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サラ・コノリーの声楽マスタークラス

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<20th March Tue>


今日は英国のトップ音楽学院のひとつであるRoyal Academy of Musicで行なわれた歌のマスタークラスに行ってきました。誰でも入れるオープンクラスなのですが、いわば授業の延長ですから、写真はありません。


英国人有名メゾ・ソプラノSarah Connollyが先生だったんですが、これがなんと無料。声楽だけでなく様々の楽器のマスタークラスが頻繁にあるですが、ほとんどは日中行なわれるようです。今回は幸い6時スタートだったので私も行けましたが、リタイヤして悠々自適の身になったらこういうのに行きまくることができるわけで、無料或いはうんと安くクラシック音楽が楽しめるロンドンにいるのに、会社なんか行ってるのが悲しくなります。


サラ様のマスタークラスは6時から3時間の予定でしたが、家でブログでも書こうと思っていたので、1時間くらいいれば様子はわかって充分だろうと思って軽い気持ちでちょっと覗きに行ったんです。でも、凄く面白かったので、結局最後までいたら、終わったのが9時20分過ぎ。観客のほとんどはリタイヤした初老の人たちでしたが、熱心なサラ様のお陰で盛り上がり、15分くらいの休憩1回だけで、とても中身の濃いマスタークラスでした。


長いマスタークラスでは人柄が出るわけですが、的確できっぱりしてるけどとても温かいサラ様。熱心に事細かにアドバイスして聴いてるほうも感心しっぱなしでしたが、全員に歌詞を歌わずに語らせたりして、特に歌詞と子音の重要さを強調して、明らかな効果があがりました。


彼女の音域ではない歌手もいたのに、フルな声はちょっとだけでしたが、サラ様はソフトにたくさん歌ってくれて、それはそれでいつもと違う魅力だったし、トラヴィアータのアルフレードのアリアを歌う優しい美声のサラ様なんて滅多に聴けるものではないですよ。そして、お得意のヘンデルのジュリオ・チェーザレは結構本格的に歌ってくれて、やはり一番説得力ありました。


オペラのアリアだけでなく、シューベルトの歌曲までやったのですが、サラ様の誠心誠意の指導ぶりには感激でしたが、生徒は5人で、ここの学生だろうと思うのですが、精鋭を選んだのか、皆さんとても上手。私が良いと思った順に名前を書き残しておくと、Samuel Furness (tenor), Johnny Herford (baritone), Aoife Miskelly (soprano), Katie Bray (mezzo-soprano), Sarah Shorter (mezzo-soprano)。


男性二人が印象的で、特にテノール君の歌ったKuda, kudaが素晴らしく、彼はアルフレードはいまいちでサラサマに厳しくあれこれ言われてましたが、このチャイコフスキーのアリアを歌いだしたらすぐに「あ、これは完成してるわ」と思ったか、サラ様は舞台を下りて客席で聴き惚れてました。心のこもった哀しいアリアに私もぐっと来ましたが、サラ様もうるうるでしたよ。後で「僕、このオペラは丸々歌ったことがあるから」と言ってたので、皆で納得。


このイベントを知ったのはつい最近なのですが、思い掛けず充実した時間を過ごす事ができました。今週は仕事も忙しいのですが、そういう時こそ良い音楽に接してリフレッシュすることの大切さも再確認したし、ロンドンのありがたさも実感。


                   

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ROHの切符の値段についての良いニュース

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<22nd March Thus>

昨日ムスメが仕事帰りに又来てくれて、夕食後は一緒に彼女がちっちゃい時のビデオ・テープを鑑賞。たくさんある中で昨日はよちよち歩きの頃の映像を笑いながら親子3人で久し振りに見て、しみじみと幸せを実感。なんせ、子供は諦めてたところに奇跡的に産まれた一人っ子なので。来週また続きを観るのが楽しみ。因みに、夕食のおかずはエビふりゃあとかき揚げ。出来合いを揚げただけで、油っこかったですが、美味しかったです。

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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


先日、ROHが「高い席の値段を下げます。例えば、210ポンドを175ポンドに。そしてそれは安い席の値段アップによって補います」、と言ったと書いたのですが、それは私の誤解でした。


イヴニング・スタンダード紙で「高い切符を値下げする」の後にThe price drop is being made up for by ticket prices elsewhereと書いてあったので、安い席を謳歌しながらも「こんな良い席がこんなに安いなんて恵まれ過ぎでるから、きっとそのうちどーんと上がるに違いない」、と秘かに怖れてる私なのでこういう解釈になったわけですが、


私だけじゃなくて、その不鮮明な言い方に「一体どういうことなんだ!?」と責める人たちから、(詳細な値段表もついてるROHサイト→こちら によると)問い合わせが殺到したようで、それに応えるべく、昨日サイトに明確な説明がされました。 
     

それによると、例えば来シーズンのトスカやラ・ボエームは先回の£9~£219.5から£6~£175へと、どの席も値下げになるそうで、そしてそれを補うために切符の売れ行きの良さそうなワーグナーのリング(これはすでに売り切れ)、ドミンゴの出る新プロダクションのナブッコ、ドン・カルロ(カウフマン)、プッチーニのつばめ(グリゴーロとゲオルギュー)などの値段を上げるんだそうです。

要するに、メリハリをつけるわけですが、(リングは別として)演目というよりは出演者によるところが大きいのは明らか。

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
だとすれば、全てのオペラの切符が売れるようにするためにはどうすべきかという解決策は明らかですよね?

そう、有名歌手をどっさり出せばいいんです。


出演料は高くても、何千枚という切符がダンピングせずに売れるのであれば、安い投資でしょうが。特に今年はオリンピックや女王様のダイアモンド・ジュビリーでイギリスのイメージは最高潮の筈ですから、こういう時にごっそり良い歌手をケチらずに契約しまくって下さい。


    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


それに、良い歌手が揃えば世界中からオペラファンが押し寄せるわけで、ホテルやレストランも潤って良いことtづくめになる筈なので、政府ももっと補助すべきではないかと。


さらに、チェルシーに住むことになったという今をときめくテノールのグリゴーロ君が「ロンドンは良いよ~」、と仲間に勧めてくれてロンドン在住のオペラ歌手が増えればさらに簡単に出てもらえるでしょうから、期待したいです。


こないだのインタビューでシュロットも「ロンドンが大好きで、一年に一度は来なくちゃ」と言ってたので、ネトコ一家でロンドンに引っ越してくるのはいかがでしょうか? 食べ物は不味いけど、良い私立学校はあるので、お坊ちゃまの教育にも良いと思うんですが。

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ということで、公表された来シーズンの第一ピリオドの値段表を見たら値下がってるので、ほっと胸をなでおろした私。ROHにばかり行ってないで、他の所にも手を広げる方がいいかしら、と思うこともありますが、雰囲気も費用対効果もやっぱりここがぶっちぎりのベストですから、きっと又行きまくってしまいそうです走る人


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お花見と自宅オペラ三昧

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<24th March Sat> 

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
1さあ、今朝は、先週末テレビを録画したのを昨晩観たNYメトのオリー伯爵Le Compt Oryを、もう一度今度はBGMで聴くだけにして、ブログでも書きましょう。かなり前に観たポルーニンのバレエのことが書きかけだから。


だけど、ああ、やっぱりつい観てしまうわ。フローレス王子の顔芸がめちゃ面白いんだもん。これ、一年近く前にバービカンのHD生中継で観たんだけど、ダムラウもディドナートもすごく上手で、何度観ても楽しい! でも毎回全部観るヒマはないので、いつもペトルージの出番だけは早送りだ。


テレビどれどれ、今日はテレビでなにか面白い番組あるかしら?


あら、午後に、先月ロイヤル・アルバート・ホールでやってたアイーダがあるわ。


でも、その前に、F1レースの予選をテレビで観て、それから1時間あるから、急いでトーチャンと散歩に行こう。近所の水仙の群生が見頃だし、こんなピカピカの快晴、家にばかりいてはもったいないわ。


道路の両側に800メートルくらいびっしり咲いてるんですが、なかなか見事でしょ?

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン) 木蓮や桜も咲いてます桜

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あ、バスに映画Wrath of the Titansの広告が!カチンコ

サム・ワージントンが着てる衣装の一部は実はうちのムスメが作ったんです。来週公開だから観に行かなくちゃ。


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晴れしかし、暑いわ、今日は。20度は越してるだろうから、これはもう夏よ、イギリスでは。明日から夏時間だしね。


2アイーダは、どでかいロイヤル・アルバート・ホールだから勿論マイク使用だし、大した歌手は出ないし、切符代も高いので行かなかったけど、ちょっと観てみましょう。ビクトリア時代に実存した女性がエジプトで発掘してるときに古代エジプトに迷い込むという設定のようだけど、発想は面白いけどやり方がいまいちで、その女性がずっと舞台をうろうろしてるのも邪魔だ。ヴェルディがアイーダを書いたのとアルバート・ホールが造られた1850年代をこじつけてるらしいけど、セットは19世紀の発掘現場なので、アイーダたちは幽霊ってこと?オバケ


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

それでも良いけど、せっかく広いアルバート・ホールでやるんなら巨大なセットか人海作戦のスペクタクルを期待したのにどちらもなくて、スケールのちっちゃい貧相なプロダクション。10年前にここで観た先回のアイーダは巨大な像が倒れたりしてオーっという迫力だったのに。でも、一般大衆向けをめざすRaymond Gubbay氏、今回はイタリア語でやってくれたのは評価します。歌手のレベルはROHと比べちゃいけないけど、ENOでよく主役してるClare Rutterのアイーダだけは上手だったのが救い。


でも、アイーダの最後30分間は音を消して映像だけチラチラ観ざるを得ないわ。


3だって、6時からは楽しみにしてたミュンヘンのオペラハウスからのライブ中継のオネーギがあるんだもの。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
Larina: Heike Groetzinger
Tatiana: Ekaterina Scherbachenko

Olga ; Alisa Kolosova
Onegin: Simon Keenlyside
Lenski: Pavol Breslik
Gremin / Saretzki: Ain Anger
Triquet: Ulrich Ress

Conductor: Pietari Inkinen
Bayerische Staatsoper


すっ飛んだ演出で、オネーギンとレンスキーはホモだし(チャイコ先生はそういうつもりだったのかも)、他にもかなりひねくりまわしてあるので初めてこのオペラを観る人にはお勧めしないけど、私はたくさん観てるのでどんなに崩されても平気。イメージは壊れないし、チャイコフスキーの素晴らしい音楽も汚されません。カーディフの優勝者Ekaterina Scherbachenkoは今最高のタチアナでしょう(ROHで観たときも素晴らしかった)。端正なブレスリク君はROHのドン・オッタヴィオはあまりにクール過ぎたけど今日は適度に熱くて良かったし、サイモンはサイモン、と歌手は皆さん上手だったので、こんなのが家で観られるなんて、良い時代になったものだわにひひ


でも、音は良いけど画質はお粗末だし、しょっちゅうフリーズしてしまうのには閉口で、「一番素敵なレンスキーのアリアの時に固まるなんて!」とか、「あーん、一番肝心なブレスリク君が決闘の前にシャツ脱ぎはじめたところで止まっちゃったよ~。何秒かしていきなり上半身裸にジャンプしちゃったじゃないの」、とか苛々し通し。我が家のパソコンがボロいせいかしら?むっ


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というわけで、思いがけず、一日に3つもオペラを観ることができたハッピーな土曜日ニコニコ



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セルゲイ・ポルーニン   反逆児ダンサーのロンドン初仕事

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<25th March Sun>

夏時間になって一気に日が長くなり、本当に夏が来た気分。イギリスの季節感は気温ではなく日の長さだから。

今更ですが、ちょっと前に観た話題の人のバレエのことを書いておきしょ。

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3月13日、着物でサドラーズ劇場に行きました。

この3日前の東北震災チャリティ・コンサートにはイベントの性格上うんと地味な着物で行ったのですが(→こちら )、この日はいわばその反動できれいな色が着たくなり、濃いピンクにお花がたくさん舞ってる小紋にし、キラキラ銀色の帯と、写真よりもっと鮮やかな帯揚げと帯締めといういつもの若作りコーディネートになりました。


ピンクと水色という洋服ではあり得ない組み合わせ、いかがでしょうか?洋服感覚で着物を着る人もいますが、私は折角着物を着るのであれば、洋服とはなるべく違うコーディネートにしたいと思っています。


これが今年15回目の着物お出掛けで、→こちら にまとめてあります。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)       London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


観に行ったのはMen in Motionというタイトルのバレエ公演で、先月ロイヤルバレエを電撃退団して世間をあっと驚かせたセルゲイ・ポルーニンがお目当て。(辞めたときのことは→こちら )。古典以外を踊りたいというのが退団理由の一つだったらしいので、辞めて自由になった彼がどんなことするのか興味があり、前から2列目で45ポンドも奮発したんです。

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

男性ばかりかと思ったら、女性ダンサーも出てきましたが、やけに短かった上、なにもない舞台がほとんどで、小編成オケはいたけど時には録音が伴奏というしけぶり。座長のイヴァン・プトロフ(元ROHプリンシパル)はここでこういうのを時々やっているらしいけど、今回は話題の男ポルーニンが出ると言うのに切符の売れ行きは悪く、果たしてこれでやっていけるのかしら。私みたいに、ポルーニン話題で来てはみたものの、内容の割には切符代の高いこのシリーズにはもう二度と来ない人も多いかもしれないし。でも、サドラーズ劇場が必要なビザを取ってくれたらしいので、恩ができちゃったね。


短い8作品のダンスのうちポルーニンが踊ったのは3つ(L'apres-midi d'un faune/Narcisse/James Dean)で、予備知識ゼロで臨んだ上にバレエには疎い私の感想など無視して下さい、なんですが、一応手短に書いておくと、


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
田園風の雰囲気の中でL'apres-midi d'un faune(午後の牧神)は静かな動作だからこそ難しいらしいのですが(後で知った)、思わせぶりにじーっとしてるだけで、「一体いつクルクルぴょんぴょんしだすのかしら」、と待っていたのにそのままで終わってしまい、「えーっ、ポルーニンのジャンプを観にきたのに、なによこれ。座ってるだけじゃん」、とがっかり。


Narcisseでやっとジャンプしてくれたのは嬉しかったのですが、特に凄かったとも思えないし、ガラーンとして暗い舞台で一人淋しくぴょんぴょんしても、ROHの時みたいなうわーっ!という華やかさは一切なし。

やっぱり、ROHの王子様役でやってた時みたいに、きらびやかな舞台と衣装と賑やかしで立ってるだけでも他のダンサーたちがいる方が盛り上がるってことなんでしょう。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン) London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


ポルーニンの思い入れが一番入ってるのは自ら振り付けもしたJames Deanに違いないのですが、「ほら、今の僕ってジェームス・ディーンの理由なき反抗を地で行ってるでしょ?」、という独りよがりのコンセプトだけで、特にユニークな動きもなく、さらにTシャツとジーンズではダンス的に制限される上、顔の表情にも大事だろうに舞台近くに座ってた私ですら特に感じるものもなく・・・。(まあそれはジェームス・ディーン自体に共感しないのが原因かもしれなくて、若い時に彼の映画は全て観たけれどどうしても好きになれませんでした。ジャイアンツでも、ひねくれ者のディーンより、まっとうな古いタイプのロック・ハドソンの方がずっと素敵だと思いましたもん)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
とにかく、セルゲイ君、大劇場で指示されるまま踊るより、自分のやりたいものだけを自由にやらせてもらえることが今は嬉しいんでしょうけど、ROHのきらびやかさとは程遠いこんな場末の劇場で踊ることが君のやりたかったこのなの?その上、空席も目立って、舞台から見たら淋しい光景でしょうに。


大劇場の歯車の一つでも、先輩たちの垢のついたちゃらちゃら王子様役でも、時を経て支持されてる伝統は価値もやりがいもあるわけだし、せっかく過去も現在も含めて誰よりも上手に踊れる才能もあるのに、勿体ないとは思わないの?


ROHから飛び出したことは若気の至りと私は思うけど、それが良かったかどうかは全てこれからのセルゲイ君の踊りにかかっているわけで、享楽的な性格らしいのが心配だけど、青春を謳歌しながらも踊りにだけは精進して、慎重に選びながら、世界中で活躍して欲しいものです。先は長いし、21歳、ほっそりした体つきをみてもわかるように、まだ少年だもんね。


数年後には、この日瀕死の白鳥を踊って一番受けてたAndrew Bowmanみたいな成熟したマッチョで男らしいボディキスマークになれるかもしれないから、待ってるわ、その日を。


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リゴレットのリハーサル

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<27th March Tue>晴れ


イギリスではあり得ない程の眩しい日差しの夏が続いてますが、今日はROHのリゴレットのドレス・リハーサルにトーチャンと行ってきました。新オペラMiss Fortuneでこけてから2週間ぶりの生オペラです。


とは言っても、今日は仕事を丸一日休むわけにはいかないので、私だけ途中で抜け出すという悲しい事態しょぼん


11時開始で1時近くまで、ということは3分の2観たのですが、4ポンドですからお金は惜しくないけど、平日悠々としてられらる人が羨ましくて溜まらず、又いつもの早くリタイヤしたい病にかかってしまいそうですむっ

カメラカーテンコールまでいられなかったので自分では写真撮ってませんが、Primroseさんがお撮りになったものを拝借させて頂きます。動画も投稿なさったので、ご覧下さい→こちら



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リゴレットって?


リゴレットはヴェルディの名作。オペラってものを一度観てみたいなと思ってる方には良い機会で、3月30日から4月14日までやってて、日によっては切符はたくさん残ってますから(安い切符はなさそうですが)、是非どうぞ。


詳しい椿姫的解釈は→こちら をご覧下さいですが、要するに、


ヴィクトル・ユーゴーの原作が、オペラではどれだけ変わっているのかは知りませんが、せむし男のリゴレットは公爵家の道化役。自分が仕える好色な公爵に娘ジルダを手篭めにされ、復讐に殺し屋を雇って公爵暗殺を諮りけど、裏切られても公爵を愛するジルダはその陰謀を立ち聞きし、自ら身代りになって殺されるという父娘の悲劇。

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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
音譜パフォーマンス


しっぽフリフリ公爵

私のおめあては勿論若い熱血テノールのヴィットリオ・グリゴーロなんですが、ロンドンに住むようになったこともあってか、最近はよく出てくれて、これがファウスト、トラヴィアータに続き今シーズン3度目。(嬉しいことに、来シーズンも2度、ラ・ボエームとつばめに出てくれます)


今日も当たり前のように熱い歌と演技をみせてくれて元気一杯、安定したいつものグリゴーロ節を聴かせてくれてうっとり聴き惚れましたがキスマーク、ちょっとだけ残念だったのは、最初は張り切り過ぎて力が入りすぎたのか、のっけのアリアはあまりにも弾み過ぎてぶつぶつ途切れてしまったこと。普通に平坦にした方が彼の美声が映えると思うのですが。

キャラ作りとしては、(最後のシーンは見てないけど)ことさら冷淡さを強調してるようで、何人のも一流テノールが歌ってくれたこの役、今までとは違うクールで残酷な公爵になりそうで、本番が楽しみ。


おやっと思ったのは、公爵の衣装が最初の2幕は今までと違ってたことで、理想体型でハンサムなグリゴーロ君はどれもよく似合ってましたが、これは特別扱いなんでしょうか(ゲオルギューやネトレプコで実例あり)、それともこれからはこれにするのかしら?


ネコジルダ

エカテリーナ・シウリーナはこの役で何度も聴いてるので、今まででベストな素晴らしい可憐なジルダではあるけれど、そろそろ違うソプラノでも聴いてみたいな、と。例えば、私の大好きなクルチャクは他のところではジルダもやってるのに、なぜかROHではコメディ専門。きっと素敵なのに。一回だけLucy Croweがジルダだけど(2回の間違い)、その日(14日と21日)の切符は買ってないのが残念。


クマリゴレット

公爵とジルダが上手なのはわかってるけど、主役3人のうち2人を有名歌手にすればROHとしては充分と思ってるのか、リゴレットのバリトン、ディミトリ・プラタニアスって、一体誰ですか? 


という不安を皆が抱いていたと思うのですが、この若いギリシャ系テノール、よく通る声がなかなか良くて一安心。やはり一番大切なのはこの役だし、下手くそを何度も聴くのはあまりにも苦痛ですから。歌手のことはあまり知らなくて白紙状態で判断できるトーチャンに「誰がベスト・シンガーだと思う?」と尋ねたら、「リゴレット。彼が一番拍手もらってたしね」、と言ってました。


拍手が一番大きかったのは期待が低かったせいもあるかもしれないとしても、たしかに歌は良かったんですが、演技面はペケ。近くで見ると若そうだけど老けてる顔だし、小柄で小太りで全然美男子じゃないので素のままでリゴレットにはぴったりなんだけど、このリゴレットは杖を2本持ってて、体を少し折り曲げるだけで初老の醜いせむし男の悲哀が出るようになってるわけだから、それを有効活用しなくちゃ。

顔の表情も乏しくて、目つきだけで全てを語るレオ・ヌッチの貫禄と存在感の足元に及ぶには軽く10年は掛かるとしても、もうちょっとなんとかならんものか?

でも、肝心の歌は合格点だし、本番を何度かやってるうちに演技もこなれてくるかもしれない期待できる新人ですから、今回のリゴレット、なかなか良さそうです。


ひらめき電球

今日はいわば予告編ですから、他の人たちについては又追々書きますね。私は初日をはじめ、本番には4回行きますので。

グリゴーロ君が一回だけキャンセルした日の代役フランチェスコ・メリも大好きなので、それも楽しみ。途中で誰か体調崩す可能性は大いにあるけど、リゴレットの代役にあの巨顔バリトンのガヴァネッリおじさんだけは出ませんよう・・・。ディミトリ君、体調維持には充分気をつけるんだよ。


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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
<31st March Sat>

しばらく続いていたバカ陽気も終わり、今日からはまたコートやスカーフが必要なグレーなロンドンに戻っちゃいましたしょぼん まだ3月なのだから、これが当たり前なんだけど、仕事で忙しい平日に良い天気で週末に崩れるなんて・・・。


今日はトーチャンと映画Wrath of the Titans(日本では来月公開の「タイタンの逆襲」)を観に行きました。

ギリシャ神話もここまできたかという一大アクション映画で、評判は良くないけど、なんせムスメの名前が映画の終わりのクレジットにはじめて出る映画なので、数百人の一人であってもトーチャンカーチャンはそれだけで感激クラッカー。ムスメが作ったのはペルセウス役の主役サム・ワーシントンが着てる鎧とかですが、長い間しっかり映ってたので、先週遊びに来た時にムスメ(関係者映写会ですでに観ていた)も満足そうでした。映画の出来も心配したほどは悪くなかったし。

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「もうすぐ寒さがぶり返します」と予報されてた2日前の木曜日、この異常な暖かさに便乗しようと、ギリギリセーフで春らしい装いでお出掛けすることができました晴れ


ご一緒する着付けのA先生とアンスネスのピアノ・リサイタルに行ったのですが、このポカポカと暖かい太陽を浴びる嬉しさを表わすような装いにしましょうというのがテーマコスモス


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
それならば、極端な若作りではありますが、私は甘~いピンク地に雪輪柄の単衣の紬と水色の綸子の帯でどうだ! ここ数日間の青空をバックに咲く桜のイメージね桜

   
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A先生は爽やかな若葉色の結城紬と白地にピンクの花柄の帯。


写真を撮ったのは7時過ぎなのですでに暗くなりはじめてるのが残念で、フラッシュ焚いたので白っぽく見えますが、実物は二人とももっと鮮やかなパステルカラーなんです。


テムズ河畔のサウスバンクは戸外でビール飲む人で溢れてて、暖かくて気持ちの良い夏の夕暮れ時でしたビール


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今年最初の旅行決定

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<1st April Sun>

目の前のことを片付けてるだけであっと言う間に4月になってしまいましたが、やっと今年初めての旅行が決まりました。


私が候補を上げて相談、というよりほぼ一方的に決めちゃうんですが、今回も例にもれず、私がずっと行きたいと思っていた所に行くことでトーチャン説き伏せに成功チョキ


 行くのは6月なのでまだ先ですが、行き先はここ。


    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


ストックホルムは北のヴェニスとも呼ばれる水の都で、去年行ったナポリやまマドリッド同様、壮麗な王宮とクラシックなオペラハウスが私にとっては大きな魅力。


でも、長い間憧れの街であった本当の理由は他にありべーっだ!


それは、金髪碧眼の男性が好みのタイプの私にとっては、他ならぬスェーデン男に決まってます。多少天気が悪くてグレーでも、輝くような若い金髪男性がうようよ歩いていればそれだけで明るくなるのでしょう。へっへっへキスマーク


いえ、男性だけでなく女性も素敵だし、それだけでなく、去年の外国旅行はイタリア2回とスペイン2回と南方面にばかりだったので、今度はヨーロッパの中でも雰囲気の違うクールな北欧が新鮮。スカンジナビアは初めてなんですが、うんと日の長い北欧でトーチャンが張り切って歩き回るでしょうから、今から足腰鍛えなきゃ走る人



飛行機フライトはヒースローからの理想的な時間帯のSAS便を奮発(二人で300ポンド以下ですが)。

音譜オペラの切符も買いました。トスカなんですが、特にトスカが観たいわけではもちろんないけど、字幕が理解できない場合はこういうお馴染みのオペラが無難。大した歌手は出ないでしょうけど、とりあえずここで生オペラが観られるだけで充分。


3泊するんですが、ホテルはこれからトーチャンとゆっくりじっくり選びます。


尚、これはほんの週末小旅行であり、メイン旅行はこれから考えるんですが、行きたい所がたくさんあり過ぎて困ります得意げ



晴れ桜

今日は晴れてても肌寒かったですが、私がテレビを観てる間にトーチャンは散歩に出掛けてお花の写真を撮ってきてくれました。


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アンスネスのピアノ・リサイタルで感激  

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<3rd April Tue>

今週は仕事も忙しいのに3日連続でオペラハウスという羽目になってしまい、いつもにも増して余裕のない生活を送っています。そんなときは週末に準備した記事をアップして誤魔化そうっとにひひ

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3月29日、一年以上も前に切符を買って楽しみにしてたノルウェー人ピアニストのアンスネスのリサイタルがサウスバンクのQueen Elizabeth Hallでありました。


3月は、私が大好きなピアニストの双璧であるキーシンとアンスネスのリサイタルがあったわけですが、今回の対決に関する限り、アンスネスの勝ちクラッカー キーシンは々不調だったですしね。でも、例えキーシンが絶好調であっても、この日のアンスネスも決して劣ることはなかっただろうと思えるくらい、それはもう素晴らしかったですラブラブ


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
Leif Ove Andsnes
piano

Joseph Haydn: Piano Sonata in C minor, Hob.XVI/20
Béla Bartók: Suite for piano, Op.14
Claude Debussy: Images, Set 1
Interval
Fryderyk Chopin: Waltz in F minor, Op.70 No.2
Fryderyk Chopin: Waltz in G flat, Op.70 No.1
Fryderyk Chopin: Waltz in D flat, Op.70 No.3
Fryderyk Chopin: Waltz in A flat, Op.42
Fryderyk Chopin: Ballade No.3 in A flat, Op.47
Fryderyk Chopin: Nocturne in B, Op.62 No.1
Fryderyk Chopin: Ballade No.1 in G minor, Op.23

アンコールは3曲で、ショパンのワルツ(おそらく)、ラフマニノフのエチュード・タブロー、グラスノスのspanish dance。



私がわかる範囲ではミスタッチはなかった超安定力のアンスネス、この日は端正なハイドンでスタートし、次は打って変わってモダンなバルトークでは若い男性らしい力強さでガンガンと凄い迫力ロケット


そのすぐ後のドビュッシーは、聴く側の耳にバルトークがまだ残ってていきなり対極の叙情性についていけなかったばかりではなく、弾く彼もあまりの変化についていけなかったようで、これは選曲ミスではなかったかとシラー

彼のドビュッシーは3年前のリサイタル(→こちら )でたくさん聴いたのですが、だら~んとしたドビュッシーが苦手な私にアンスネスのしゃきっとして爽やかなドビュッシーは目からウロコの新鮮さだったので、今日の演奏はちょっと残念。全く違う3人の作曲家を続けて一気に弾いてみせて「僕はなんでもできるでしょ?」ということを示したかったのかもしれなくて、たしかに「へへーっ、恐れ入りやした、貴方は凄いです」と誰しもが思ったに違いないのですが、コンサートには一定のムードというのも大切な要素なのだとわかりました。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
幸いなことに、休憩を経た後半は全てショパンのプログラムで、これは見事に統一が取れて感動が途切れず流れるようなショパン三昧。


ショパン演奏によくあるねっとりした甘さはなく、アンスネスの持ち味を生かした清らかで爽やかなショパンは2年前のウィグモア・ホールの全ショパン・リサイタル(→こちら )で経験済みですが、今回はそれに優しさと凛々しさも加わって、これはもう極めつけの名人芸王冠1
こんな凄いピアニストを、サウスバンクでは一番大きいロイヤル・フェスティバル・ホールではなく、格下のクイーン・エリザベス・ホールで弾かせるなんてむかっ


3年前のフェスティバル・ホールのリサイタル(すっごく良かったんですが)で空席が目立ったのでこんな羽目になったに違いないのですが、なんて勿体ない。


でも実力に比べて人気がないのは、彼の謙虚さも災いしてるのではないかしら。これみよがしな演奏やオーバーアクションは全くなく淡々と正確に弾くだけでなく、カーテンコールもあっさりし過ぎ。ペコりと頭を一度下げたらすぐ舞台裏に引っ込んでしまうので写真撮るのすら難しいです。キーシンみたいに長く客席を睥睨して喝采を促すような態度を取れとは言わないけど、素晴らしい演奏を聴いた感動と御礼を伝えたいですから、せめてもうちょっと長く舞台で愛想ふりまいて頂けないでしょうか? 

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

まさに弾き始めようとしてるように見える写真ですが、弾いてるところを撮ろうとしたわけではなく、お辞儀から頭を上げる瞬間を狙ってシャッター押したんだけど、アンコールを弾くために彼があまりに素早く椅子に座ったために、こういうタイミングになったのです。


というわけで、今や世界一のピアニストと私が信じる北欧好青年の素晴らしいリサイタルに大満足ニコニコドキドキ



                   人気ブログランキング とかげ



巨大イースター・エッグは要らんかえ~?

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<5th April Thus>


月曜から昨日まで3連チャンでROH(リゴレット2回と来シーズン説明会)だったので、今日は早く帰ってブログでも書こうと思っていたんですが、急遽、バレエを観に又ROHに行ってしまいました。なんと、あのポップ歌手のボーイ・ジョージもちょっとだけ出演して、妙なことになりましたが・・・。


てなことで、仕事も忙しかった超フルな4日間でしたが、明日からイースターの4連休祝日クラッカー


金曜日のコンサートと(結局5連チャンか・・・)日曜日にムスメのフラットに遊びに行く以外は家でのんびりする予定ですが、

イースター気分を盛り上げるために、昨日コベントガーデンで撮った巨大イースターエッグの写真を貼っとこ。

カメラクリックで拡大します。


The Faberge Big Egg Hunt Auctionというチャリティ・オークションで、ちょっと前からロンドンの街中のあちこちに置いてあった一点もののアート作品約210個のでか卵ですが、ネット入札締切直前にコベントガーデンの広場で一堂に会することになったものです。


30個は3月20日にサザビーズのライブ・オークションですでに売ったようですが、他は9日まではオークションに参加できますので、詳しくは→こちら をご覧下さい。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     

ポスト私のお気に入りは赤い郵便ポスト卵ですが、これはすでに4万2千ポンドで売却済み(→こちら )。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
          白い建物がロイヤルオペラハウス



ひらめき電球ひらめき電球


そうだ、私は幸いオペラを観に行くのだから、ROHのテラスから全体を見下ろしてみようっと。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


折角の連休なのに、先週までのバカ陽気とは打って変わった寒さで、冬に逆戻りしたのは残念だけど、楽しみにしてた4日間、のんびりしながらも、溜まってることを手際よく片付けなければDASH!


                 人気ブログランキング  ベル

バッハのヨハネ受難曲 イアン博士の涙(お散歩写真付き)

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<6th April Good Friday>

イースターホリディのスタートは、この祝日の由縁であるキリスト教がテーマのコンサートに行ってみましょう。

クリスマスとイースターにはヘンデルのメサイヤやバッハの受難曲やオラトリオがあちこちで演奏されるものの、宗教的なことが苦手なので、「復活祭にはこれを聴かなきゃ」とは全く思わないのですが、尊敬するバッハ先生の名曲は一度聴きたいので、聴くのであれば一流歌手が揃うときにと狙っていたところ、今回はご贔屓テノールのイアン・ボストリッジとカウンターテナーのイエスティン・デイヴィースが共演するということで、高い切符を奮発して、一人で行ってきました。44ポンドもするので、2枚買っても人様は誘いにくいし、宗教嫌いのトーチャンは誘っても来ないでしょうから。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン) 晴れ
寒いけど良いお天気なので、2時半にコンサートが始まる前に近くを散歩してみましょう。



でも、うわっ、凄い人出 叫び



って、嫌な顔しちゃいけないでしょうから、観光客の皆様、ロンドンにいらして下さって、ありがとうございます。そうです、この辺りは威風堂々的ロンドンを味わうには最適ですから、皆様ロンドンにお越しの際は、マダム・タッソーなんかには行かなくてもいいですから、ウエストミンスター・ブリッジには絶対行って下さいね。 
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
  

  London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

世界で一番美しい建物だと思う壮麗な国会議事堂はいつ見ても美しいので、観光客に混じっていつも写真を撮ってしまう私ですが、今日は銅像に注目。クリックで拡大してご覧下さい。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)   London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

       12世紀に十字軍で活躍した勇敢なリチャード獅子心王 Richard the Lion Heart


 London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

 悪役オリヴァー・クロムウェルがなぜか特等席       ロダンのカレーの市民もあるでよ~べーっだ!


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


ロンドン・アイと旧市庁舎、ウエストミンスター寺院も、お天気良いと立派に見えることキラキラ



London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
国会議員のロンドン滞在に違いない渋い高級感のあるフラットのある通りの突き当たりがコンサートがSt. John Smith Squireで、教会を改造した中堅コンサート・ホールです。


内部は繊細なギリシャ柱とかあって、教会というよりは貴族のお屋敷風ですが、今日の演目にはぴったりの雰囲気でしょ。


    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)




London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

前置きが長くなりましたが、コンサートはどうだったかというと・・・


  J.S. Bach St John Passion  

  Orchestra of the Age of Enlightenment
  Stephen Layton conductor

  Ian Bostridge Evangelist

  Neal Davies Christus
  Katherine Watson soprano

   Iestyn Davies countertenor
  Nicholas Mulroy tenor

   Roderick Williams bass


私の席は前から2列目のほぼ真ん中で、44ポンドもしたので、ぼーっとしてないでしっかり楽しまなくちゃと思い、プログラムも買ってドイツ語と英語訳を見比べながら聴きました。但し、大好きなイエスティン・デイヴィース君が歌ってる時だけは歌詞なんかどうでもよくなって、すぐ目の前の彼をずっと凝視目ラブラブ!

イエスティン君、テクニックはますます上達してるけど、ちょっと声に潤いが欠けてたような。彼の場合、2メートル以下の距離からのあまりにもストレートな声よりも、エコーが掛かってるほうがもしかしたら良いかしらん? と言いながら、今月もう一回と来月にかぶりつきの席が買ってある・・・


しかし、あまりにも出番が少な過ぎしょぼん  そうと知ってたら来なかったのに。


でも、その分イアン・ボストリッジがたくさん歌ってくれたから、いいことにしましょう。今日の主役のイアン博士、自分が歌う時は音譜はほとんど見なかったけど、他の人が歌ってる時は椅子に座って音譜を目で熱心に追ってました。私からは6、7メートルほどの距離だったので、近過ぎずにじっくり観察したところ、いつもは眉間にシワ寄せて客を睨みつけるような怖い顔して出番待ちしてるのに、今日はなんだか優しい表情。そして、キリストの受難が進むにつれ思い入れが募るような表情になり・・・、(これだけでも、彼の意外な面を見たような気がしたんですが)


そして、見てしまったんです目


最後近くでソプラノが「キリストは死んだ」と歌ったアリアの時にイアン博士の顔がピンク色に染まったかと思うと、目に光るものがあせる


歌っている時も真心こめて感情たっぷりでしたが、きっとこの曲には特別な思い入れがあるんでしょう。そして、目頭と鼻を拭うイアン博士に私もぐっと来ちゃいましたドキドキ キリストの生涯は、宗教云々は別にしてもそりゃドラマチックなわけだし、それをバッハの崇高な音楽が伴うんですもの、キリスト教に興味のない私の心も揺さぶられます。


イエスティン君が出番じゃない時に座ってるのは見えなかったのは残念でしたが、休憩なしの2時間ぶっ続けでオケもコーラスも素晴らしくて、でもやっぱりイアン博士の熱演と思い入れのおかげで、とても感動的なコンサートになりました。


全員イギリス人だった他のソロ歌手はどうだったかと言うと、

お馴染みのバスのロデリック・ウィリアムスは強烈な個性はないものの安定して頼りになる存在で、今日も邪魔にならない素直さで好感が持てました。ソプラノのキャサリン・ワトソンは初めて聞く名前ですが、ピュアで素直な声と可憐な容姿でマリア様のようでした。

一人足を引っ張ったのがテノールのニコラス・マルロイで、声量の乏しさだけでも将来は真っ暗。目の前にいた私ですらそう思ったのだから、後ろの席だったら聞こえなかったかも。とくに美声でもなくルックスも貧しくて、なぜこの人がここに?むかっ 同じちょい役でもカウンターテナーには英国ナンバーワンのイエスティン君を引っ張ってきてコンサートの格を上げたのに、バランス取れてませんよ。


尚、今日は写真は撮りませんでした。逆光でろくなのが撮れないし、ぎっしり座ってる真ん中ではやりにくいということもありましたが、そればかりではなく、今日はカーテンコールでの嬉しそうな歌手たちを生でしっかり見届けて拍手もし、感動を共有したかったんです。(ブログ用写真を撮るためにレンズを通してしか見ないというのはいつも淋しいなあと実は思ってて)


でも何もないのもナンですから、ほんの短い動画だけ撮りました(上の写真は動画の一部)。


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映画やら自宅オペラ三昧やら

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<7th April Sat>

波

今年は季節が逆になってて、こないだまで夏だったのにまた冬に逆戻りしてるんですが、普通なら春の訪れを告げる一年のスポーツ・シーズンの幕開けイベントであるケンブリッジ対オックスフォードのボート・レースがテムズ河で行なわれました。この大学対抗戦、150年以上もやってるんですが、今年は前代未聞のアクシデントで途中でレース中断という珍事がありました。ボートが進むすぐ近くで泳いでた男性がいたからですが、この寒いのに偶然泳いでいたわけではないでしょうから、わざと邪魔したのでしょうね、当然すぐ逮捕されました(翌日の報道によると、そいつは35歳で、エリート主義に抗議するためだったそうです)。
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
こんな面白い出来事、これを毎年テレビで観るのを楽しみにしてるトーちゃんなのに生中継で観られなくて残念だったね。私と二人で映画を観に行ってたからですが、でも大丈夫、抜かりなく留守中に録画しといたから、帰ってすぐ観ました。


そしたら、もう一つ滅多に起こらないアクシデントがあり、レース再開後にオックスフォード大のオールがひとつ壊れたんです。そうすると、やっぱりもう勝負にならないくらいスピードに差が出ちゃうわけで、棚ボタでケンブリッジの圧勝。語り草になるレースでしたが、良かったね母校が勝って、トーチャン。通算でも81回対76回でケンブリッジが勝ってるし、めでたいことです祝日


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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
映画バスに乗ってトーチャンと二人でハーロウの映画館に行ったんですが、私は家でパソコン遊びしてるほうがいいんだけど、トーチャンは一人だと出掛けないので、ムスメが独立してから私が代わりに付き合わなくてはなりません。


観たのは、ウォラスとグロミットがお馴染みの製作社による粘土のストップモーション映画The Pirates! In an Adventure With Scientists。CGにはない手作りの温かさがあっていいですね。3Dで観たのですが、大スケールで話もよく出来てて面白いし、主役の海賊船長の吹き替えのヒュー・グラントも良い味出してて楽しめました。でも、子供向きだから日本では日本語吹き替えに変えちゃうんでしょうねえ?


         London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

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そして、今日は偶然、花形ソプラノのアンナ・ネトレプコ漬けに。


まず、夕方からBBCラジオの生中継でNYメトのマノン

これはROHで何度も観たので、音だけでも大丈夫。でも、相手がベチャラ。ROHはグリゴーロだったから、ロンドンの勝ちね。(そう言えば、これ東京でもやりましたよね)

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


次は、先週録画したちょっと前のNYメトのドン・パスクアーレを観ましたが、悲劇も喜劇も上手にやってのけるネトコちゃんってやっぱり凄い。こないだのROH椿姫はキャンセルされたし、しばらくご無沙汰してるけど、一時ほどのデブでもなくなったみたいで一安心。


でも、画像で観るオペラも楽しいけど、来シーズンもネトコちゃんはROHには出てくれないし、淋しいわしょぼん

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
あら、私を聴きたければ、6月6日にロイヤル・アルバート・ホールに来ればいいじゃない? うちのトーチャンだけじゃなくて、カウフマンも引っ張ってくんだから
(→こちら


そうでした。3人でコンサートをしてくれるんでしたよね。でも、どでかいホールでマイク使用、おまけに切符がバカ高いコンサートになんて誰が行くのよ?


まあ、ごめんなさいね。でも、おかげさまで切符は結構売れてんのよ。ホホホにひひ


あ、ほんとだ。最高185ポンド叫びもするのに、さすがです。お金持ちのオペラファンがたくさんいるのね。羨ましい。私には手が出ないけど。


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という一日だったので、オペラやコンサート(バレエもある)の記事は書けませんでしたが、まだ4連休は半分残ってるので、嬉しくて溜まりません。

明日はムスメのフラットに夕食およばれに行くのですが、それまで何しようかな~アップ


                      人気ブログランキング  口紅

リゴレット by Verdi 道化師父娘の悲劇

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<9th April Easter Monday>

今日で4連休も終わり。昨夜はムスメのフラットでボーイフレンド君が料理した夕食を美味しく頂きました。今日はお天気悪いので家でテレビでも観てましょう。時間に余裕のある時にしか観られないベン・ハーもやってるから、久し振りに観てみるか。

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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


ROHのリゴレット、来週もう一度行くのですが、ここで一応区切ります。


途中までしかいられなかった3月28日のリハーサルも入れると、3月30日(初日)、4月2日、4月4日と今のところ3回半ですが、運よく舞台袖の安い席が買えて、まじかで観ることができ、満足です。


リゴレットってどんなお話なの? とご存知ない方は以前の記事をご覧下さい(→)なのですが、要するに、


宮廷に仕えるせむしの道化師が娘を公爵に手篭めにされて復讐を図るが、暗殺計画に気付いた娘が身代わりになるという悲劇で、原作はヴィクトル・ユーゴーですからしっかりできていて、恋のはじまり、失恋、妬み、呪い、復讐、暗殺と悲劇オペラの要素が揃ってドラマチックにわかりやすいのでオペラ初心者にもお勧めです。

音楽もヴェルディの名作ですから、初心者だけでなく、聴けば聴くほど個々のアリアだけでなく全体の構成の素晴らしさがわかり、私は何十回も聴いてて全部ハモれますが、感心こそすれ、飽きることはありません。

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


2001年プレミエのマクヴィッカーの演出は宮廷もリゴレット家も場末の酒屋もひとつのセットを回転して済ませる上にグレー一色で醜いですが、私の席から全体は見えないし、奥深くないので見切れることもなく問題なし。セットとはバランスが取れないけど衣装はとても洒落てて、冒頭の乱交パーティ場面もショッキングでエネルギッシュで面白く、結構好きなプロダクションです。

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
Composer Giuseppe Verdi
Director David McVicar
Associate Director Leah Hausman
Movement Director Leah Hausman
Set design Michael Vale
Costume design Tanya McCallin
Lighting design Paule Constable

Conductor John Eliot Gardiner
Rigoletto Dimitri Platanias
Gilda Ekaterina Siurina
Duke of Mantua Vittorio Grigolo/Francesco Meli
Count Monterone Gianfranco Montresor
Maddalena Christine Rice
Sparafucile Matthew Rose
Giovanna Elizabeth Sikora
Marullo ZhengZhong Zhou
Matteo Borsa Pablo Bemsch
Count Ceprano Jihoon Kim
Countess Ceprano Susana Gaspar
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音譜パフォーマンス


しっぽフリフリ公爵

好色で残酷で威張ってる若い公爵は、途中で進歩しない役柄で演技的にはやりがいのある役ではないでしょうが、そこそこ聴かせるアリアが2、3あり、テノールにとっては楽な儲け役のせいか、有名テノールが歌ってくれることも多くて私には一番の楽しみ。


ROHでは出演順だとこれまでにアルバレス、ベチャワ、ヴァルガス、ヴィラゾン、ウーキョン・キム(このへんまでは→こちら で比較)、メリ、と続き、それぞれ数回づつ楽しみましたが、今回は今をときめくヴィットリオ・グリゴーロですから、フレンズ枠で最初に買える4枚の枠を全部自分用につぎ込みますともDASH! キャンセルされた時の予備も要るしね(実際、後から「スケジュールがきついので一回キャンセルさせて」と言われた)。


ロンドンが気に入ってくれてるらしいグリゴーロ君はこれまでにマノン、ファウスト、トラヴィアータと出てくれて、楽々と出る張りのある美しい大声の大ファンになりましたが、今回も期待通りの熱血ぶりを発揮してくれて、こちらを向いてストレートに声がどかーんと投げつけられると、思わずその迫力に拳を握ってしまうほどです。


マノンやファウストと比べると主役でもないリゴレットの公爵は面白みに欠けるし、期待通りというのはある意味いつもと同じということで新鮮味はないですが、ご贔屓歌手というのはそれで良いわけですから、機会があれば何度でもしなやかな鋼のようなグリゴーロ節を浴びに行きますわ。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
最初のアリアとかそんなに弾まないでもう少し普通に平坦に歌ってくれる方がいいのにと毎回思いますが、エネルギーが有り余ってる若者が勇む姿も又良いかも。


     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
4月4日に一回だけ代役で歌ったフランチェスコ・メリですが、2年前にレオ・ヌッチと共演した時が素晴らしかったので(→こちら )、あの感動を再現してくれたらと期待したのに、仕方ないけど一回だけの出演では練習不足なのか、歌も演技もちょっと危なげで、「あれ、いい加減に誤魔化した?」と思ったところが一箇所あったし、指揮者が写ってる画面を何度も見るので、私も集中できませんでした。

でも、それは期待が高過ぎたせいであり、声量では当然グリゴーロには負けますが(誰も勝てないし、勝てたらうるさ過ぎる)、演技もおとなしく見えるけどこれが普通だし、代役としては立派で文句なし。ちょっとだけでも来てくれて本当にありがとう。また近いうちに違う役で歌ってね。

          London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

おとめ座ジルダ

これまでシェーファー、ネトレプコ、チョーフィが出たジルダですが、2005年の初登場以来今回で4度目のエカテリーナ・シウリーナはいわばROHジルダの当たり役。2008年にパリのリゴレットでも聴いたのですが、この役で彼女の右に出るソプラノは今いないかもしれません。可憐でか弱い演技も上手だし細い高音がきれいに出る素晴らしいシウリーナは私のジルダ評価(→こちら )でもぶっちぎりのトップ。


さすがにこれだけ何度も聴いてると新鮮味はないけれど毎回充分聞惚れ、特に神々しい程上出来だった4月2日はメリとの共演の日だったのですが、グリゴーロ目当てで切符を買って不満だった人もこんな素晴らしいジルダが聴けたのだから良かったじゃないですか?     

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

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カエルリゴレット

ジルダと公爵は上手に決まってるお馴染みの歌手だけど、リゴレットのディミトリ・プラタニアスって誰だろう? これまでのリゴレットはガヴァネッリ、カルロス・アルバレス、ホロスフスキー、ルチッチ、ヌッチという有名歌手以外に無名の下手くそも混じっていたので、3人のうち2人良い人出せば充分だろうがというROH的妥協かしら?と心配だったんですが、この若いギリシャ人バリトンが第一声を発した途端にそんな不安は吹き飛び、「おぉ、朗々とした良い声じゃないか!まろやかだけど輪郭もはっきりして、私好み」、と嬉しい驚き。西郷隆盛か山下清かという小柄なずんぐりむっくり体型は醜いせむし男にはぴったりだし。


でも、若過ぎるのは構わないけど(役柄設定と歌手の年齢や容貌は大目に見ないと成り立たないのがオペラだから)、演技がど下手。姿勢と行動と表情から中年男の哀しさが滲み出なくちゃ駄目なのに、顔も体も歌の素晴らしさに付いていけてなくて勿体ないことったら。


このリゴレットは便利な小道具として2本の杖を持っているのに(ヌッチは使わなかったけど、彼は地のままで貫禄ありだから例外として)、それを活用しないので腰が伸びてることが多かった。プラタニアス君もそれには気付いたようで、見る度に少しづつ体が曲がっ改善したけど、最初は意識して腰曲げてても歌い出すとすぐにまっすぐになってしまいましたね。歌いにくいだろうから腰は曲げなくてもいいので、膝をちょっといつも曲げてるだけでOKだと思うのですが、それでも駄目なのか、すぐにすっくと立ってしまい・・・。見てると苛々するので、途中から姿は見ないで声だけ聴くようにしたら、彼の良さが際立ってますます聞惚れました。

このリゴレットのアクションといえば、皮肉なことに私が嫌いなバリトン二人が一番印象的で、ホロストフスキーは大袈裟に腰を曲げ、さらに漫画的表情が爆笑もの目が離せず演技賞を差し上げたいし、ガヴァネリは年恰好もアクションも自然でなかなか良かった。  
     

ヒツジヒツジ他の人たち


殺し屋の妹で酒場で公爵といちゃつくマッダレーナ、今回は主役級のクリスティーナ・ライスという豪華版で、さすがの歌唱力と貫禄。

殺し屋は「またお前か・・」と言いたいくらい聴き飽きたマシュー・ローズ。充分上手なのに他のオペラハウスからお呼びが掛からないわけ?

指揮者は「えっ?、バロック専門かと思ったら、貴方ヴェルディも振るの?」とびっくりのSir ジョン・エリオット・ガーディナーで、一切歌詞を口にもせず腕だけで淡々と指揮する姿は見てて面白くないし、もう少しメリハリつけて欲しい気もしたけど、ビジュアル面の影響で平坦気味に感じただけかも?でも時々歌手とずれてたのはやっぱりバロックの乗りだったからかな?
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
宮廷人代表のマルーロ役はROH若手アーチストの中国人ジェンジャン君で、どうのこうの言う程歌わないけど、長身でハンサムなので舞台映えしてなかなか素敵で、東洋人男性のイメージアップにはなってるわべーっだ!


             London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)



というわけで、全体的には今までの中でもなかなかレベルの高いパフォーマンスだったと思います。17日に世界中の映画館で生上映されるますので(日本はないようですが)、生でご覧になれない方はどうぞ(→こちら )。きっとグリゴーロ君がさらに熱くなって湯気が立つのが見えますよにひひ



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スェーデン旅行の準備 (ホテル、オペラ、オトコ)

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<10th April Tue>

キャメロン英首相が今日は日本訪問したようですね。素敵な奥様が一緒でなかったようなのが残念だけど。

連休中はひどいお天気だったのに、明けた今日はピッカピカ晴れって・・・

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London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
時間に余裕のあるイースター休暇の日曜日、テレビでなにかやってるかな~?と新聞テレビ欄を見たら、 


おお、映画「遠い喇叭(ラッパ)」A Distant Trumpetが! 何度もテレビで観てるけど、又ちょっとだけ観てみよ。なんたって、1960年代に憧れの君だった長身美男子トロイ・ドナヒューの騎兵隊姿がカッコ良いんだからキスマーク 


マイアミが舞台の私立探偵番組サーフサイド6サーフィンで田舎の小学生がときめいたTroy Donahueは、いわば私の北欧系金髪碧眼好みの原形で、スェーデン系だそうです。


6月にいよいよ初めてスェーデンに行くことになったのですが、トロイのような美青年がうようよしてんのかな~ドキドキ  ・・ドバッ(鼻血が・・・)。


そうであれば、ストックホルムでは、観光客ばかりいるような所じゃなくて、若いローカル男性がたくさんいる所にも行かなくちゃDASH!

(大丈夫、トーチャンは私の好みをよくわかってるし、イギリス男性はヤキモチ焼かないの)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


ところで、


トロイ・ドナヒュー、数年前に死んだということは知ってたけど、青春映画のアイドルだった後は一体どんな人生だったのかしらと調べてみたら、

20代からすでに人気は衰えはじめ、端役に格下げとなり、ポルノまがいの映画にまで出た彼は、酒と麻薬に溺れて一時は廃人同然になったけど、努力して更生、アルコール・麻薬依存に悩む人々のアドバイザーとして活躍し、2001年に65歳で心臓麻痺で死亡。(詳しくは→こちら

へえ~、まるでハリウッド映画を地で行くようなドラマチックな人生だったのね。


あっ! 彼が出てるスーパーニッカのテレビCMなんてのもあったのね→こちら 。1980代はじめらしいので、私はもう日本にはいなかったから知らなかった・・・    



         砂時計


で、今回はじめて、年食った時の写真をおそるおそる探してみたところ得意げ



               


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)       London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)



こういうタイプはデブハゲになるような気がしたんだけど、


ほっ!


よかった~、最後の写真は若い時の甘い面影は全くなくてまるで別人ですが、それでもほっそりしてなかなかハンサムのまま。


ストックホルムでは若い男性にばかり目が行ってしまいそうですが、こんな素敵な中年もいるかもねグッド!




ひらめき電球

さて、


ここからが本題ですが、

London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
6月中旬のストックホルムのホテルを予約しました。


ヒマなトーチャンが選んでくれたんですが、中央駅近くの4ツ星ホテルのScandic Grand Central(→こちら )で、3泊で500ユーロちょっと。そこそこ洒落たホテルの割にはまあまあの値段でしょうか?

宿泊客のコメントによると、朝食が充実してるらしいのが楽しみ。歩いてばかりでレストランでゆっくりすることはほとんどしない私たちにとっては朝食は大事ですから。


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン) そして、

私にとってはオペラハウスは一番大切な観光なので、まずそれを調べてから飛行機を手配するのですが、トスカの切符をすでに購入済み。


大した歌手は期待してなくて、サイトの書き方がちょっとおかしいので買う時は気付かなかったんだけど(→こちら )、よく見たら、なんと有名テノールのホセ・クーラが出るじゃないですか。最近あまり聞かないのでどうしてるのかと思ったら、こんな北の果てで歌ったりもしてるのね。


特にクーラのファンといえわけではないけれど、無名の下手くそテノールじゃないのは安心だし、プロダクションもまともでなかなか豪華だから、なんでもいいから生で観られればいいやという程度だったけど、楽しみ度が増しました。英語のガイドツアにもできれば参加するつもり。



チョキというわけで、大事な準備は完了。今回は事前にスゥーデンの歴史とかも調べていくつもり。



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ジルダがドタキャン!リゴレット 

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    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


4月11日、リゴレットに又しつこく行きました。


3分の2しか観られなかったリハーサルも入れるとこれで5回目叫び


ここまで来ると、実は、そろそろ違うジルダを聴きたいかな~、と秘かに望んでいたところ、エカリリーナ・シウリーナが喉を感染したとかでドタキャン。こんなこと言ってはナンですが、なんてラッキーなんでしょニコニコ


そう思えるのも、念の為に数回分確保しておいたからですが、これで代役公爵のフランチェスコ・メリと代役ジルダのルーシー・クロウLucy Croweを聴くことができたわけだから、甲斐があったというものです。こんなことができるのも切符代が安いからですが、今回もストールサークル4回とバルコニー席のリハーサルで5回分計56ポンド。
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
いつものことながら、私のような貧乏人オペラファンにとってロンドンは世界中で一番恵まれた街と感謝ニコニコ


        London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)      

女の子イギリスで若いソプラノ一番手のルーシーちゃんは、「ダイドーとエネアス」と「薔薇の騎士」でROHにはすでに出ているのですが、昨日は彼女としては声もよく出て好調だったと思います。それでも、ジルダならこの人という名人エカテリーナ・シウリーナとは比べ物になりませんが、今までの他のジルダと比べても決してひけを取らないくらい立派な代役ぶりでした。


シウリーナ嬢のピュアで滑らかな歌唱と余裕のある演技と比べると、若いルーシーちゃんは緊張してるせいか歌も演技も硬かったけど、そこが新鮮と思えなくもないし、大健闘ぶりには好感が持てました。声に個性がないので大スターになれるとは思えませんが、大劇場でそこそこ貴重な存在にはなれるでしょうから、イギリスを代表して頑張って頂きたいものです。


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男の子グリゴーロ君を見るのもこれがこのリゴレットで4回目で、さすがに新鮮味に欠けるわけですが、はじめて逆側の席だったので、違う角度からグリゴーロ君からを愛でることができたので満足。酒場のおねえちゃんマッダレーナをかき抱く場面、こちら側からだとその過激さがよくわかり、マッダレーナはスカートめくられてパンチラだったし、嘗め回すようなねっとりキスもしてました恋の矢


パフォーマンスはいつも通り元気一杯でしたが、カーテンコールのグリゴーロ君はいつもより控え目だったような気がします。17日は世界中の映画館で生中継されるので、きっと大はしゃぎで、なにかあっと言わせるようなことしてくれそうですが、残念乍ら私はその日は行きません。知ってたらその日の切符も確保しておいたのですが、中継には興味ないので(切符代も高そうだし)。

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ブタリゴレットだけが5回ずっと同じ歌手で聴いたのですが、ディミトリ・プラタニアス君は私が不満だった演技面も徐々に改善し、この日はちゃんと悪い姿勢を保った場面が多かったし、彼に段々慣れてきて他のリゴレットと比べることが減ったせいか、だいぶしっくりしてきました。

そうなると歌も更に上手に聴こえて、5回目でも「あ~、飽きた」とは思いませんでした。他のバリトンで聴いてみたい気もちょっとしましたが、彼より上手な代役などいるわけないから、これで良かったんでしょう。



というわけで、何度聴いても素晴らしい名作リゴレットを素晴らしい歌手で心ゆくまで堪能できましたが、これでお終い。でも、17日の世界中への生中継までにはシウリーナ嬢が回復してくれることを祈ってます。


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映画

先回までの感想をまとめた記事の動画数件を、無名時代からグリゴーロ君の大ファンでらっしゃるkeyakiさん(グリゴーロ君応援ブログは→こちら )がYouTubeにアップして下さったので(→こちら )、そちらもご覧下さいですが、この日の動画はこちら。




今日のジルダ代役はランカトーレetc. 代役騒ぎあれこれ

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<14th April Sat>


オペラやクラシックコンサートではドタキャンが日常茶飯事なのですが、


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今日のROHリゴレットのジルダはなんとデジレ・ランカトーレ! 

昨夜遅くに情報はキャッチしたものの、今日は12時半からの公演なんですが、うんと高い切符しか残ってないですから、行こうとすれば朝から並んで当日券を手に入れるしかない・・・。

でも、最近当日券の値段が上がったし、私は夕方から出掛ける用事もあり、週末にやることも溜まってて一日中外出する余裕もなく、諦めるしかないわ・・・ブツブツむっ


11日キャンセルしたシウリーナの具合のはだいぶがまだ悪いんでしょうか?

今日だけの代役ならルーシー・クロウも控えてるのに、わざわざランカトーレを呼んだということは、17日の生中継にシウリーナが出られないので、ランカトーレに出てもらおうという魂胆でしょうか?


ランカトーレは、丸ちゃん(アルバレス)と共演した2000年秋のホフマン物語のお人形のオランピア役で聴いたことがあるのですが、10年以上も前の無名の駆け出し時代のこと。なかなか良くて印象に残ってますが、成長した姿を久し振りに見たかったです。彼女はロンドンには来てくれないので。


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最近、ROHから、もうすぐ始まるラ・ボエームでアーニャ・ハルテロスが降板しますという悲しい連絡もあり、がっくりしてますしょぼん。ハルテロス、ちょっと前にもたしかなにかキャンセルしたよなあ?

カーディフのコンテストで優勝したのがきっかけとなった筈なのに、イギリスに恩を感じてないのかパンチ!

来シーズンも予定されてるんですけど、本当に出てくれるのか?

因みに、ボエームの代役はCeline Byrneという聞いたこともないアイルランド人ソプラノだけど、来シーズンも山ほどやる演目は、すでに呪われてる? 6月にアラーニャ&ゲオルギューが久し振りにロンドンで夫婦共演するんですが、スムーズに行くとは思えないし・・


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今日は急遽、バービカンの映画館でやるNYメトのトラヴィアータを観に行くことになりました。

実はこれも代役騒ぎの顛末で、本当はトビー・スペンスが出るバービカンのコンサートの良い席がうんと前から買ってあったのを、数日前に彼がキャンセルしたので行く気が失せてしまい、切符を始末して、代わりに、運よくリターンをキャッチしたメトHDライブに行くことにしたわけです。

目玉はナタリー・デセイですが、初日はキャンセルした彼女、今日はちゃんと出てくれますように・・・。もう一人のお目当てであるマシュー・ポレンザーニも楽しみ。病気になるんなら、お父さん役のホロにして。


ところで、トビー君がキャンセルしたのはエルガーのThe Dream of Gerotiusなんですが、一昨日、同じメンバーでのバーミンガム公演をラジオ生放送で聴きました。どんな曲か全く知らなかったんですが、壮大な曲でテノールの出番も多く、これをかぶりつきでトビーで聴き損ねたのは凄く悲しいガックリ

代役のロバート・マレーはどうってことなかったけど、サラ・コノリーは素晴らしかったので、行ってもよかったかなとちょっと後悔したけど、最近バービカンは切符代が結構高いので、これぞというのしか行けません。


UFO

というわけで、お馴染みの代役騒ぎですが、うまくいかないものですプンプン



London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)     London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
写真がなにもないのも淋しいですから、昨日お芝居を観に行く途中のサマセットハウスで見た不思議な光景を。


外からちらっと見えた時は、「あ、お花がいっぱい咲いてるコスモス


と思ったのですが、近寄ってみたら、生のお花ではなく、醜い石膏のオフジェでした。


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ナタリー・デセイx2 メトのトラヴィアータとリサイタル

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<15th April Sun>

今日はタイタニック号沈没100年でイギリスは騒いでますが、日本でも少しは話題になったのかしら?

7,8度しかなくて冷たい風が吹いてましたが、トーチャンと公園にお花見に行ってきました。色んな花が咲いてますが、この公園で一番迫力のある桜並木の八重桜はまだ咲き始めたばかりなので、満開になるのは来週でしょうか。誕生日の記念写真を桜の下で撮りたい私にはちょうど良いので、ゆっくり咲いてね。

グリゴーロ君が、ローレンス・オリヴィエ賞にプレゼンターの一人として登場したテレビ映像を撮影しました。音が悪いけど。で、彼が賞を渡したのは二つのオペラ賞ですが、ROHでやってるのに両方ともENOが受賞したのは皮肉でした。

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昨日のバービカンでのNYメトのHDライブのラ・トラヴィアータナタリー・デセイは出てくれたのですが、絶好調からは程遠く、苦しいながらも高音はなんとか出てましたが中音がかなりかすれてしまい、果たして最後まで歌えるのかしらとずっとハラハラし通しショック!


これをラジオで聴いたら、きっと「調子悪い時に無理して出なくてもいいのにむっ」、と不満に思ったでしょうが、演技力には定評のある彼女、期待通り真心こめて細かい所にまで気を配り全力で体当たりする姿は感動的でしたチョキ。赤ワンピもよく似合うし足もきれいで、小柄でアルフレードのマシュー・ポレンザーニとのバランスもグー、とビジュアル的には文句なく、大画面で見るとさらに素晴らしさがわかります。


でも、さぞや無念だったんでしょう、カーテンコールで全く嬉しそうな顔しなかったし、深々と頭を下げて「ごめんなさい」と体中で訴えるナタリーの痛ましかったことしょぼん


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン) La Traviata by Verdi

New York Metropolitan Opera Orchestra
New York Metropolitan Opera Chorus
Conductor.....Fabio Luisi

Violetta.....Natalie Dessay (Soprano)
Alfredo.....Matthew Polenzani (Tenor)
Giorgio Germont.....Dmitri Hvorostovsky (Baritone)
Flora Bervoix.....Patricia Risley (Soprano)
Annina.....Maria Zifchak (Soprano)
Gastone.....Scott Scully (Tenor)
Barone Douphol.....Jason Stearns (Tenor)
Marchese D'obigny.....Kyle Pfortmiller (Bass)
Dottore Grenvil.....Luigi Roni (Baritone)


London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)    London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

ザルツブルグでネトレプコとヴィラゾンで話題になったモダン版プロダクションですが、あの時は斬新でなかなか良いと思ったけど、今回は少しも良いと思えませんでした。象徴を具体的にし過ぎてクサいし、人間性も全く感じられず、オペラでは珍しくヴィオレッタは共感覚える血の通った女性なのに、これではいくらナタリーが熱演しても私は感動できません。私はいつも「初めてのオペラでお勧めなのは椿姫」と言ってますが、できればこれは避けて下さいね。


ナタリーの芝居が古めかしかったのも原因かもしれず、正攻法でヴィオレッタを演じたいのであれば、是非ROHに来て下さい。まとも過ぎて面白みには欠けるかもしれないけど、ヴィオレッタになりきれるわかりやすくて良いプロダクションですからにひひ


アルフレード役のポレンザーニは、下着姿は映画館で失笑されたけど、歌も演技も素晴らしくて、決して容貌のは良くないのに、素敵に見えて、ますますファンになりました。聴き飽きてない分、私が今一番聴きたいテノールかもラブラブ!  

ジェルモンパパのホロは相変わらずホロ。声はよく出てて映画館でも一番拍手が大きかったけど、何やっても同じでつまんなーい。ヴィオレッタと絡むシーンでは、これは演出のせいもあるけど、こんな冷たくてヴィオレッタと心が通わないパパもはじめてだむっ

指揮者の姿は見えないけど、メリハリが利いてテンポも早いファビオ・ルイジは好き。


ひらめき電球

ところで、ナタリーの喉がおかしいのは単なる風邪なのでしょうか? それとももっと深刻な問題が?

3月にロンドンで生で聴いた時も、このトラヴィアータほどひどくはなかったものの、同じように中音がちょっとかすれてたので、気になります。



ということで、無理矢理、3月4日のウィグモア・ホールの今更リサイタル記事につなげてしまいますと、



London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)

まず、小さなウィグモア・ホールでナタリーのような大スターの切符を買えたことはラッキーそのものでした、最初に売り出した時はきっとレベルの高い会員でないと買える筈がなかったですから、私なんぞは全く蚊帳の外なんですが、運よく前日の夜にナタリー・ファンの友人がリターン席をキャッチ。しかも前から4列目のど真ん中という抜群の席。60ポンドと少々高かったですが、ナタリーが歌曲を歌うのをまじかに聴けるチャンスですからなんのそのがま口財布
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
折角これだけお金を出したのだから内容もしっかり理解して最大限に楽しまなきゃ勿体ないと思ってプログラムを買い、フランス語の歌詞と英語訳を見比べようとしてたのに、「デセイ嬢の希望で照明を落としますから、プログラムは今しっかり読むように」、なんて言われてしまいましたが、実際には壁の電灯を少し消しただけで、ほとんど変りなしひらめき電球


        London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)


そしたら、

銀ラメのストラップレス・ドレスで登場したショートカット髪のナタリーは、あからさまな困惑顔で、「こんなに明るちゃ歌えないわ。暗くしてって頼んたのに・・・」、などとのたまうではないですか・・・叫び


あわわ、ウィグモア・ホール初登場なのに、のっけからこんな不手際でご機嫌損ねたら、もう二度と出てくれなくなっちゃうよガーン


Natalie Dessay soprano

Phillipe Cassard piano
London Opera-loving Kimono-girl (着物でオペラ in ロンドン)
Claude Debussy Romance/Les cloches/L'Archet

Claude Debussy Clair de lune (piano solo)

Claude Debussy Clair de lune/Ensourdine/Fete Galante/Pierrot/Apparition

interval

Emmanuuel Chabrier Chanson pour Jeanne

Ernest Chausson le temps des lilas

Henri Duparc L'invitation au voyage

Gabriel Faure Nocturne No.4 (piano solo)

Claude Debussy Le Metelot qui tombe a l'ear/Coquetterie posthume/Regret/La Romance d'Ariel

アンコールはドビュッシー他全2曲



しかし、さすがプロのナタリー、仕方ないと覚悟を決めた後は、観客の様子が丸見えで邪魔に違いないのに、あたかも大きな瞳が暗闇を見つめるかの如くきらきらとドラマチックに動くのが真正面の私にはよく見えました。

なんという贅沢キラキラ


中音はほんのちょっとかすれ、高音の潤いも完璧ではないちょっぴり不調のナタリーでしたが、小さなホールでの歌曲ですから大声を張り上げる必要はなく、時には繊細に囁くように美しいフランス語で歌うナタリーは、オペラハウスではできない貴重な経験でした。カーテンコールでは温かいウィグモア・ホールの客の拍手に嬉しそうだったナタリー、これに懲りずに又来て下さいね。


とは言っても、彼女クラスのアーチストは会員費をたんまり払わないと切符買えないので、ウィグモアについてはどうしようか迷っているところ。年間500ポンド、200ポンド、100ポンド、40ポンド、とあって微妙なところなんですが、来シーズンは、歌手だけに限ってもカウフマン、ダムラウ、キルヒー、アントナッチ、ゲルハーヘル等、聴きたい人は何人も出るのですが、カウフマンとダムラウはお手上げだとしても、ポレンザーニとイエスティン君なら40ポンドの平フレンズでもまあまあの席が買えるかな?


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