<22nd July Wed>
プリンス・ジョージは今日で2歳。あれから2年も経つのか。妹プリンセスも誕生し、英国王室安泰めでたしめでたし。
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オペラリアOperaliaはドミンゴ先生が主催する歌コンテストで、1993年から毎年違う街で開催されてますが、今年は初めてロンドンに来てくれて、7月19日にロイヤル・オペラ・ハウスでファイナルがありました。
ジュリアード音楽院留学中の日本人バリトンの大西宇宙(たかおき)さんは残念ながらファイナルに進めませんでした。
写真では後ろの列の眼鏡なしの男性ですが、どうも背の低い人が前列、高い人が後列みたいだったので、大西さんは日本人としては体格いいんでしょうね。ハンサムだし。
因みに世間の人が持ってるオペラ歌手のイメージには合わないかもしれない眼鏡の男性は韓国人テノールですが、オペラ界では韓国人パワーは凄くて40人のうち5人がコリアンでした。
その中から選ばれた決勝出場者11人。スペインのオペラッタとも言うべきザラズエラ部門があるのはドミンゴ先生のルーツだからでしょう。いいんですよ、個人的な趣味を丸出しにしても。
Opera finalists
Edward Parks, baritone, USA
Andrea Carroll, soprano, USA
Julien Behr, tenor, France
Kiandra Howarth , soprano, Australia
Bongani Justice Kubheka, bass-baritone, South Africa
Hyesang Park, soprano, South Korea
Tobias Greenhalgh, baritone, USA
Darren Pene Pati, tenor, New Zealand
Noluvuyiso Mpofu, soprano, South Africa
Ioan Hotea, tenor, Romania
Lise Davidsen, soprano, Norway
Zarzuela finalists
Andrea Carroll, soprano, USA
Darren Pene Pati, tenor, New Zealand
Kiandra Howarth, soprano, Australia
Ioan Hotea, tenor, Romania
Hyesang Park, soprano, South Korea
そして、こちらが結果。
First Prizes – Ioan Hotea, Romania / Lise Davidsen, Norway
Second Prizes – Darren Pene Pati, New Zealand / Hye Sang Park, South Korea
Third Prizes – Edward Parks, USA / Noluvuyiso Mpofu, South Africa
Birgit Nilsson Prize – Lise Davidsen, Norway
The Pepita Embil Domingo Prize for Zarzuela – Hye Sang Park, South Korea
The Don Plácido Domingo, Sr. Prize for Zarzuela – Ioan Hotea, Romania
Audience Prizes – Darren Pene Pati, New Zealand / Lise Davidsen, Norway
The Culturarte Prize – Kiandra Howarth, Australia
男女それぞれ一人づつのお気に入りを選んで下さいね、と投票用紙を渡されるので、聴く側も気合が入るし、参加する楽しみもあります。
1曲づつだけですが、パフォーマンスに制限時間はないようで、ルチアの狂乱の場をフルに長々と歌った人もいれば、5分以内であっさり終わった人もいて、ちょっとバランスが悪かったですが、長く歌えば良いというものではなく、ボロが出るリスクもあるわけで、ルチアを歌った韓国人Hyesang Parkは上手だったけど長過ぎましたね。 あの難曲を演技面も含めてず~っと観客を魅了するには余程の実力がないと駄目ですからね。
でも、敢えてフルバージョンに挑戦した彼女の勇気に私は一票を投じました(東洋人女性が好きなトーチャンは、例え下手であっても投票したでしょうけどね)。
女性歌手の投票結果は接戦だったようで、二千人以上の観客がいたのに20票くらいの僅差だったそうです。勝ったのはぶったまげるような声量と美声でタンホイザーを歌ったノルウェー人のソプラノLise Davidsenでしたが、惜しくも逃したのはコリアン嬢に違いありません。結局、くねくねと長く細くねばったコリアン嬢が太く短く勝負したワーグナー歌いに負けたわけですが、体の大きさも迫力に比例して、痛々しいほどか細いコリアン嬢の体重の倍はあるではないかしらしょうね、とてつもない長身でがっしりしたノルウェイ女性は。
ドミンゴ夫人を含む審査員決定でも一等賞になったワーグナー大女と二等賞だったコリアン嬢 色んな意味で二人ともオペラの舞台ではハンデがあるでしょうが、二人ともドミンゴ先生のバックアップがあれば活躍できるでしょう。
ROHの若手アーチストで決勝に残ったのはオーストラリア人のキアンドラちゃんKiandra Howarthだけですが、前日にJette Parker Young Artists' Performanceで同じアリア(グノーのロミオとジュリエット)を歌った中ではベストの一人でしたが、同じように歌えてもオペラリアではぱっとせず、レベルの差がまざまざ。
男性は、テノール二人の一騎打ちに。インターバルで投票箱の近くに数分いて様子見ていたら、ほとんどの人がルーマニア人Ioan Hoteaとサモア系ニュージーランド人Darren Pene Pati,に投票してたので、「これは接戦になりそうだ」、と思ったら、ドミンゴ先生が「なんと、3票差ですよ! こんなの初めて」、と驚きながら発表。こちらは私が迷わず票を入れた相撲取りのようなサモア君の勝利でした。特に美声ではないけど圧倒的な声量に惚れましたたよ、どすこいテノール君
一方、連隊の娘の例のハイC連発アリアで受けを狙ったルーマニア人の美男子君、私はあまり良いとは思えませんでしたけどね。高音は一応出てたけど苦しそうだったから。ま、フローレス王子と比べちゃ可哀相ですけどね。でも、審査員決定では逆の結果となり、ルーマニア君が一等賞、サモア君が二等賞でした。
でも、もう一人いたテノール、32歳で最年長フランス人Julien Behrが不調だったのがとても残念でした。なぜ不調だとわかるかというと、3年前にバービカンのコンサートオペラ(ラヴェルのスペインの時)で聴いたことがあり(→こちら )、その時はすごく上手で気に入ったので、この日も楽しみにしてたんですが、ファウストのアリアは高音が上手く出ず、声量にも乏しかったので全く無視されてしまいました。
ドミンゴ先生の左後ろにいる人ですが、絶好調だったら他のテノール二人と互角に闘えたでしょうに、ほんと、過酷な一発勝負ですよね、コンテストって
全体のレベルは女性陣の方が上だったような気がしますが、さすが多数の人気歌手を輩出してるコンテストだけあって、レベルはなかなかのものでした。 でも、セヴィリアの理髪師のフィガロフィガロフィガロ~のアリアはただでさえ聴き飽きてるのに、2人のバリトンがそっくりに歌ってうんざりだったし、選曲が偏ってて変化に富んでなかったのは、ドミンゴ先生の趣味が反映してるんでしょうかね?
まあそれはいいとしても、ドミンゴ先生には問題がありました
全てドミンゴ先生が指揮するのですが、オケと歌がずれてしまったところがかなり何回かあって、明らかに打ち合わせ不足なんですが、やっぱり指揮者の方が歌手に合わせないといけないのでは? 私にはドミンゴ先生の指揮ぶりがよく見えましたのですが、かなり危ないレベルでしたよ。今まで先生の指揮が上手だと思ったことは一度もないですが、折角、これだけのコンテストを毎回場所を変えて運営して大成功してるわけですから、いくら音楽面で自ら直接関わりたくても、最後のところでぶち壊すかもしれないリスクを負わなくてもいいのではないでしょうか? 司会は続けて下さって結構ですから。
というわけで、リハーサル不足と指揮者としてのドミンゴ先生に少々難ありだったものの、あらためてドミンゴ先生のオペラ界への貢献がよくわかり、歌手としては好みじゃないけど、尊敬の念をあらたにしたことでした。ロンドンでやって下さってありがとうございました。とても楽しめました。
尚、3年前にROHであった歴代受賞者たちによるコンサートの顔ぶれを見れば、オペラリアがいかに成功してるかがよくわかるでしょう(→こちら )。
因みに一等賞金は3万ドルですって。さすがローレックスがスポンサーだけのことはある。カーディフが敵うわけないよね・・
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