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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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ウィリアム・テル初日 by Rossini 観客騒然、前代未聞の上演中ブーイング

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<30th June Tue>

晴れ30度をはるかに越した今日はこの10年で一番暑かったそうだけど、今日から仕事に戻った私は冷蔵庫のようなオフィスで震えてました。

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昨日のギューム・テル(リンゴを矢で射るウィリアム・テル)の新プロダクション初日は大変なことになりましたよ叫び

パフォーマンスの最中だと言うのにブーイングの嵐でしたもんダウン


こんな盛大なブーイングは私には初めてだったし、実はその後ももう一度客が騒ぎもあったんです。


ブーイングは、女性が裸にされてレイプされる場面だったのですが、残念乍ら、肝心な場面は舞台の隅っこで起こり、私はアッパースリップで横から見下ろしてたのですが逆側だったので、残念乍ら見えなかったんですしょぼん


なので、どれほどひどかったのかわかりませんが、その場面だけではなく、それに至るまでに延々と続き、しかも弄ばれる女性は迫真の演技だったので、不快感が限界に達したのでしょう。パフォーマンス中と言っても、元々はフレンチ・グランど・オペラでは定番のバレエのシーンだったと思うのですが、退屈な間奏曲がだらだら続いてので、邪魔してもいいかと思ったかもしれないですしね。


実際に見てない私が言っても説得力ないでしょうけど、事前に「ヌード・シーンもあります」と知らされてたし、レイプ場面自体が反感買ったわけではないと思います。 やりたい放題の征服者を表現するには有効な場面であり、もっと残虐な虐殺シーンになったかもしれないのにレイプくらいで済んでよかったと思ったくらいですから。 でも、シーン全体があまりにリアルでしつこ過ぎた。同じレイプでももっと美しく見せる方法はあるだろうし、どうなるか明らかなのだから敢えてやらなくても。


ROHでは前代未聞の上演中のブーイング、私にはアンフィ席から始まったように聞えましたが、おそらく同じ男性が、ブーイングで皆が賛同してくれたのに味を締めてか、もう一度、今度はコミック本の映像を大スクリーンで見せて物語を進行させた場面で、不満の言葉を叫んだのです。でも、それは「シーッ!」という声に遮られ、その「シーッ!」が「煩い、黙れ!」という感じで制止されて、もう滅茶苦茶ショック!


まあ、その時も音楽的には重要でない部分だったので、主役が歌ってる時にブーするスカラ座の桟敷客よりはわきまえてるというべきか。


ダミアン・ミキレンコという新鋭の演出家は当然カーテンコールで大ブーイングされましたが、それを喜んでるに違いないので、そういう輩の思うツボにならないよう、逆に大拍手だけ或いはもっと良いのは静かに冷たく反応すればいいのに、と思います。


カチンコ良い角度からのカーテンコールがYoutubeにアップされてますので、どうぞ→こちら



予想通り賛否極端なレビューが出てますが、私の評価は複雑で、1930、40年代に読み替えるのはありきたり過ぎてオリジナリティが無いのと、これも又よくあるグレーの舞台にはがっかりでしたが、倒れてる巨大な木は美しかったし、回り舞台も上手に使って、結構好きでした。 コミック本から抜け出た時代劇マント男の存在も時には面白かったし。


正味3時間半は必要以上に冗長で、最初の幕は演出もつまらなくて退屈だったけど、徐々に緊張感が増し、最後は素晴らしいクライマックスで、終わった瞬間は怒涛の歓声、という興奮の初日でした。半分ちょっとしか見えない席からでは見たことにはならないので、長いけどもう一度(二度かも)行きます。次は正面なのでばっちり見える筈で、演出に関する意見が変るかもしれません。


あっ!、私が行く日曜日はライブシネマなんですね。問題のシーン、どうやって見せるんでしょうね?



Guillaume Tell


Music Gioachino Rossini
Libretto Etienne de Jouy
Libretto Hippolyte Bis
Director Damiano Michieletto
Set designs Paolo Fantin
Costume designs Carla Teti
Lighting design Alessandro Carletti
Conductor Antonio Pappano
Guillaume Tell Gerald Finley
Arnold Melcthal John Osborn
Mathilde Malin Byström
Walter Furst Alexander Vinogradov
Jemmy Sofia Fomina
Hedwige Enkelejda Shkosa
Gesler Nicolas Courjal
Melcthal Eric Halfvarson
Rodolphe Michael Colvin
Leuthold Samuel Dale Johnson
Ruodi Enea Scala


ロッシーニの美しい音楽をまた聴くのが楽しみですが、昨夜のパフォーマンスについてざっと箇条書きで書いておくと、


パッパーノ大将の指揮するオーケストラは素晴らしかったけど、すごく多かったコーラス部分はバラつきあり。


タイトル・ロールのジェラルト・フィンリーが上手なのは言うに及ばずですが(彼の上半身、ドン・ジョバンニで裸になった時に比べると今回は見事に中年体型だけど)、可愛いヴィノ君(Alexander Vinogradov)は歌も姿も華があるし(裸も良いよラブラブ!)、ニコラス・クーリアルのクールな悪役も素晴らしくて(良い男だけど、私の位置からは見えなくてカーテンコール写真なし)、低音男性陣は文句なしクラッカー



        



     




むっ問題はテノールで、この大事な時にジョン・オズボーンか・・。今までの彼の中ではベストだけど、高音になるとガタガタ・・。一番良いアリアがあるのに・・。 もしかしたらコリン・リーを予定してたのに廃業しちゃったんで、オズボーンで妥協したのかしら? テノールに拘る私には不満でした。


王冠1オーストリアの王女役のマリン・ビストロム、オペラ界のバービー人形であるスェーデン美女だから美しいのなんのって、ダサいデザインのスーツも彼女が着ると素敵。でも、彼女の個性的な声は好きだけど、力が入り過ぎたか音程狂いっぱなしだったし、コロラチューラが全く出来なくて、ロッシーニには不向き。立派な声量とスケールの大きさで輝いてましたけどキラキラ




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