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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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(今更ですけど)マノン・レスコー by Puccini 歌も上手な美男美女カップル

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<31st July Thus>

切符を下さる方がいたので、急遽プロムスへ。自分では買えない良い席だったのは嬉しかったですが、やはりロイヤル・アルバート・ホールは好きになれなくて、プロムスもラジオとテレビで鑑賞する方がいいや。

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初日を観てから軽く1ケ月半過ぎてしまった今、「えーっ、今更なんなのよぉ?!?」、と呆れられるでしょうけど、自分のための備忘録として書き残しておきます。


6月17日、28日、7月4日、7日と4回も観た上に、オペラには珍しい美男美女カップルだったので写真を撮り過ぎたのもレポートが遅れた原因で、連写で軽く500枚は超えちゃいました。写真を選ぶのが一番時間が掛かるのですが、4回とも同じ側からだったのでワンパターンなのが残念。


でも、ストールサークルの逆側を買ってた日もあったのに、「片方閉めることにしたので移動して頂きます」ってことで元の値段よりうんと高い席をオファーしてもらえたのはラッキーでした。特に17ポンドで80ポンドの席にトーチャンと二人で座れたのは嬉しかったです。縦に長いプロダクションのため元の席だったら肝心の最後のシーンなんてほとんど見えなかったですからね(他の席をオファーされた人も一部いたようです)。



本

マノン・レスコーは18世紀前半のフランスのアヴェ・プレボーの有名な小説で、私はこれを中学生の時に読んだのですが、「まあ、なんてお馬鹿な二人なの。うまくやればお金も恋人も両方簡単にゲットできそうなのに美貌を有効活用できないどころかそれゆえにトラブルばかり起こすマノンと、何度裏切られても、彼女のせいでj罪人に成り下ってもマノンから離れられない騎士デグリュー」、と呆れながらもドラマチックで最後は感動的な物語に引き込まれたことでした。



<プロダクション>


バレエやオペラにすると、主役カップルは設定よりもうんと老けてるし、ストーリーもかなり端折られるので、原作のインパクトは弱まってしまうのですが、今回の新プロダクションでは、欲張りで尻軽なマノンをよく表現できていたと思います。ただ、現代読み替えやセクシー場面は構わないけど、ポルノ映画の撮影まがいの場面は、本質をついてたとは言えちょっとやり過ぎだったのではないかしら? 初日にプロダクションチームに大ブーリングが浴びせられたのもそれが主な理由だったと思います。



     


「ROHではどんなプロダクションが嫌いですか?」と聞かれたら、舞台横の席が定番の私の答えは「セットがマルチストーリーなのが困ります」、なので、まさにこれは最悪のプロダクションむっ。  安い席だけじゃなくて、オーケストラストールの人でも後ろのスクリーンが見えない人もいるでしょうに、気の毒。幸い、私は一回はlower slipだったので高架線の上での最後の大切なシーンもしっかり観ることができましたが、これもブーイングの理由だったに違いない。



     

これが問題のハゲオヤジたちを前にしたポルノ撮影シーン。で、その一人が変装したデグリュー。


     

足長美人のオポライスだから素敵に見えるけど、次に足が太くて短いソプラノがこれ着たら・・・ガーン。そうでなくても、このピンクのアブナイ衣装とブロンド鬘は、秋に再演するアナ・ニコルの二の舞で新鮮味薄いです。



          



同じ衣装でマノンの境遇の違いを見せたのは正解だけど、デグリューは着たきりスズメ。彼だって、良いとこのお坊ちゃんからインチキ賭博士になったりするのに。



カメラ<以下は私が撮った写真で、クリックで拡大します>



     



Director Jonathan Kent
Designs Paul Brown
Lighting design Mark Henderson
Choreographer Denni Sayers
Conductor Antonio Pappano
Manon Lescaut Kristīne Opolais
Lescaut Christopher Maltman
Chevalier des Grieux Jonas Kaufmann
Geronte de Ravoir Maurizio Muraro
Edmondo Benjamin Hulett
Dancing Master Robert Burt
Singer Nadezhda Karyazina
Lamplighter Luis Gomes
Naval Captain Jeremy White
Act III Sergeant Jihoon Kim
Innkeeper Nigel Cliffe


<パフォーマンス>



こんなプロダクションでもパフォーマンスが素晴らしかったのが新聞評価が4ツ星だったりした理由で、4回観ましたが、脇役に至るまで皆さんコンスタントに好調だったし、全く穴のないキャストでしたクラッカー


ヨナス・カウフマンが上手なのはわかっているので期待通りでしたが、それでも4月の冬の旅(→こちら )の直立不動の記憶が新しいこともあり、「やっぱり美男子が悩みもだえる姿を激しく見せてもらえるのは嬉しいラブラブ!」、と特にカウフマンのファンでもない私ですら思ったのでした。特にオポライスとの息がぴったり、というよりも「あんたら、デキてるんのとちゃうビックリマーク」と思うくらい激しい密着度とメロメロ顔で熱かったヨナスでした。

      


クラッカー嬉しい驚きだったのはマノン役のクリスティン・オポライス。ROH出演はこれが3度目のオポライス嬢、3年前のマダム・バタフライななかなか良かったものの、ヨン様と共演した2013年3月のトスカ(→こちら )では別にどうってことなかったのに(トスカは誰が歌っても上手だと思えないけど)、このマノンは素晴らしかった。特に美声ではないので、生で聴かないと良さがわからないかもしれないけど、たとえ目をつむっても聴き惚れたでしょう。

もちろん、こんな魅力的なソプラノは滅多にいないですから、女優のクリスティン・スチュワート似のチャーミングな容姿をカウフマン共々双眼鏡でしっかり観ましたとも目


     


     



マノンのお兄さん役はイギリスでベストなバリトンと私が思うクリストファー・マルトマンですから、当然やくざな演技も心憎いほど上手。 金持ちのヒヒおやじのモウリツィオ・ムラノも、歌唱力ではマルトマンには敵わないけど、役にぴったりでドラマを盛り上げました。


このオペラはROHには久し振りの登場で、数年前にホランド・パーク・オペラで観たものの馴染みがなかったのですが、聴く度に良さがわかり、指揮者はパッパーノ大将ですから、きっちりメリハリもつけて文句なし。但し、30数年も無視されてたこのプッチーニよりも、マスネのマノンの方が好きだし、よく出来てると思います。


ということで、今シーズンの目玉新プロダクションの一つだったマノン・レスコーを4回たっぷり楽しめました。全部で4枚という切符枚数制限がなければ、もう少し行ってたでしょうけどね。

      

     

     


                

     


やれやれ、これで、やっと溜まってる宿題が終わったような気分でさっぱり。


シーズンが終わってヒマなので、溜まってる他のオペラやコンサートもぼちぼち記録していけそうです。マリア・ストゥアルダ、ナクソス島のアリアドネ、バレエ等。




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