<6th Apr Sun>
今夜は重くて暗いヨナス・カウフマンがROHで「冬の旅」を歌うのを聴きに行くのですが、その前に、もっと若くて明るい声のテノール君のリサイタルの記事をアップしておきましょう。
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4月2日、ウィグモア・ホールでローゼンブラット・リサイタル・シリーズがあり、28歳のイタリア人テノールアントニオ・ポリ君Antonio Poliをトーチャンと最前列真ん中で聴いて来ました。
ポリ君と言えば、2012年7月のROHのオテロでのロンドンデビューでとても気に入って(→こちら )、その時はちょい役のカッシオでしたが、去年3月のベルリンのシラー劇場では愛の妙薬のネモリーノ役で立派に主役を務め(→こちら )、トーチャンをして「ベルリンで一番楽しんだのはそのオペラ」、とまで言わしめた程です。だから今回もトーチャンを連れてってあげたんですが、期待通りの甘い声としっかりしたテクニックで、素晴らしいコンサートでした。
特に、前回のローゼンブラット・シリーズは、ほれ、例のジョセッペ・フィリアノーティのよれよれリサイタルだったですからね(→こちら )、そのあまりの差に、このシリースのため私財を投げ打ってるローゼンブラット氏も名誉回復できて喜んでいることでしょう。
Jan Philip Schulze piano
(マスネのウェルテルがドニゼッティの愛の妙薬「人知れぬ涙」に変更されちゃったのはがっかり)
ポリ君と言えば、2月に私が7回も行ったROHのドン・ジョバンニのドン・オッタビオでロンドンでもすっかりお馴染みになりましたが(→こちら )、高音で若干苦しんだのはそれが実力なのか、それとも一回体調崩してキャンセルしたことでもあり絶好調ではなかったのかはわかりませんが、このリサイタルは高音を避けたプログラムにしたようで、全く危なげなく始終安定してました(「ウェルテル」のアリアを、「愛の妙薬」の「人知れぬ涙」に変更したのはそれが理由だったのかな? だとしたら、課題は高音ですね)。
プログラム構成は、ローゼンブラット・シリーズでは定番の「前半は主に渋い歌曲や歌手のご当地ソング、後半はポピュラーなオペラアリア」でしたが、まさかイタリア人のポリ君がロシア語やドイツ語で歌うとは意外で、前半はベートーベン、シューマン、ラフマニノフ、チャイコフスキー。その中ではやっぱり、テノールのロシア語アリアとしては大ヒット曲であるチャイコフスキーの「オネーギン」のクーダ・クーダが一番受けました。
後半は結局全てイタリア語でカンツォーネやオペラアリアを歌ってくれて、華やかに盛り上がりました。ローゼンブラット氏も好きなのかしら、イタリア人歌手はいつもTostiを混ぜてくれるのが嬉しいです。
アンコールは2曲で、最初のは彼が「有名じゃなくて地味だけど、偉大なジョゼッペ・ディ・ステファノも歌ったからというアリアと、題名はわからないけどお馴染みのナポリ民謡。
終了後はいつものように舞台裏のグリーンルームに突進。
一週間前に転んだ傷がまだ少し顔に残ってるけど、折角だからツーショットもお願いしちゃおう。
尚、ポリ君、来年5月に新国立劇場で椿姫をやりますよ(→こちら )。(日本では、ポーリ君っていうんですね)。
イギリス在住の方は、このリサイタルをテレビで観ることもできます。Sky Arts2で、放映は随分先でしょうが、わかったらここでお知らせしますね。