イギリスではジョークと思われてるユーロヴィジョン・ソング・コンテスト。長年欠かさず観てるんですが、昨夜の優勝者はユーロヴィジョン以外ではあり得ないキャラの歌手でしたね。でも、面白がって投票しただけではなく、やっぱりなにか心に響くものがあったからでしょう。私がもし投票するとしたら、この人に最高点差し上げますもん。
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ロイヤルオペラハウスで、プッチーニのトスカが始まり、何度か行くのですが、まずは5月7日のリハーサル。
どんなお話かは、以前の記事でご覧下さい(→こちら )ですが、恋と政治のもつれで主役3人が一日のうちに殺傷、銃殺、飛び降り自殺するというドラマチックな展開で、特に好きなオペラではないですが、内容も音楽も無駄なく良くできてて、人気があるのもうなずけます。
Director; Jonathan Kent
3人の組み合わせも重要なんですが、今回は笑っちゃいましたよ
だって、3人の中ではトスカ役のソプラノが一番でっかいんですもの。
なので、テノールとの恋人同士のシーンでは、舞台の左右にある階段や梯子段を利用して、極力二人が並んで立たないように演出を変更。
まあ、それは初めて観る人はいつもそうなんだろうと思うだけで、この苦肉の策はうまくいったのですが、ごまかせないのは悪漢スカルピアがかよわいトスカを手篭めにしようとするパワハラ場面。 何度かやってるゲオルギューとブリン・ターフェルのコンビの、「うわっ! か細いアンジェラの上に巨体ブリンがのっかって押しつぶされそう~」、と心配するのに慣れてるので、今回の「トスカの方が縦横でかくて体力ありそうだから、なにもナイフで刺さなくても押しのければ済むんじゃないの?」、と思ってしまいます。
キャンセルしたトーマス・ハンプソンだったら長身だからまだサマになった筈なんですけどね。
スカルピアがトスカを見上げるの図
ウクライナ人ソプラノのオクサナ・ディカ(英語だとダイカかな?)、全く聞いたことなかったですが、写真でご覧の通りの美人で、カラダが太い割には顔はほっそりしてるので舞台映えします
でもまあそれは、最初で緊張してたんだろうから大目にみてあげることにして、肝心の歌はどうだったかと言うと、立派な声量とパワフルで張りのある美声は二重丸、だけど小回りがきかないので減点ってとこでしょうか。
中音が特に素晴らしいし、声のパワーだけでストレートに勝負するば一番魅力を発揮できると思うので、ワーグナーもできるかもしれないし、スケジュールによると(→こちら
)レパートリーは、トスカ、アイーダ、マダム・バタフライ、仮面舞踏会(去年暮れに日本でも歌ったようですね)で、この夏にはヴェローナで蝶々夫人、来シーズンはNYメトでアイーダと大躍進中のオクサナ嬢。そうです、そうやってでっかい所で歌うのが相応しいスケールの大きいソプラノで、あと2回聴くのが楽しみ。
ロベルト・アラーニャがROHのトスカに出るのは2000年9月以来ですから、14年ぶり。
かつての甘い声ではなくなかったのは淋しいけど、でも、やっぱりまだまだ一流のアラーニャ、声もよく出てたし、なによりも演技力が(特に下手くそなトスカに比べると)際立ってました。
大柄なトスカのせいで貧弱に見えたせいか、この役に必要な大袈裟なカリスマ性はちょっと不足気味でしたが、エッジのきいた歌唱力はなかなかのもので、容貌も声も陰険な役で光るでしょう。スカラ座でもスカルピアだったようです。
どっかで見たことあるけどと思ったら、2010年のアイーダのプレミエのアイーダ・パパで、その時も良かったですよ(→こちら )。
指揮者のOleg Caetaniは知らない人ですが、そつなくまとめて合格。
指揮者と言えば、今回のトスカは2チームあるのですが、来月の第二チームはドミンゴ先生が指揮することになってて、
大した歌手は出ませんが、ドミンゴ先生が指揮する日は切符の売れ行きが断然違います。歌わないドミンゴ先生のどこが良いんですかね? って、一応私も真横から拝みますけど。
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