどうかがオペラの成否を支配すると言ってもいいくらい。
まず、出演にリストアップすると、
2002年の前回プロダクションのプレミエはサイモン・キーンリーサイドとブリン・ターフェルのダブルキャスト、
2003年はジェラルド・フィンリー、
2007年はアーウィン・シュロット、
2008年は再登場のサイモン・キーリンサイドとマリューシュ・クヴィエチェン、
2012年はどちらも再登場のフィンリーとシュロット、
2014年の新プロダクションに再びクヴィエチェン
以上、延べ9名(実際には5人)。
すでにバラバラと比較してて、結果は明らかなのですが、あらためて順位付けすると、
ベストは現在進行中のクヴィエチェン
その次は6年前のクヴィエチェン
3位は2007年の若い時のシュロット
4位はそれよりもちょっと年を食ったシュロット
次はプレミエの時のサイモン・キーンリーサイド
残念乍ら体調不良だったキーンリーサイド
2013年の再登場時のフィンリー
2003年のフィンリー
ドベはブリン・ターフェル (あくまでも、私の好みですから、あしからず)
ブリン・ターフェルは、たしかこれがロールデューだったけど、それまで得意役だった下男レポレロの物腰が抜けず、全く貴族として気品がなかったのが敗因。特にダブルキャストの演技派サイモンの毅然たるドンジョと比較された日にゃ欠点がさらに強化されちゃって損しましたね。
おまけに、ブリンにとっては極めて不利な衣装で、彼だけ上半身裸にならなかった・・・。
あれ以来、ブリン・ドンジョが実現してるのかどうか知りませんが、でかくて存在感はあるんだし、もうちょっと気品を出せればクマゴローみたいなドンジョヴァンニが好きっていう女性もいるかも。
歌唱力では定評のあるジェラルド・フィンリー、目を瞑って聞けば文句なく立派なドンジョに違いないけど、いくら立派な演技力をもってしても、あの奥目は誠実なイメージが強過ぎて、まじめなでお堅いジョバンニは魅力に欠けます。 他に知的な役がたくさんあるんだから、そういうのやってれば良いと思うんだけど、キャラに合わないとわかっていても女性歌手がカルメンやりたがるのと同様、やっぱりモテ男のドンジョをやってみたいんでしょうかね。
サイモン・キーンリーサイドの冷徹で陰湿で複雑なドンジョは鮮烈な印象で、俳優並みの演技力のサイモンは身のこなしから徹底して精神的サディスティックな雰囲気を醸し出してました。
あのクールさでは女性に対する温かい感情は微塵も感じられず、病的にカラダの要求だけというドンジョ像があってもいいし、他の人たちが多かれ少なかれ自身のキャラを滲ませているように見えるのに対し、サイモンのドンジョはイメージに従って実に巧妙に作られ演じられたようで、さすがサイモン。演技賞は差し上げます。 もちろん、サイモンは他のプロダクションでは又違うドンジョバを立派に演じているに違いないですしね。
アーウィン・シュロットは2回登場したドンジョの中では最初と2度目で一番変化を遂げた人。
最初はラテンのいい加減さを絵に描いたような、クルクルと悪戯坊主のような青春の真っ只中の若いピチピチ・ドンジョはまるで「フィガロの結婚」の鼻血ドバドバ少年ケルビーノの延長みたいで、女性に対する素直な憧れも感じさせて心温まる青年ドンジョ。若い男好みの私にはたまらなくチャーミングでメロメロになったのでした。ネトコちゃんもこの共演でシュロットに陥落したんでしたよね?
5年経ったら、当然乍ら若さと明るさは消えて、苦味走った大人の魅力はあったけど、なんか急に老けてしまったようで、「若い時の彼を観ておいてよかった」、と思ったのでした。若い時は楽々と出る豊かな低音とナチュラルな歌唱が素晴らしいと思ったけど、その新鮮味がなくなると鼻歌風の歌唱が気になったし・・。
パンパカパーンの一位は、今回のマリューシュ・クヴィエチェン
彼も2度登場してますが、常にキビキビと動き回って精悍そのものなのは変わらず。 そして今回はさらに歌唱力が上がり本当に素晴らしくて、何度聴いても唸るくらい上手。バリトンにはあまり興味のない私が言うのですから本物です。クリアで重過ぎない美声はこの中では一番好きな声だし、色んな要素を含んで一番バランスが取れてるのが彼だと思います。
別のプロダクションで演出家の意向も異なるのでドンジョ像も少し変わり、2008年前の感想には「極めつけのワルで、悪人であることを楽しんでいる残忍マゾ男」と書きましたが、今回は懲りすぎた演出のせいでもしかしたら真実の愛を欲しがってるのかもと思ったりもして実はよくわかりません。 でも、そんなことはどうでも思えるほど、あまりにも普通の衣装でもクヴィエチェンの迫真の演技とメリハリのある歌唱で、私にとってはやはりダントツ。私にとってはこれ以上のドンジョはいないかも。
いや、私好みのテノールっぽい北欧男ピーター・マッテイならもっと惚れるかも、とも思うし、来年の日本公演に出演するイルデブランド・ダルカンジェロも観たいわ。
ドンジョヴァンニ以外の役についても、できれば思い出しながら成績付けたいとは思ってはいるのですが、全員について順位つけてる余裕はないので、書くとしても印象に残った人だけリストアップすることになるでしょう。
では、明日、最後のクヴィちゃんを愛でてきますね
うっとりするくらい素敵なマンドリン伴奏のセレナーデ、日によって出来が違い(だから、何度聴いても飽きないのだ)、声が乾いてることもあるんですが、明日は最高に甘いセレナードでとろけさせて欲しいです。
人気ブログランキングへ