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Channel: 着物でオペラ in ロンドン
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ウィリアム・テル by Rossini 問題シーンの過激度大幅緩和

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<6th July Mon>

いやーっ!スポーツTV観戦はストレスだ。昨夜のなでしこチームも痛々しかったけど、今日のウィンブルドン・テニスはアンディ・マリー戦やらでハラハラ。明日は出勤なので心穏やかに過ごせそう。

ところで、椿姫の最終日にヨンチェバがキャンセルしたんですが、実際に行った知り合いによると、代役が素晴らしかったそうです。

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昨日の日曜日(5日)、ROHのウィリアム・テルを再び観ました。ライブ・シネマでご覧になった方も多いでしょうから、私ごときがああだこうだ言うのも気が引けますが、主に初日との違いを書いておきますね。



今度は真正面から見たのですが(立見ですよ、もちろん)、プロダクションをフルに理解するにはやっぱり正面から見なきゃ駄目だということがよくわかりました。遠いので歌手の表情は双眼鏡が必要なのが問題ですが、照明効果とかは横からではわかりませんもんね。




まず、初日に上演中に大ブーイングされた例の過激なレイプ場面、その後すぐROHから「リブレットにもレイプが出てくるわけだし、変更しません」という声明が出されたんですが、あっさり撤回して、2回目は「演出家の意向で修正しました」ってことでした。


このライブシネマは3回目のパフォーマンスでしが、2回目とは又違うのかもしれないし、私は初日はそこにいたのに死角で見えなかったという体たらくで、残念ながら比較はできませんが、女性は裸にされたものの後姿だけでしかもテーブルクロスにほぼ包まれていたのでヌードと呼べ程でもなく、これならROHで大昔からやってるラ・ボエームに出てくる画家のヌード・モデルの方が余程露わです。



そして、あれだけ大ブーイングされたわけですからレイプされたんでしょうけど、この日はスーパー・ヒーローのウィリアム・テルが助けに来ちゃって未遂に終わり、どうってことないシーンになっちゃったので、騒ぎのおかげで切符の売れ行きがぐーんと伸びたのに期待外れと怒ってる人も多いでしょうむかっ まあ、ROH側も話題になったのは嬉しいけどライブシネマもあるし、どうしようか迷ってお疲れ様でした。



Guillaume Tell


Music Gioachino Rossini
Libretto Etienne de Jouy
Libretto Hippolyte Bis
Director Damiano Michieletto
Set designs Paolo Fantin
Costume designs Carla Teti
Lighting design Alessandro Carletti
Conductor Antonio Pappano
Guillaume Tell Gerald Finley
Arnold Melcthal John Osborn
Mathilde Malin Byström
Walter Furst Alexander Vinogradov
Jemmy Sofia Fomina
Hedwige Enkelejda Shkosa
Gesler Nicolas Courjal
Melcthal Eric Halfvarson
Rodolphe Michael Colvin
Leuthold Samuel Dale Johnson
Ruodi Enea Scala

赤いマントの人が、コミック本から抜け出したWテルで、一人だけ外れた格好してますが、20世紀に読み替えられた人々に混じって大活躍アップ

歌手のパフォーマンスはどうだったかと言うと、正面からだと音もバランスよく聞えたせいもあるでしょうし、やっぱり皆さんライブ放映ということで張り切ったかもしれないので、初日よりもずっと楽しめました。お馴染みでない作品は初めての時よりも耳に慣れて良さがわかるしね。


タイトル・ロールのジェラルド・フィンリーはいつも手堅いので歌唱的には期待通りの優等生ですが、この役のために弓矢の練習も一生懸命したんでしょう、弓を射るシーンでは、初日も標的の真ん中に近いところに当たりましたが、この日はばっちりど真ん中に命中! 有名な息子の頭にリンゴを乗せて射る場面は勿論インチキだけどね)



テノールのジョン・オズボーンがうんとましになってたのは救いでした。聞かせどころだけど難しい役なのに一流歌手を確保できなかったので一番の不安材料だった筈。最後の有名なハイCの多いアリアは完璧からは程遠かったとは言え、苦しそうでもなんとか高音も出て、へなへなだった初日よりうんと良かったです。それに、この日はずっと高音以外はうっとりするような美声! 彼としてはこの日は会心の出来だったと思うので、今後は高音の少ない役やった方がいいでしょうけどね。



マリン・ビストロムも、初日はワイルドで音程が外れ気味だったけどこの日はかなり収まって、立派な声量と個性的な声と美しい容姿で素晴らしいヒロインぶりでした。コロラチューラもちょっとましだったかな?



出番は少なくても、容姿端麗のヴィノ君はシネマでアップになるとより映えますね。可愛い~!ラブラブ



他の女性も地味ながら上手で、リンゴを頭に乗せるテルの息子も奥さんも遠くまでちゃんと声が飛んできました。


初日のカーテンコールで私の席からは見えなかった悪役ゲスラーとテル妻。憎まれ役は彼のようにハンサムな方が、舞台映えするだけじゃなくて、冷徹さがより迫ってきますね。



というわけで、立見に慣れたとは言え、正味3時間も我慢できるかしらと心配でしたが、パフォーマンスが楽しめればへっちゃらということがわかり、自信がつきました。貧乏人は体力で勝負だ走る人





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